12~18歳(思春期)

講座150 コロナ禍における思春期の準備

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昨日、講座149を書き終わって布団に入りました。

私はいつも布団の中でラジオを聴くんです。

精神科医であるkagshun(カグシュン)さんの放送は毎日聞いています。

そしたら昨日の放送テーマが「コロナ禍が子供たちに与える深刻な影響について」でした。

びっくりして布団の上で正座して聴きました。

今日はその放送の中で私に刺さったところを紹介させていただき、

昨日の記事で書ききれなかったところを補足したいと思います。

 目 次
1.子どもの脳は無防備(ストレスを受けやすい)
2.何を失っているのか
3.思春期の非常時
4.まとめ

1.子どもの脳は無防備(ストレスを受けやすい)

kagshunさんは言います。

子どもの脳は大人の脳よりも刺激を受けやすい。

発達の途中である子どもの脳は、ある意味「無防備」だとkagshunさんは言います。

それは「いい意味」でも「悪い意味」でも、「刺激を受けやすい」ということです。

楽しい経験、ほめられた出来事、おもしろい勉強など、

「よい体験」でどんどん脳を発達させる時期であると同時に、

挫折、孤独、ヒマ、ストレスなど

「悪い体験」で発達が遅れる、脳を傷つけてしまいやすいという時期でもあります。

そして、それが「悪い形」で出てしまう。

自殺です。

kagshunさんは言います。

小学生、中学生、高校生の自殺が非常に増えています。

私も調べてみました。

まず、全体の自殺者数です。

2010年あたりから減りつつあったのが、2020年になって上がり始めています。

今年、つまり、「今」が心配です。

次は小中高校生の自殺者数を見てみましょう。

全体が増えているわけですから、子どもたちも増えて当然かも知れません。

でも、問題はそこじゃなくて、「2020年に増えている」という点です。

大人だけじゃなくて、子どもたちにもコロナ禍の影響が出ているということです。

2019年と2020年だけを比べてみましょう。

日本経済新聞(2020年12月22日)

例年、夏休み明けが多いのですが、その山が大きくなっています。

学校とは無関係ではないでしょう。

私が心配しているのは、「授業のスピード」と「勉強に自信のない子のストレス」です。

このことは講座149に書いた通りです。

2.何を失っているのか

kagshunさんの次の言葉が強烈でした。

お子さんの三年間というのは、中学校が全部終わるくらいの長さなんですよ。高校が全部終わるくらいの長さなんですよね。

これ、わかりますか?

kagshunさんの次の説明でわかると思います。

大人が35歳から38歳になるのとはわけが違う。

数字の上では同じ3年間でも、子どもたちにとっての3年間は価値が異なるということです。

これは3年間を1年間にしても同じことです。

小学校6年生の1年間の中には勉強以外にも「様々な出来事」が詰まっていたはずです。

それはその時にしか体験できないことであり、その1年間はもう二度と戻りません。

今の子どもたちはそれを現在進行形で「失って」いるのです。

では、「失っている様々な出来事」とは何なのか。

それは何を意味するのか。

kagshunさんの言葉の重要な部分を拾ってみます。

社会的な対人能力とか、コミュニケーションのスキル、トラブルが起きた時や友だちのこと、恋愛で葛藤を抱えた時、そういうのを乗り越えて行くパワーを育みづらいんです。

同感です。

激しく同感です。

「失っている様々な出来事」の肝は「困難を乗り越えて行くパワー」である。

講座17「テツ君のお母さん」でのテツ君の作文を覚えていますか?

こういう出来事が 「困難を乗り越えて行くパワー」 であり、それが失われているということなんです。

3.思春期の非常時

この「困難を乗り越えて行くパワー」は急には身につきません。

小さないくつもの体験によって身につけていくものです。

TOSS最高顧問の向山洋一先生は次のように提案されています。

小学校1年生で「1つくらい」、2年生になったら「2つくらい」…というように自分で決めて挑戦させる。

そして、親はそれを見守ってあげる。

その具体的な言葉が「失敗したっていいから!」です。

こうやって、小さな失敗・挫折を経験し、それを乗り越えて自信をつけていく。

それが「困難を乗り越えて行くパワー」 です。

中学3年生くらいになったらなら、9割のことは自分で決めて、自分で乗り越えて行けるくらいの力がつきます。

ところが、コロナ禍によってこうした機会が失われている。

kagshunさんはこの点に警鐘を鳴らしています。

僕たちは、ついつい、「ウツになるんじゃないか」とか、「ストレスが溜まって自殺しちゃうんじゃないか」とか、今の状況に目を向けがちなんだけども、そこの社会経験の乏しさというものが、10年後、20年後に、大きな問題として、社会問題化してくると思っています。

精神科医ならではの視点です。

いつもは明るくてポジティブなkagshunさんが、こんなことを口にするのは珍しいことです。

それだけ重要な視点だということが伝わります。

私は講座135「思春期5つの特徴」の中で向山先生が述べられた5つの特徴を紹介しました。

この中にある「挫折を経験する」という特徴を、コロナ禍の今は、もっと重要視する必要があると気づきました。

思春期は、夢・あこがれ・恋愛・友情・進路などといった挫折に関係してくる世界と結びつく時代です。

誰もが大きな挫折を味わう危険性があります。

小さな失敗・挫折を経験し、それを乗り越えてきた子なら大丈夫でしょうけども、

そうした経験が少ない子、特に、親のいうことを聞いて真面目に育った「よい子」は心配です。

それが「平時の思春期」でした。

ところが今は平時ではありません。非常時です。

挫折を乗り越えられない子が極端に増えるのではないか、

社会問題化するのではないか、というのがkagshunさんの危機感なんです。

負のパワーが外に向かってしまう危険性もあります。

自分に向かってしまう危険性もあります。

kagshunさんは番組の中では厚生労働省の「自殺対策」のページを紹介されていました。

私もここで紹介しておきます。

4.まとめ

kagshunさんの放送と今回の私の記事とを合わせて、最後にまとめておきます。

(1)目に見える形の問題として「学力低下」「学力格差」があること

休校や学級閉鎖などで「授業のスピードが上がる」ことにより加速されると考えます。

(2)家の中に閉じこもりがちになりストレスが高まるということ

大人が(学校や家庭や社会が)、積極的に「いい刺激」を与えてあげる必要があると考えます。

(3)子どもの脳は大人より無防備なので脳の発達が抑制されてしまうということ

感情コントロールの不全、うつ、家庭内暴力、ひきこもり、自殺などの増加を想定する必要があると考えます。

(4)「様々な出来事を経験する機会」を失っているということ

間違いなく今の小中高校生というのは、かつて私たちが過ごしていた時間世界と異なっています。

私たちが子どもの時に普通に過ごしていた「一年」と、

今の子どもたちの「一年」は、

かなりの点で違っているはずです。

「困難を乗り越えて行くパワー」を育てていく枠組みを社会全体で共有する必要があると考えます。

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