0~1歳半(乳児期) 1歳半~6歳(幼児期)

講座20 「抱っこ」が重要になる時期

投稿日:2021年7月19日 更新日:

WSTの「Women」という曲をご存知ですか?

次の歌詞が刺さりました。

「大人なんて本当はいない。子どもが子どもを育てる世界。」

メンバーはこの曲を次のように解説しています。

誰にも褒められず、誰も見ていないところでも母親というお仕事は最も偉大なお仕事です。
その上でさらに働く若い世代の方にむけて綴った詩がこのWomenです。

母親にも「子ども」のように自由になる時間が必要だよ♪

というメッセージだと思います。

時 間

大切ですよね。ましてや「母親が自由になる時間」って超貴重です。

効率よく子育てをする知識こそ今の社会に必要です。

今日も世の中が「win3」になるように子育ての仕方を発信していきます。

 目 次
1.生まれた直後の抱っこ
2.誕生後~6ヵ月くらいの抱っこ
3.6ヵ月~3歳くらいの抱っこ
4.まとめ
さっとママ(Yさん)の手記

「抱っこが」重要になる時期は3つあります。

(1)生まれた直後

(2)誕生後~6ヵ月くらい

(3)6ヵ月~3歳くらい

それぞれ解説していきましょう。

1.生まれた直後の抱っこ

まず、「生まれた直後」の抱っこです。

『一に抱っこ・二に抱っこ・三、四がなくて五に笑顔』の著者である医学博士・田下昌明氏は次のように言われています。

生後1時間が勝負

どんな勝負かといいますと、まず30分以内に母乳を吸わせることです。

このことによってお母さんの「母乳製造のスイッチ」がオンに入ると言われています。

また、赤ちゃんに対する「母性のスイッチ」も30分以内の抱っこでオンになると言われています。

私は、これと同様に「父親のスイッチ」も30分以内でオンになると思っています。

今、コロナ対策で父親の面会を制限する病院もありますが、

1時間も過ぎると赤ちゃんは眠くなります。

スイッチオンの時間は貴重です。

ですから病院を選ぶときもこのことを意識して抱っこさせてくれる病院を選んだ方がよいと田下先生はアドバイスされています。

2.誕生後~6ヵ月くらいの抱っこ

この時期は「お母さんと赤ちゃん」とが信頼を強める時期です。

そう!愛着形成の最重要期ですね。

この時期の抱っこには、「抱っこ」+「笑顔」が必要です。

お腹の中にいた時の赤ちゃんは羊水に包まれていました。

羊水の中ですからいつもプカプカですし、体内ですからぬくぬくです。

それが誕生後はいきなり空気にさらされるわけですから環境がまるで違います。

その違いを埋めてくれるのがお母さんの抱っこです。

抱っこは、羊水の中にいた頃に近い感覚で、ぬくぬく、ふわふわの安心を得られる貴重な時間なのです。

笑顔も大切です。

この時期の赤ちゃんの視力は20㎝~40㎝で焦点が合うようになっています。

これは赤ちゃんがおっぱいを飲むときにお母さんの顔と焦点が合うようにするためです。

抱っこによる授乳は、

お腹を満たし、

抱っこによる安心を獲得させ、

さらにお母さんの笑顔によって感情を育てる時間でもあります。
(お母さんの匂いも大事です。お化粧のし過ぎに注意ですね。)

