講座480 9歳から知っておきたいAIを味方につける方法

昨日のラジオ収録でAIについてのお話をしました。

今回はその時のことを再現してみます。

 目 次
1.AIを味方につける方法
2.私の失敗談

1.AIを味方につける方法

私は日常的にAIを利用しています。

みなさんはどうですか?

子どもたちは使っていますか?

案外、知らないうちに我が子が使っていたりする時代ですよね。

私がよく使うのはGoogleの「Gemini」とopenAIの「ChatGPT」です。

たとえば、「北海道に旅行に行きたいんだけど、オススメの場所を5つ教えて!」と打つと、

その5つを瞬時に教えてくれます。

出て来たのは「富良野・美瑛」「知床」「函館」「札幌」「登別温泉」でした。

私は「知床」と「函館」が居住経験のある場所なので、ちょっと意地悪な質問をしてみます。

「では、知床でオススメのグルメは?」

この質問には「海鮮丼」「羅臼昆布ラーメン」「鹿肉」「山菜」「チーズ」が出て来ました。

まあまあのチョイスです。

「ではどんな山菜がありますか?」

行者ニンニク」「ウルイ」「タラの芽」「コゴミ」「ワサビ」が出て来ました。

ちなみに私は山菜採りが大好きです。

知床の山菜は知り尽くしていると言ってもいいでしょう。

AIのこの回答には間違いがありました。

みなさんはわかりますか?

知床にはない山菜が出ています。

それは「ワサビ」です。

AIが回答したのは「本わさび」でした。

知床で沢山採れるのは「山ワサビ」です。

ま、おしいですけれどね。残念!

でも、「本わさび」も無いことは無いんです。

秘密の場所に成育しているのですけどネット上にその情報はないはずです。

《知る人ぞ知る場所》ですからね。

こんな風に遊べるわけですけど、この使い方の中には大切なスキルがあるのです。

(1)具体的に質問する。

AIを使う時の質問のことを「プロンプト」と言いますが、

プロンプトを具体的にするのは基本的な使い方の一つです。

人間に「5つ教えて」なんて言うと、かなり迷いますよね。

でもAIは迷いません。瞬時に答えてくれます。

大規模なデータから自動的に出て来ますから人間のようには悩みません。

確率的に出すだけです。

(2)ツッコむ(絞って行く)。

AIはやり取りが出来ますから、質問をそこで終わらせるのではなく、重ねて行くのも使い方の基本です。

(3)意地悪をする。

私のように、既に知っている情報を敢えて質問するのも基本です。

これがなぜ「基本」になるかと言いますと、

AIが回答する情報は正しいとは限らないことを常に頭に置いて利用することが大切だからです。

「心構え」とでも言いましょうか。

そのことを忘れないでいるために、敢えて自分の知っていることを質問するわけです。

そうすると「AIの限界」が分かります。

《なんだ間違ってるじゃん!》

そういう経験もしておくことは大切だと思います。

世の中の情報には、《知る人ぞ知る》という情報もあるわけです。

ですから諜報活動では《情報は人が持っている》という考え方が重要になります。

そういうことも子供達に仕えたいですね。

2.私の失敗談

冒頭に紹介した『9歳から知っておきたいAIを味方につける方法』(マイクロマガジン社)の「おわりに」のページに「保護者の方へ」という部分があります。

その中に超重要な箇所があります。

抜粋しますね。

生成AIに何か答えさせたときには、その回答をうのみにしないで、正確かどうかを調べたり考えたりしてみる。

ここ、超重要なので覚えておいてください!

ところで私は「子育て」を専門に日々勉強していますので、勉強のためにAIを使うことはよくあります。

先日はAIにこんな質問をしました。

学校教育制度の中に「赤ちゃんの育て方」を教えることになっている国はありますか?

学校で「赤ちゃんの育て方」を教えている国はあるのかということを調べたわけです。

みなさんはどうですか?

そういう国はあると思いますか?

