講座94 脱完食・脱宿題・脱PTA

 目 次
1.脱完食
2.脱宿題
3.脱PTA
4.理想の学校

1.脱完食

人によって何が「ブラック」かは様々でしょうが、

この記事では教職経験33年の私の中で「これは勘弁して欲しい」と泣きたくなるような「ブラック」を2つ取り上げてみたいと思います。

一つ目はこれです。

【漫画】人前で食べられない。会食恐怖症だったみたいです。(最上うみみ)

ブラックその① 給食を完食させる学校

これですね。これはもう「虐待」と言っていいと思います。

実際に、

エデュケーショナル・アビューズ(Educational Abuse)とか、

エデュケーショナル・マルトリートメント(Educational Maltreatment)などと呼ばれています。

「教育虐待」とは、2011年12月、日本子ども虐待防止学会において、「子どもの受忍限度を超えて勉強させるのは教育虐待になる」と武田信子教授が発表したことが契機となり、児童虐待を語る現場において用いられるようになった言葉です。(「#教育をめぐる虐待」武田信子)

私も、講座34 ダメな叱り方【トップ3】で取り上げています。

完食の強制は先生が「よかれ」と思ってやっているので力が入ってしまうのです。

その力の入れ具合がハンパありません。

  • 昼休みになっても一人残されて食べさせられる
  • 残したら罰として体育館の器具庫に入れられる
  • 給食食べ残し表を貼り出される

私が受け持った子の中には「給食」という言葉を耳にしただけで泣き出してしまう子がいました。

その子は新学期の初日から学校に来れませんでした。

理由を聞くと「給食があるから」ということでした。

過去のつらい経験が脳に刻まれ、体が拒否反応を示すまでになっていたのです。

「給食」という言葉を聞いただけで自然に涙があふれてくる。

これはもうPTSD(心的外傷)と言っていいでしょう。

安心できるようになるまで一年くらいかかりました。

2.脱宿題

ブラックその② 宿題の多い学校

これは以前に、『宿題をハックする』講座83 宿題は誰が決めるもの? で書きました。

ちなみに、講座83の中身は次のようになっています。

1.私の宿題の出し方
2.「のび太」や「カツオ」が生まれるわけ
3.本来はどうなのか?
4.私が宿題を出したくない理由
5.それでも宿題を出す場合はある
6.宿題って誰が出すもの?

きっともう忘れちゃってる方もいると思います。

興味のある方はあとで読んでみてください。

今日は、これらに新しい情報を付け加えておきます。

【新情報①】 今は「春休み」にも宿題が出されている!

びっくりですね。

春休みと言えば、唯一「宿題のない長い休み」として子どもたちが楽しみにしていた休業期間だったはずです。

学校としても、担任の先生が変わったりするので「宿題は出さない」のが通例でした。

ところが今は、その「春休み」にさえ宿題を出す学校があるのです。

誰がチェックするのでしょうかね。新しい先生?保護者?

まさかとは思いますが、学校で教え切れなかった内容を宿題に回しているわけではないでしょうね。

それだけは「まさか」と信じたいです。

【新情報②】子どもが「勉強嫌い」になる仕組みを解く

私の研究サークルには「新一年生の保護者」もいますし、「新一年生の担任の先生」もいます。

一年生って、「学校好き!」「早く勉強したい!」って意欲満々ですよね。

ところが学年が上がるにつれて「勉強嫌い」が増えていきます。

「勉強嫌い」のまま大人になるので、日本の大人は世界有数の「勉強嫌い」ですよね。

つまり、日本の学校教育は、勉強を嫌いにさせる巨大なシステムなのです。

そこで、研究会サークルでは、現在、次の調査をおこなっています。

一年生が「勉強嫌い」になるのは、いつ・どこでなのか?

あの「勉強好き」だった一年生が、勉強を嫌いになるのはいつなのか?

