講座478 今、子どもたちに語りたいこと

子どもたちは進級・進学の季節ですね。

私は教職を離れて5年が過ぎましたが、

もし今、自分が学級担任で、

最後のお別れの日に教室で語るとしたら、何を語るか。

そんな気持ちでこの記事を書くことにしました。

1.現役時代の失敗談

小学校6年生の担任をしていた時の失敗談から始めます。

卒業式が終わると、式場から子どもたちが戻って来ます。

みんな中学校の制服を着ています。

5年生が教室に椅子を運んで来てくれます。

私はスーツです。

これから外に出て、在校生のアーチをくぐって、

学び舎をあとにするわけです。

ですから、あまり時間はありません。

式が終わってざわざわしている子どもたちを静めて、

担任としての最後の言葉を話すわけです。

たくさんの教育書を読んで、話す言葉をノートに書いて、

緊張しながら口を開きました。

「最後に先生から皆さんへメッセージです。」

そう言って、最後に伝えたのは、

私の言葉ではなく、

教育書をもとにした有名な先生の言葉でした。

「あなたたちはこれから中学生となるのです。

 小学校の時の楽しい思い出など忘れてください。

 これからは、小学校生活以上に、

 もっともっと楽しい思い出を作ってください。

 卒業おめでとう。」

そんな言葉を贈ったわけです。

自分では、カッコイイと思っていました。

何しろ、私が最も尊敬する先生の言葉を真似したわけですから。

しかし、今でも覚えています。

その時の子どもたちの複雑な表情を。

今ならわかります。

なぜ、これがいけなかったのか。

一つ目の理由は《自分の言葉》ではないからです。

いくらカッコイイと思っても、これは《借りて来た言葉》でした。

うまく話すことばかりに意識が向いて、

心がこもっていませんでした。

しかも、同じ言葉のように思っているだけで、正確な引用ではありません。

しかも、当の尊敬する先生は《自分の言葉》として言ったわけで、

私はいくら暗記しても、それは《借りて来た言葉》でしかないのです。

もう一つの理由は、《子どもたちに対応していなかった》ということです。

子どもたちは小学校が大好きだったはずです。

別れたくなくて泣いているのです。

それなのに私は、「小学校の時の楽しい思い出など忘れてください」と言ったわけです。

「えっ?」と思ったことでしょう。

「先生、ナニ言うの?」「意味わかんない!」

そう思ったことが複雑な表情から読み取れました。

子どもたちが期待していた言葉は、「みんなのことは忘れません!」といったような、

そういう悲しい、感動的な言葉だったはずです。

それなのに私は、私のへそ曲がりな性格のせいもあって、

期待外れの言葉を口にしてしまいました。

まだまだ人間が出来ていなかったのだと思います。

2.今なら何を話すか

教職を離れて5年間、様々なことを勉強して来ました。

現職と同じ角度、違う角度で、現職以上に勉強してきたように感じます。

そんな今なら、何年生を受け持っていようと、

その学年に応じた形で、次のようなことを話したいと考えています。

昔の小学生は聞きました。
「お父さん、お母さん、どうして子どもは勉強しなきゃいけないの?」

昔のお父さん、お母さんは答えました。
「いい学校に入って、ちゃんと就職できて、将来自分が困らないようにするためだよ。」

「ふーん。」

次は、今の小学生が今のお父さん、お母さんに聞きました。
「お父さん、お母さん、どうして子どもは勉強しなきゃいけないの?」

お父さん、お母さんは答えました。
「自分にしかできないことを見つけて、世の中の役に立つためだよ。困ってる人を助けるためだよ。」

子どもは思いました。
「そうか!わかった!」

時代は変わりました。

昔はそれでよかったことも、

十年、二十年経つと、世界が変わります。

今、日本では子どもの数が減っています。

これが何を意味しているかわかりますか?

それは《子ども1人の価値が高まっている》ということなんです。

皆さん方、一人一人が、大事な《国の宝・地域の宝》なのです。

どうか、これからも、先生と学んだことを活かして、

立派な○年生になってください。

そんなことを話したいと思います。

参考文献

講座414 情報社会の次に来るもの

新時代の子育て(レジリエンスマップ)

世代別発達課題(K-100マップ)

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水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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