講座488 愛着形成で仕事復帰!
母親だって仕事をしたいし、子どものために稼がなきゃならないのよ!
子供産んだら仕事しちゃダメなの?
そんなことはありません!
そもそも働く母親のために保育制度があるわけですし、父親にだって育休制度があります。
《社会全体で子どもを育てる》という考え方は大切ですし、そのための仕組みもあります。
ロザリンド・フランクリン医科学大学のリザ・エリオット教授は著書の中でこう述べています。(出典:『赤ちゃんの脳と心で何が起こっているの?』水野要約)
たとえ短時間であっても、実の親が一貫して愛情を傾けて接していれば、祖母やシッターや保育所などに預けていても、愛着形成は可能である。
重要なのは、愛着を形成しておくことです。
1.スウェーデンの「一歳半神話」
では、いつ頃までに形成しておくのがいいのか?
日本精神神経学会認定専門医の岡田尊司氏の言葉です。(出典:「愛着関連障害と愛着アプローチ」2021)
愛着形成には臨界期が存在し、生後半年から 1 歳半までが特に重要とされる。
この考え方を活用している国がスウェーデンです。
スウェーデンは「世界一子育てをしやすい国」と言われています。(参考:「Best Countries for Raising Kids in 2023」US News)
その理由について、日本のこども家庭庁も公表しています。(出典:「スウェーデンの包摂的な子ども・子育て政策」)
「(スウェーデンでは)自国の子育て環境の評価が突出して高い。」
どのくらい高いかと言いますと、なんと97.1%の国民が「子育てをしやすい国」だと思っているのです。
どうしてこんなに満足しているのでしょう?
①働く親は「親休業法」により、子どもが1歳半に達するまで休業する権利が保障されている。
②労働時間短縮制度により、子どもが8歳に達するまで勤務時間を 75%まで短縮する権利が保障されている。
①は、スウェーデンの「一歳半神話」と言われています。
《子どもは1歳半までは親のもとで育てたほうがよい》という考え方が定着しているのです。
国側も、手間のかかるゼロ歳児対応の保育園を作るよりも、個人が育休を取るほうにお金をかけたほうが合理的だと考えているようです。(参考:「日本の”三歳児神話”はなぜなくならないか」鈴木 賢志2019)
②は、《子育て世代は早く退勤してよい》という制度です。
東京からスウェーデンに家族で移住した久山葉子さんは、「男性でも残業がなく5時に帰れる」とリポートされています。(出典:「パパノミカタ」神奈川県県民局)
スウェーデンの制度が完璧であるかどうかは別として、日本が見習うべきところはあると思います。
2.愛着形成の仕方
では、愛着形成の仕方をまとめて示しましょう。
①大人からの視線によって「人との二項関係」を築く(新生児期~)
②おもちゃによって「物との二項関係」を築く(5ヵ月頃~)
③共同注視によって「三項関係」を築く(1歳前後~)
①大人からの視線によって「人との二項関係」を築く(新生児期~)
②おもちゃによって「物との二項関係」を築く(5ヵ月頃~)
③共同注視によって「三項関係」を築く(1歳前後~)
①は、お母さんと目を合わせること。
②は、おもちゃを見たり、握ったりすること。
③は、お母さんが見ているものを一緒に見ること。
この①②③が愛着形成の基本です。
そして、愛着形成に成功すれば、それはその子にとって《一生の財産》になります。
なぜなら、愛着形成はその後の人生を左右する《人生の土台》だからです。
3.愛の性質
では、愛着が形成されたかどうかを判断する手立てはあるのでしょうか?
お母さんが「これもう大丈夫!」と思える瞬間は来るのでしょうか?
そのためにはまず、「愛の性質」を考えてみましょう。
愛情というのは、外からは見えないものです。
燃料と同じで、使えば減るし、補給してもらえたら増えます。
そして、そのタンク(壺)の大きさは子どもによって違います。
つまり、
①外からは見えないのでいつも子どもの様子を観察すること
②寂しかったり辛かったりすると減るのでいつも補給してあげること
③必要な愛情量は子どもによって違うものであること
この三つを知っておいて、判断するしかありません。
では、愛情充電のシーンを動画でご覧ください。
この子は、お母さんから離れて、小学生のお兄さんお姉さんの方に行こうとします。
でも、少し怖いので、またお母さんの元へ戻って来ます。
そして、ハグされて愛情(見守っていてもらえること)を確認し、もう一度チャレンジします。
この例のように、子どもは少しずつ、お母さんから離れることができるようになるわけです。
ですから、もし、仕事に復帰して、離れる時間が長くなった時には、
「ただいまあ!」と言って、たくさんハグしてあげてください。
それが充電になります。
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