ちなみに日本の学校には、この制度はありません。(残念ながら…)

結果、AIは次の2つの国を教えてくれました。

  • スウェーデン: スウェーデンでは、高校の家庭科の授業で「赤ちゃんの育て方」が必修科目となっています。この授業では、授乳、おむつ替え、睡眠、子育ての心理学などについて学びます。
  • フランス: フランスでは、中学校の保健体育の授業で「赤ちゃんの育て方」が必修科目となっています。この授業では、妊娠、出産、育児に関する知識とスキルを学びます。

私は「なるほど、そうか!」と思いました。

「必修」となっています。

「これこれ!そういう国を知りたかったんだ!」

ま、そういう気持ちになったわけです。

つまり、

「やったぞ!知りたい情報を手に入れたぞ!」

AIを使っていると、ついついそういうテンションになってしまうのです。

大人でさえ、そういう気持ちになるわけですから、子供達だったらなおさらでしょうね。

そこで私は自分が書いている文章に「スウェーデンとフランスでは赤ちゃんの育て方を教えている」と書いてしまいました。

つまり、「うのみ」にしたわけです。

そして、後で気づきました。

あ!「うのみ」にしてた!

『9歳から知っておきたいAIを味方につける方法』(マイクロマガジン社)の中にはなんと書いてあったか覚えていますか?

生成AIに何か答えさせたときには、その回答をうのみにしないで、正確かどうかを調べたり考えたりしてみる。

うのみにしないで」、「正確かどうかを調べたり」、「考えたり」、してみることが大切でした。

そうなんです。

AIを使ったからと言って、そこで安心しないで、自分で調べることが大切なのです。

そこで、私は調べました。

徹底的に調べました。

すると、スウェーデンの高校(中等教育)では、赤ちゃんの育て方を教えていることが書かれた論文がありました。

豊村・青木「スウェーデンの義務教育学校における家庭科教育」(2012)

これを読むと、スウェーデンでは「高学年(13~16歳)」の家庭科で、子育ての仕方を教えていることが分かります。

その内容を一部抜粋します。

誕生から7才までの子どもの発育と世話の授業と関連させて, とり扱われる。 妊娠, 出産, 出生後の世話, について話し合う. 子どもの身体活動, 情動, 社会的, 知的発達は, 子どもの肉体の発達と並行して扱われる, ゆきとどいた世話の重要性と基本的習慣の確立を強調する. なぜなら, それらは, 創造的活動であり, 遊びであり, 子どもの発達を助長する重要な仕事であるからである.豊村・青木「スウェーデンの義務教育学校における家庭科教育」(2012)

では、フランスはどうなのか?

また調べました。

徹底的に調べました。

フランスの「国民教育省」のHPにある学習指導要領のようなもの(フランス語で書かれている)をAIを使って日本語に訳して読み込んだりもしました。

しかし、無いのです。

フランスの学校教育で「赤ちゃんの育て方」を教えているという情報はどこにも見つけられませんでした。

そこで、《困った時は人に聞く》です。

フランスの大使館と領事館などに電話やメールをして聞いてみました。

すると、東京国際フランス学園の校長秘書から回答がありました。

フランスでは生物の授業で一貫で生殖を勉強しますが、赤ちゃんの育て方を習う授業は特にございません。

無いのか!

そういうことか。

《AIにだまされた!》というか、私が《AIの回答をうのみ》にしてしまった!のです。

では、なぜAIは、事実とは異なるこんな回答を出してしまったのでしょうか?

・フランス: フランスでは、中学校の保健体育の授業で「赤ちゃんの育て方」が必修科目となっています。この授業では、妊娠、出産、育児に関する知識とスキルを学びます。

AIの回答は《インターネット上にある大規模な情報を集めて確率的に整理したもの》です。

それが正しいかどうかは関係ありません。

それは「知床のワサビ」の例で明らかです。

ただ自動的に出して来るだけですから、ネット上の情報が間違っていれば、間違った情報も平気で出します。

これは推測ですが、多分、インターネット上には《フランスは子育てに熱心な国》という感じの情報が錯綜していて、そうした情報が組み合わさって、今回のような回答を出してしまったのでしょう。

これは使い方の問題です。

大人でもこうした「うのみ」をやってしまうのです。

子供だったなおさらでしょう。

ですから、このようなスキルを子供達にも教える必要があると思います。

私は孫の進学祝いにこの本を贈ろうと思って書店へ行って購入して来ました。

みなさんも我が子にプレゼントしてみてはいかがでしょうか。

ちなみに、この本の著者の谷和樹先生はTOSSの代表で私と仲良しです。

酔っぱらっている二人

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水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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