講座498 学校でおもらし!先生はどうした?

小学校では「おもらし」をする子がたまにいます。

低学年ではよくあります。

学校のトイレが怖いとか、

休み時間に行くのを忘れたとか、

授業中に先生に言えないとか、

理由は様々です。

ですから先生は《あって当たり前》だと思っています。

しかし、おもらしをしてしまった本人にとっては大変な出来事です。

ショックは大きいです。

友達からどんな風に思われるかと思うと恥ずかしくて泣きたくなるでしょう。

さて、そんな時に、学校の先生はどうやって対応するのか?

ポイントは二つあります。

 目 次
1.他律から自律へ
2.「一人」と「全員」を両立させる

1.他律から自律へ

他律から自律へ

「自律」とは、自分で自分をコントロールできることです。

それが出来るためには最初に大人の助けが必要です。

それが「他律」です。

他律を具体的に表すと、「~しなさい」と言ってあげることです。

《指示する》と言ってもいいでしょう。

しかし、世間にはこんな考え方があります。

子どもに指示ばかりしていると「指示待ち人間」になって自主性が育たない。

本当でしょうか?

たしかに「指示ばかり」しているとそうかもしれません。

中学生や高校生に対して「指示ばかり」というのはたしかに問題です。

しかし、幼児や小学生は違います。

教えてあげなければ育たない部分もあるでしょう。

私の感覚では、《(上手に)教えてくれるのを待っている》ということの方が多いように思います。

その「(上手に)教える」のが他律です。

子どもは、教えられてこそ《自分でできるようになる》ものです。

放っておいて育つのであれば教育は要りません。

教育には「教える」段階が不可欠なのです。

いつまでも指示をするのではなく、指示をしながら上手に自律へと導く

それが「他律から自律へ」という考え方です。

2.「一人」と「全員」を両立させる

「一人」と「全員」を両立させる

レジリエンスという言葉があります。

困難を乗り越える力のことです。

子供たちにはこの「困難を乗り越える力」を身につけさせたいですよね。

その力はどうすれば身につくのでしょう?

ひとつだけ言えるのは《レジリエンスは家庭教育だけでは身につかない》ということです。

なぜなら、家庭には他人との集団生活がないからです。

家庭では、集団生活における困難を経験できません。

つまり、学校や社会において「困難を乗り越える力」を身につけなければならないわけですが、

社会に出たならそれは「本番」です。

学校は社会に出る前の「練習」の場です。

教師は、学校教育の中でどうやってレジリエンスを身につけさせるのかを考えます。

その場合のキーワードが「失敗」です。

失敗を恐れない。

失敗を恥ずかしがらない。

失敗をマイナスに捉えない。

そこが小学校教育の出発点になります。

口で言うのは簡単ですが、このことを子どもたちに生活する態度として方向付けなければなりません。

そして、この時にもうひとつ重要な観点があります。

それは、《このことを全員に共有させる》ということです。

《一人の子の失敗がその子にとっても他の子にとってもプラスになる》という構造をつくります。

《一人の失敗を他の子が笑う》という構造と真逆です。

それを教師の世界では「集団指導」と言います。

学級経営の分野で言えば「学級集団づくり」と言います。

30年くらい前の学校現場には、この「集団づくり」の視点がありました。

現在の学校現場ではこれが難しくなって来ています。

個のニーズが重視されている

先生方は保護者からのニーズを気にする傾向があります。

それは、保護者からのニーズが強まったり、多様になったりしているからではないでしょうか。

その結果、教師は一人の子に構い過ぎてしまって、集団指導に目を向ける余裕を失っているように感じます。

おおらかな時代には、その余裕がありました。

《子供のことは先生に任せよう》という雰囲気がありました。

そして、任せられた教師は、責任を感じて勉強しました。

そして、その好循環の利益を子供たちが享受していたと思うのです。

現代は学校現場にも家庭環境にも、様々な課題があり、一筋縄ではいきません。

しかし、いつの時代にあっても、《子によし!親によし!教師によし!》という「三方よし」は理想の方針だと思います。

1.他律から自律へ

2.「一人」と「集団」を両立させる

それがどのような指導なのかを具体的に示してくれる「お話」があります。

野口芳宏著『フーちゃんがんばれ』 の中に収録されている「おもらしの教え」というお話です。

今回、ラジオ番組「子育てエトセトラ」の中で、青坂信司先生がそのことを解説されました。

とてもよいお話ですので、皆さんとシェアしたいと思います。

FM中標津

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水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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2件のフィードバック

  1. 大北修一 より:

    青坂先生のお言葉、心がほっこりすっきりするお話でした。教室で起きたことはすべて自分が責任を持つ覚悟が野口先生の先生にはあったのだと思います。その覚悟の上に水野先生の言われる2つの視点を持つこと。その両方があれば今の若い先生たちにも伝わると思いました。

    • 水野 正司 より:

      大北先生、コメントありがとうございます。
      大北先生と通じるものがあるのは、やはり同じような教師道を歩んで来たからだと思います。
      このことを若い先生方に如何にして分かりやすく伝えるかを考えました。
      大北先生にご理解いただいたことを嬉しく思います。
      ありがとうございます。

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