恐らく一学期のどこかで何かが起きるはず。

そう目星をつけて、学校と家庭の両方から、観察をしているところです。

4月22日現在では、まだ「勉強嫌い」は出ていませんが、

注目すべき観点はいくつか見えて来ています。

仮説① 手をあげて、指名されて、発表する場面

子どもって「先生!見て見て!」って注目されたいですよね。

一年生って、たくさん手をあげて発表しますよね。

でも、せっかく手をあげても「指名されない」「評価されない」という場合も出て来ます。

先生がそのような授業スタイルを続けていると、いつしか子どもたちは発表しなくなるのではないかという仮説が一つ目です。

仮説② 待たされる場面

ほとんどの一年生は「やる気」に充ちていますが、勉強のスピード、行動のスピードは子どもによって違います。

遅い子もいれば、早い子もいます。

そうすると様々な場面で「時間差」が生まれます。

この時間差を調整するために、早く出来た子を待たせると「空白」が生まれます。

待たされた子は「退屈」になります。あるいは「我慢」します。

この「退屈」や「我慢」は、「やりたいけどやれない」という症状です。

せっかくの「やる気」に水をかけてしまうようなものです。

家の中ではほとんどありませんが、学校教育の中におけるこの「空白」。

これが子どもたちの「やる気」を削ぐのではないかというのが二つ目の仮説です。

仮説③ 不適切な宿題

多分ですね。「宿題好き!」っていう6年生は珍しいんじゃないでしょうか?

宿題って勉強ですから、「宿題好き!」っていう子は「勉強好き」と言っていいでしょう。

そして、その逆が「勉強嫌い」です。

一年生ってどうなんでしょうね?このGWの最中とか宿題が出されるのでしょうか。

一年生はそれの宿題を積極的意欲的に取り組むのでしょうか。

その宿題が子どもの学習意欲を削ぐようなものなら、それは「不適切な宿題」ということになり、

「不適切な宿題」が子どもの「勉強嫌い」を生むという仮説を立てています。

今後も観察を続けます。

3.脱PTA

理想の学校① PTAを強制しない学校

そもそもPTAは任意団体なので自由参加です。

でも、「みんな入っているのでウチも入る」というのが現状でしょうね。

「加入や役員を強制しない」というのが理想でしょうが、現実には難しいようです。

PTA(Parent-Teacher Association)は、

敗戦後の日本に民主主義を広める目的でGHQが指導して結成を広めたものです。

昭和21年の話です。

今はもう民主主義が十分に定着しているので、もう要らないんじゃないかという意見もあります。

また、保護者の方々の声を聞くと、かなり形骸化しているようです。

こんな実態があります。

  • 役員になりたくないので総会には参加しない(多数)
  • 役員になる人が少ないので3年先の役員まで4月に決めておく。
  • 草抜きに参加してくれる人が少ないので旧年度の役員まで駆り出される

このような話は、ググればいっぱい出て来ます。

有名なのは「2コマでPTAを叫ぶ母」さんのTwitterですね。

ヤフーニュースでも紹介されています。

「PTA問題の構造はセクハラやDVと一緒」 “あるある漫画”を経験者が描き続ける理由

【追記】 すでに本当の意味での「任意性」を取り入れている学校もあるそうです。その結果、4分の3くらいの保護者が自主的に参加されたそうです。それでいいですよね。

仮にPTAがなくなったとしても、CS(コミュニティスクール)が整備されていれば地域の協力が得られるのではないでしょうか。

4.理想の学校「楽しそう」

理想の学校② 楽しそうに勉強を教えてくれる学校

これに尽きますね。

学校は勉強を教えてくれるところですから、勉強を好きになって欲しいです。

嫌いにさせるのは本末転倒。

では、どうしたら子どもたちは勉強が好きになるか。

理科好きの先生は理科を楽しそうに教える。

国語好きの先生の国語を楽しそうに教える。

それが、子どもの心に響く(影響を与える)行為。

私はこのことを京都大学名誉教授の神田啓治先生から教わりました。

私たち大人が、宿題や勉強を「苦役」だと思って子どもにやらせているとすれば、

それは嫌いになって当然でしょう。

その前提が「苦しいもの」になっているからです。

勉強が本当に楽しいものであるならば、大人たちも楽しそうに勉強しているはずです。

誤魔化しようがありません。

子どもたちはすぐに真実を見抜きます。

PTA活動にしても同じです。

その活動が本当に必要なものであるならば、保護者はボランティアとしてでも参加するでしょう。

どこかに無理をしている活動、形骸化している行為を、

今の時代にこそ「ニューノーマル」として築き直さなければならないように感じています。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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2件のフィードバック

  1. はばたん より:

    勉強が好きという人はいても、宿題好きっていう人って本当に稀だろうなと思いました。
    なぜだろうと考えました。
    他者から決められたことで、
    毎日責任や期限(忘れてはいけない)に追われ
    やっても褒められない
    からかなと思いました。

    • 水野 正司 より:

      確かに。
      「宿題が好き」はいませんね。
      勉強は自分からするから楽しいのですね。
      本質ですね。

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