理想の学校・ブラックな学校

講座134 高学年での学級崩壊

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まずはこちらの動画をご覧ください。

高学年になると子どもは見抜いちゃうんです。

あ、この先生は先生として信頼できないな。

見抜く前に試してみる子もいます。

「先生、6年生にもなって大きな声で返事しなくてもいいんじゃないですかあー?」

専門用語では「アドバルーン」といいます。

その先生がどの程度なのか探ってみるのです。

阿久津真矢先生はもうこの時点で「信頼できない先生」だと判断されています。

指示の変更

責任者がしてはいけない行為ですね。

言葉を大事にしていない

「大きな声で」という言葉を使うのはそこにその先生の意図があるはずなんです。

責任者ですからね。意味のない言葉なら使っちゃいけません。

なのに阿久津先生は簡単に変えちゃった。

初めから意味を考えていなかったのだと思います。

なんとなく「大きな声で返事」という言葉を使っちゃったんだと思います。

教師ってそういうもんだと考えていたんでしょうね。

でも、それはドラマの世界の教室です。

現実世界は違うんです。

現実世界では、

A「返事をしてください」

B「はっきり返事をしてください」

C「先生に聞こえるように返事をしてください」

D「高学年ですから自分の判断でどのように返事をするか考えて返事をしてください」

全部違うんです。

一つ一つに意味があるんです。

教師は教室に入る前から、どの言葉を使うかを考えるものなんです。

Dの指示だったら、多分アドバルーンは上がらないでしょうね。

この指示を出した時点で子どもたちは、

あ、この先生は信頼できるな。教師だな。

と思っちゃいますから。

だって、子どもたちから「見られる立場」ではなく、子どもたちを「見る立場」にしていますよね。

教師の方が6年生になった子どもたちを試しているわけです。

出席をとる

こんな小さな場面ですら、教師は言葉を選んで臨んでいます。

乳児も信頼を求めます。

対象は親です。

自分が泣いた時に敏感に反応してくれるような親を信頼します。

幼少期は親への信頼を基盤にして、親以外の人へとの結びつきを求め、活動の幅を広げます。

幼稚園や小学校での集団生活がうまくできる子は、通常そのような発達の道筋をたどります。

そして、思春期です。

思春期は活動の幅をさらに広げようとします。

その対象は、もはや親や家族ではなく、自分にとっての価値ある他者になります。

思春期での価値観は、友達であったり、社会的なインフルエンサーであったり、

自分の価値観や興味、関心、憧れなどといったものに左右されます。

ここが重要です。

広い世界観を持って信頼を得ようとするのです。

「先生、6年生にもなって大きな声で返事しなくてもいいんじゃないですかあー?」

まさにこの価値観ですね。

低学年のときは、それが良い事だったのが、価値観が変わってこうなるんです。

高学年の担任は、こうした価値観を持った子どもたちと信頼関係を結ばなければなりません。

そうしなければ、この子たちの「活動の幅」は広がりません。

思春期と言ってもまだまだ子どもです。

子どもたちの可能性を伸ばすのが教師の役目です。

言葉にこだわる。

理屈っぽくなる。

それはいいことです。

子どもはそれでいいのです。

ただ、そういう子どもたちと信頼関係を結ぶのであれば、

教師はそれ以上に言葉を大切にし、論理的である必要があります。

そのためには勉強ですね。

社会人になったのなら、公的な研修だけではなく、自分で自分に投資する勉強が絶対必要です。

夏休みに遊んでいるのではなく、身銭を切って勉強している先生がいい先生である確率は高いですね。

より詳しい「教師向け」の動画はこちらです。

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