人間の脳には様々な機能がありますが、

愛情や感情を左右する部分は偏桃体(へんとうたい)です。

アーモンドのような形をしていて側頭葉の奥に左右一つずつあります。

この偏桃体が正常に育つために必要なのがお母さんの笑顔です。

篠原菊紀氏は、人間には「いじめ回路」と「人間らしさの回路」があると指摘します。

偏桃体がうまく育たないと、

他人をいじめたり嫌ったりする回路が強まり、

正常に育つと、

人間らしい優しさに満ちた回路が強まるというのです。

「見つめること」「笑顔」「抱きしめること」「触れること」などが、愛情表現の基本です。

3.6ヵ月~3歳くらいの抱っこ

6ヵ月~3歳くらいの間には母子分離不安の時期があります。

お母さんがちょっとでもいなくなると不安になってぎゃあっと泣き叫ぶ時期です。

これは何をしているかというと、

愛情を「確かめ」「貯めている」のです。

お母さんにとっては最後の大変な時期ですが、

ここをうまく乗り越えた子どもは愛情というエネルギーを満タンにして「三歳の自立」を迎えます。

逆に、ここがうまくいかない場合には反応性愛着障害を引き起こす可能性が高まります。

反応性愛着障害には二種類あります。

①「誰にも愛着を求めないようになってしまう」という警戒心の強い孤立タイプ

②「誰かれかまわず愛着を求めてしまう」という警戒心のまるでない安易な開放タイプ

孤立型は自閉症に近い症状で、開放型はADHD(注意欠如多動症)に近い症状です。

また、反応性愛着障害という診断には至らないで自閉症やADHDといった発達障害を引き起こす場合もあり、発症パターンは様々です。

また、発症や診断にまでは至らないで、似たような症状を示す場合も少なくありません。

そのリスクを明確に示すことは難しいのですが、「3歳までの愛着形成は大切である」ということに間違いはありません。

そして、もうひとつ重要なのは、「3歳までの愛着形成は連鎖する」ということです。

たくさん抱っこをされて愛着形成がうまくいった子は脳(偏桃体)が健康に育って「愛情深い子」になります。

成長して親になったときにも自分がされたように惜しみなく自然に赤ちゃんを抱っこして育てます。

反対に、愛着形成がうまくいかなった子は、

自分の子育てにも「恐怖」や「放棄」といった極端な悩みを持ち込んでしまいがちです。

精神科医の岡田尊司氏の次のように言います。

よく抱っこされた子は、甘えん坊で一見弱弱しく見えて、実のところ、強くたくましく育つ。
その影響は、大人になってからも持続するほどである。

このことはとても重要です。

虐待問題に詳しい西澤哲氏は、反応性愛着障害を引き起こした子は共感性(他の人の視点で物事を考える力)の発達に困難を抱えることを指摘しています。

西澤氏の例示が大変わかりやすいのでヒントにさせていただきます。

たとえば、学校から帰って来た子が家にいるはずのお母さんがいない事態に直面した場合です。

共感性の育っている子は、「あっ、お母さんは今、買い物に出かけているのかな」と考えることができます。

同時に、「少し待っていたら戻って来るだろうな」と我慢することもできます。

しかし、不安が強い子の場合はそれが出来ません。

お母さんは買い物に行っているということを考えるよりも、お母さんがいないということに対する不満が先に立ち、家中を探し回ったり、お母さんが帰って来た時にお母さんを強く責めたりしてしまいます。

逆に開放型の子は、相手が母親じゃなくてもいいわけですから、自分をかわいがってくれる相手の元へふらっと飛び出してしまうかもしれません。

もうひとつ例をあげましょう。

やってはいけないこと(いじめや万引きなど)にブレーキをかけてくれるもののひとつに「これをやったら親が悲しむだろうな」という思いがあります。

杉山登志郎氏はこれを「内なる親のまなざし」と呼んでいます。

心の中に親の存在が形成されて共感性が育っている例です。

いじめや万引きなどは、人の目を盗んで行う行為ですから、その行為にブレーキをかけるのは自分自身が出来なければなりません。

心の強さとか道徳心と言うと、どうやって育てたらいいのかは難しい問題になりますが、

ブレーキをかける心の仕組の底辺に乳幼児期の愛着形成がかかわっていることは間違いありません。

「3歳までの愛着形成」は、その子の脳を優しく健康的にするだけではなく、未来に向かっていく意欲や我慢強さをも育ててくれるものです。

そして、その愛着形成の手段として「抱っこ」がとても重要になるというわけです。

4.まとめ

今回は、抱っこが重要になる「三つの時期」について解説しました。

(1)生まれた直後
(2)誕生後~6ヵ月くらい
(3)6ヵ月~3歳くらい

どの時期も大切なのですが、お母さんによって事情があって出産後すぐには赤ちゃんに会えない人もいます。

ですから、この三つのすべてを満たさなければならないと考え過ぎるのはよくありません。

時間の長さで見ますと(1)は1時間で、(2)は半年、(3)は一年以上のチャンスがあります。

(1)のチャンスを逃しても(2)(3)の時間はたっぷりあります。

子育てには「その時」にしかできないこともありますが、

「挽回のチャンスはある」という考え方も大切です。

最後にこの記事に関連する本と、講座18「無言の愛」に登場したYさんの手記を紹介して終わります。

さっとママ(Yさん)の手記

様々な本に「生まれてからの一時間がとても大事」と書かれています。
特に生まれてきてすぐお母さんと
「肌と肌を合わせること」
「目と目を合わせること」
「お母さんのお乳を与えること」などは
赤ちゃんを安心させるという意味でも、その後の母子一体感を作り上げていく上でも、母乳育児を始める上でもスムーズに移行しやすいという点で非常によいということでした。

私は第一子の時、その大切さは理解していたつもりでいましたが、初めての出産だったために息子との対面に感激していたら、あれよあれよという間に時間が過ぎてしまいました。

できたのは「肌と肌を合わせること」くらいでした。もちろん「生まれてきてくれてありがとう!」「よくがんばったね!」と声をかけ、手のひらで息子の体をなでてあげられたのは素晴らしい体験でした。しかし、この一時間で「お乳を与えること」はできませんでした。その後、母乳育児がスムーズにできるようになるのに実に三カ月もかかってしまいました。

それだけに第二子である娘の出産の時は悔いのないようにしようと思っていました。

そして幸運にもやりたいことをすべてすることができました。

それは夢のような一時間でした。

まず、生まれたばかりの娘をへその緒がついたまま私の胸元につれてきてもらいました。このとき、生まれたばかりの娘が顔を上げて「あなたがお母さんなのね!」とばかりにまじまじと私を見たのです。娘とばっちり目が合ったことに私は感激しました。

私はもう一つやりたかった大切なことを思い出しました。
「お乳!お乳を飲ませたい」

生まれて一時間の間に赤ちゃんが飲むお母さんのお乳を「初乳」と言います。
初乳を飲むという行為によってお母さんの授乳機能にスイッチが入り母乳育児がスムーズにいくそうです。
娘がお乳をのめるように誘導すると娘は口をうねうねさせながらお乳を探し上手に飲み始めました。
生まれてすぐにお乳を飲んでくれた!これもまた何と表現していいかわからないほど感激しました。

生まれて一時間の間に
「肌と肌を合わせること」
「目と目を合わせること」
「初乳を与えること」ができたおかげで、
その後スムーズに子育てを始めることができたように思います。

私と娘は幸運にも無事に出産でき理想的な形で母子関係をスタートすることができました。
それは息子の出産経験があったからこそと思います。
また出産は様々なことが起こり得るので自分の理想通りにいくとは限りません。
実際、多くのお母さん方が理想通りの出産でなくとも我が子を大切に慈しみ育てていることは事実です。
「生まれてからの一時間はとても大事」ということを知った上で「たとえ理想通りにいかなくても大丈夫。
乗り越えられる」と、どんと構えて出産に臨むことができたらいいですね。(さっとママ)

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