理想の学校・ブラックな学校

講座99 あれだけ意欲的だった小学校1年生が6年間のうちに勉強嫌いになってしまう要因は何か?

投稿日:

 目 次
1.手をあげても指名してもらえない
2.「原則」を知らずして「工夫」に走る
3.学校生活の「空白」が子どもの意欲を萎えさせる
4.「勉強」は嫌いになっても「先生」は嫌われない

1.手をあげても指名してもらえない

一年生のうちは、先生が問題を出すとほとんど全員が手をあげます。

しかし、指名されるのは35名いればその中の1人だけです。

その1人が正解を言ってしまったら、残りの34人は発表できません。

これをくり返せば、だんだん「やる気」がなくなりますよね。

手をあげても「指名してもらえない子」がたくさん出る。

これが「勉強嫌いを生む仕組み・その①」です。

この仕組みはどこが問題なのか?

教師の発問に問題がある。

教師が出す問題を「発問」と言います。

発問には大きく2種類あるんです。

A 答えがいくつも出て来る発問(拡散的発問)例「文房具にはどんなものがありますか?」

B 答えが決まってしまっている発問(限定的発問)例「徳川最後の将軍は誰でしょう?」

Bの発問を出して1人指名して正解だったら残りの34人は活躍できません。

ところが、Aの発問だといくらでも答えが出せます。

「はい!」「はさみです」

「はい!」「鉛筆です」

なかには「タブレットです」と答える子がいるかもしれません。

教室は「ナルホドー」となります。発表した子も満足です。

では、その中で、「アフリカに関係のある文房具はどれでしょう」と言えば、

今度は少し考えます。ここでBの限定的発問を使うのです。

「拡散から収束へ」というのが授業の基本原則です。

たくさんの子を参加させ、考えさせ、その中から高い満足をする子も生まれる。

それが基本です。

しかし、こんな基本的なことでさえ、教員養成大学では習いません。採用試験にも出ません。

ですから、テレビドラマで観たような「手をあげて優等生が答えるような授業」「ひたすら黒板を写すだけの授業」の方が広がっています。テレビの方が影響力ありますからね。

2.「原則」を知らずして「工夫」に走る

H君

次は、この4月に一年生になったH君からの報告です。

今日は英語の授業があったけど一回も当たらなかった。
たくさん挙げたけど1日で1回当たった(算数)だけと言ってました。
手をまっすぐ挙げて、姿勢がよくて、先生と目が合った人が当ててもらえる。

この報告には大事なことがいくつか含まれています。

H君は「一回も当たらなかった」と帰宅してからお母さんに報告しました。

これは、当てられるかどうかを意識しているという証拠です。

さらに、一つの教科だけではなく、一日中意識しているということがわかります。

つまり、学校では「手をあげて発表する」ということが子どもにとって大きな目標になっているのです。

そして、重要なのは次です。

どんな子が当てられるかというと、「手をまっすぐ挙げている子」、それでもたくさんいるので「姿勢がいい子」、それでもまだいっぱいいるので「先生と目が合った子」という基準で指名をしているというわけです。

これ、わかりますか?

積極的に手を挙げる子が多いんです。まだやる気があるんですね。一年生ですから。

でも、先生は「たくさんの子」に発表の機会を与えるのではなく、

「誰にどうやって当てようか」という絞る工夫をしています。

「じゃあ、先生と目が合ったから〇〇さん!」

「合った」というより意図的に「合わせた」んでしょうね。

でも、その他全員を納得させなきゃならないので、「目が合った人」という工夫をしたわけです。

このような「思い付きの工夫」は学校世界にたくさんあります。

「じゃあ、赤い服を着てる人に当てようかな」とか、

「今日は5月9日だから9の付く人」とか、

授業に全く関係のないことで時間が失われて行きます。

子どもたちも「授業とはそういうものだ」と思うようになります。

そして、高学年になるとこうなります。

中学校ではこうなります。

大学ではこうなります。

3.学校生活の「空白」が子どもの意欲を萎えさせる

私はこの「空白」が子どもたちを勉強嫌いにさせていると考えます。

「空白」にも色々あるんです。

たとえば、こんな「空白」があります。

習った漢字以外、書いてはいけません。

という先生がいます。

子どもが自分の名前を書く時にさえです。

ですから「水のしょう司」なんて書かされます。その子が「水野正司」と書けるにもかかわらずです。

作文を書く時にも、学年で習っていない漢字は使っちゃダメとなります。

これこそ、「勉強したいのに勉強できない」というおかしな現象です。

私はこのようなケースも含めて「空白」つまり、「待たなければならない状況」だと考えています。

算数でも多いです。

練習問題などが数題あると、早く終わった子が言います。

「先生、次に進んでいいですか?」

みんなが終わるまで待っててください。

自分はもっとやりたいのに待たされる。

遅い子にも、早い子にもつらいシステムですね。

「空白禁止の原則」について、とてもよくまとめられている記事がありますので紹介させていただきます。

設楽典宏さん:【授業の原則10ケ条】第7条 空白禁止の原則 4秒の空白が教室全体を混乱させる

4.「勉強」は嫌いになっても「先生」は嫌われない

学校教育というシステムの凄いところはここです。

子どもたちはどんどん「勉強嫌い」になりますが、先生というのは案外嫌われない存在なのです。

「じゃあ、先生と目が合ったから〇〇さん!」と言ってた先生も、

宿題を山ほど出す先生も、

怒鳴ってばかりいた先生も、

「みんな終わるまで待っててください」と言ってた先生も、

最後には「先生大好き!」「先生ありがとう!」と言われて一年を終えます。

そういう世界なんです。

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-理想の学校・ブラックな学校

執筆者:


  1. まき より:

    教師の授業や対応が下手で子供を勉強嫌いにさせてしまっても、そのまずさに気付かない理由が分かりました。
    子供の視点に立って、本当にその授業は楽しいのか、一人一人にとって学びのある時間になっているか、常に自問自答すること。そして、他の人に授業の改善点を指摘してもらうことが必要ですね。

    • 水野 正司 より:

      解釈の仕方がグッドです!
      もっと言うと、教師は「子どもの視点」には立てないと思うべきです。
      そして、「職業人としての視点」や「時代の要請」を忘れるべきではないと思います。

  2. はばたん より:

    今回もとても興味深かったです。

    自分の名前をノートの表紙に書くとき
    習った字しか使っちゃだめ
    配る時,みんなが読めないから。
    あるあるですね!

    これからは
    書いてOK
    他の人も習ってない字まで読めるようになる
    と答えたいです。
    最初は「なんて読むの」と聞かれそうですが。
    人数が多いと5年生でも年度当初は「これ何て読む?」って聞かれたことがありました。
    そう思うと、何年生でも、人によって読める漢字は違いますし、せっかくの意欲を大切にしたいです。それに友達の名前を通して難しい漢字を覚えられて、ほめられて、一石三鳥です。

    挙手指名は当たらない。
    やる気なくなる問題。
    挙手指名を使うなら
    拡散的発問の時にして
    「手を挙げた人、起立。
    順番に言ってごらんなさい。」
    とすればテンポよく全員当てられると考えました。
    でも発問→即挙手 は
    ちょっと難しい発問だと
    全員を思考させにくいので
    その前に別の指示が必要ですね。

    • 水野 正司 より:

      はばたんさんは学校の先生でしたか!
      レベルの高いコメントです!
      はばたんさんのような先生なら何の問題もございません。
      一般の保護者の方々に、こうした世界を知っていただきたいと願っております。

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