講座83 宿題は誰が決めるもの?
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「子どもの宿題で困っている親御さん」の話をよく聞きます。
夏休みや冬休みの宿題もそうですが、
毎日の宿題こそ「子ども」にとっても、「家庭」にとっても、
生活に影響する重大な関心事ですよね。
2.「のび太」や「カツオ」が生まれるわけ
3.本来はどうなのか?
4.私が宿題を出したくない理由
5.それでも宿題を出す場合はある
6.宿題って誰が出すもの?
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1.私の宿題の出し方
私は「宿題反対派」の教師でした。
宿題は出しません!
だって、教師も楽ですし、子どもたちも喜びますよね。
だから、「出しません!」って言ってました。
そうすると、どうなるか、わかりますよね。
「先生、困ります!宿題を出してください!」
って、保護者から言われるんです。
理由を聞くと、
宿題を出してもらわないと勉強しないんです!
と言います。
「勉強しなくていいんじゃないの? 学校で勉強してるし!」
と私は心の中で思います。
でも、保護者が言うんだったら仕方ないですよね。(注)ここ大事!
それで、しぶしぶ、宿題を出すことにしていました。
「それでは、日記を毎日の宿題にしようと思います」
高学年を担任した時は、そんな感じでしのいでいました。
低学年の時は「ひらがなの練習」を中心に出していました。
面と向かっては言われませんでしたが、親御さんはきっと、
「もっと増やして!」と思われていたかもしれません。
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2.「のび太」や「カツオ」が生まれるわけ
どうして私はそんな先生になったのでしょうか。
それには理由があります。
大学を出て、初めて先生になった時に、何も考えずに宿題を出していました。
まわりの先生方も出していましたし、自分が小学生だった頃も宿題があったからです。
テレビでサザエさんが「カツオ!宿題やったの!」っていつも怒っていましたし、
のび太も宿題に困っていましたよね。
それが普通だと思っていました。
ところが、実際に学校の先生になって宿題を出すと、
教室に次のような現象が起き始めるのです。
勉強が得意な子はいとも簡単に宿題をやって来る。
たくさん勉強して欲しいと思っている子ほどやって来ない。
「のび太」や「カツオ」が生まれるわけです。
そこで私は考えました。
「のび太」や「カツオ」はどうして宿題をやって来ないのか。
やって来たとしても、間違ってばかりいるのはどうしてなのか。
この理由は簡単に見つかりましたね。
ざっと3つです。
(1)宿題がわからないから・難しいから
(2)早く遊びたいから・やりたくないから
(3)宿題に取り組む環境の問題
大事なことなので、じっくり考えてみましょう。
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3.本来はどうなのか?
(1)宿題がわからないから・難しいから
(2)早く遊びたいから・やりたくないから
(3)宿題に取り組む環境の問題
(1)は教師側の問題です。
子どもがわからない問題、難しいと思う問題を宿題に出すのが間違っている。
そうですよね。
だって、学校で勉強して、わかるようになって、復習として、できる問題・やれる問題を「宿題」として出すわけですから、
ここ、重要ですよ。
(1)の場合は、次の2つのケースにつながる可能性があるわけです。
①教師の授業がわかりにくい
②授業でやり残した部分を宿題にしている
これ、どっちもダメですよね。
わかりやすく教えるのが先生の仕事ですし、
「やり残し」が出るのは学校で決められた計画通りに進んでいないということです。
漢字スキルや計算スキルなども本来は授業中に扱うものです。
それをやらずに宿題に回してしまうケースもよくありませんね。
(2)も同じです。
難しいから逃げるのです。
分からないから、時間を奪われることが分かっているのです。
(3)は、まれにありますが、家庭の事情で宿題をやる時間がなかったり、場所がなかったりする場合です。
これには別な形での支援が必要になります。
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4.私が宿題を出したくない理由
それなのに家庭ではどんなことが起きるか!
子どもが叱られる=「ちゃんとやれ!」「宿題やったのか!」「ちゃんと授業聞いてろ!」
これ、違いますよね。
わからない問題を宿題に出していることに問題があるのですよね。
つまり、授業に問題があるのです。
でも、そのことを口にする親御さんはほとんどいません。
先生との関係を悪くしたくないですからね。
それなら子どもを叱った方が手っ取り早い!目の前にいますし!
でも、本質は、そこではないわけです。
勉強が得意な子はいとも簡単に宿題をやって来る。
たくさん勉強して欲しいと思っている子ほどやって来ない。
こういう状況が生まれるのが問題の本質です。
だから私は決めました。
「たくさん勉強して欲しいと思っている子」をそのまま家に帰してはいけない!
そのまま帰しちゃうからダメなんです。
だったら、放課後に残して勉強させるのか?
これもダメですね。最悪です。子どもの自尊心がズタズタになります。
そこで、もう、これしかないわけです。
授業時間内で、わかるようにさせる・できるようにさせる。
特に、勉強が苦手な子に対してです。
ただし、これは難しいことです。
勉強が苦手な子を、授業の中で、「特別扱い」するのはダメです。
自尊心が傷つきます。
みんなといっしょに、いつのまにか、わかるように、できるようになっている。
これが大事になってくるわけです。
だから、教師の役割というのは、
勉強が苦手な子に対して、
授業の中で、みんなといっしょに、
いつのまにか、
わかるように、できるようにさせること。
なんです。
それが、教師という専門職の教え方なんです。
そういう専門的な「教え方」があるということです。
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5.それでも宿題を出す場合はある
みんなといっしょに、いつのまにか、わかるように、できるようになっている。
そういう授業をしていれば、本当は宿題なんか要りません。
でも、親御さんは宿題を出して欲しいって言いますよね。
そこで、復習として、授業でやった「同じ問題」や「似た問題」を宿題に出します。
すると、どうなるかわかりますか?
あっという間に終わる!
「アンタほんとに宿題やったの!」なんて言われたりします。
いいのです。それは学校でちゃんと理解できているという証拠ですから。
これはとっても望ましい姿です。
「学習習慣」という言葉があります。
家で机に向かう習慣です。
これはこれで子どもの財産として必要です。
中学、高校、仕事に就いた時に「机に向かう」という習慣は財産になります。
集中力や勤勉性という別な言葉で表現することもできます。
でも、それは宿題に限らず、遊びや読書や趣味や習い事の中でも身につけることができます。
そういう視点も忘れないでいただきたいと思います。
あと一つだけ付け加えますと、「調べること」や「考えてくること」が宿題となって出される場合があります。
これはドリルのような練習問題を解くような宿題ではありません。
「宿題」というより「課題」ですね。
こんなような言葉で出されます。
次の授業で扱いますから、みなさんもおうちで、考えたり、調べたりしてみて下さい。
これからはこういうタイプの勉強が増えていくと思います。
家にあるインターネットやスマホで調べるような活動が増えてくる時代です。
宿題の在り方もきっと変わってくるものと思われます。
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6.宿題って誰が出すもの?
最後にこのことを考えて終わりにします、
ところで、学校の宿題って誰が決めるものなのか知ってますか?
校長先生?
担任の先生?
子どもが自分で?
実は、ちゃんとした法律があるのですが、具体的な仕組みや連携の仕方がバラバラなのが実情です。
新しい時代に向けて、ちょっと考えてみませんか?
玉川大学教授の谷和樹先生が解説してくれます。
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