1歳半~6歳(幼児期) 6~12歳(児童期) 正しい叱り方

講座38 正しい叱り方【応用編】

投稿日:2020年8月15日 更新日:

 目 次
1.ケンカした時
2.ガラスを割った時(学校編)

1.ケンカした時

 さあ!応用編の始まりです!
 前回の講座では「叱り方の原則」をお伝えしました。
 兄弟ケンカの時も原則は変わりません!原則ですからね!

原則は「刺激しない」と「考えさせる」でした。

 たとえば、こうなります。

 一言目は、「おいで」。
 刺激しないように言います。
 「いらっしゃい」も上品でいいですね。

 考えさせる言葉は「どうしたらいい?」で十分でしょう。
 もう分かってるはずですから。

 でも、ケンカの場合は考えさせる前に何かが入ります。
 それは「事情を聴く」です。
 ケンカですから興奮しています。
 呼び出したとしても腹の中に「言いたい事」があるはずです。
 とりあえずはそれを聴いてあげる(吐き出させる)。
 もちろん一人ずつ。
 途中で口出しさせず。
 一回切りのチャンスで。

 吐き出させたら終わったようなものですが、
 儀式として「どうしたらいい?」と聴きます。
 大抵は「あやまる」となるでしょう。
 一人ずつ謝らせます。
 先に手を出したほうから先に謝らせるといいでしょう。
 こういう小さい所に子どもはこだわります。
 それは生きる知恵、生きる力です。
 大事にしてあげます。

 そして、お互いが謝った後に親としての大事な役目があります。
 それは終了宣言です。
 もうこの件はこれでオシマイという宣告をします。
 小さい子だったら「仲直りできたね」でもいいでしょう。
 「これが仲直りというものだ」ということを教えることになります。

 この構成がケンカ対応の基本です。
 構成の柱になっているのが「刺激しない」「考えさせる」という原則です。

 構成が分かったところでポイントを深掘りしてみましょう。
 応用するためにはポイントをおさえることが有効です。

 ポイント① 言葉を削る。

 一言目が「おいで」でした。
 短いですよね。
 実際に発する言葉がこの「おいで」だけということです。
 余計な言葉は加えません。
 もし、「おいで」と言っても来なかったらどうするか。
 また「おいで」と発するだけです。
 目を合わせてこれをやれば十中八九来ますね。
 怖い雰囲気にもなります。
 緊張感も出るでしょう。
 でも、感情を刺激するのとはまったく異なります。
 こちら側が感情的ではありませんから。

ポイント② 主導権を渡さない。

 「主導権を握る」と言ってもいいのですが、ちょっと違います。
 「渡さない」が大事なのです。
 ありがちな対応として次のパターンがあります。

 「どうしてケンカしたの?」

 これを言ってしまうと子どもが主導権を握ります。
 言い訳をするチャンスを渡してしまうことになるからです。
 これを渡したらキリがありません。
 子どもはいくらでも言い訳をします。
 言い訳のチャンスを与えることは、防衛反応のスイッチを押すのと同じです。
 だから「渡さない」というのが大事になります。

 ちなみに、「どうしてケンカしたの?」と聴くのと、
 「事情を聴く」は、似ていますが違います。
 事情を聴くときの言葉を覚えていますか?

 「言ってごらん」

 これだけです。
 普通なら「何があったのか言ってごらん」となるでしょう。
 それでもいいのですが(そういう意味なのですが)、
 ここは敢えて言葉を削っています。

 「言ってごらん」

 これで通じるのです。
 通じるのですから余計な言葉は付けません。
 子どもは賢いです。
 余計な言葉を付けると主導権を奪われます。
 事情を「聴いてあげましょう」「ワンチャンスだよ」
 という感じで主導権を渡さずに進めるわけです。

ポイント③ 叱られ方を教える。

 兄弟げんかは何度も起きるものです。
 そのたびに同じ叱り方をします。
 同じ叱り方をすることがポイントです。
 そうすると「叱られ方」を覚えます。
 対応が短くなります。
 短く済むようになったらシメタものです。
 毎回それをくり返すだけです。
 「叱られ方」を覚えるのはいいことなのです。 

2.ガラスを割った時(学校編)

 私が中学校で教頭をしていた時の叱り方を紹介します。

 器物破損の指導のシメは教頭の役目でした。
 生徒は校長室に呼び出されます。
 私は机をはさんで向き合い、黙って一枚のカードを差し出します。
 カードには「叱られ方」と書いてあります。

1.あったことを話す。
2.あやまる。
3.今度からどうするのかを言う。
4.最後にもう一度あやまる。

 私は無言です。
 生徒が謝りに来ているのですから口を開かなければならないのは生徒です。
 そのチャンスを奪ってしまってはなりません。
 ただし、指導の支援は必要です。
 それがこのカードです。
 気づかない場合は黙って数字を指さしてあげます。
 そうすると例外なく1~4の手順で進みます。
 時間はかかりません。
 緊張感はありますが、あっという間に終わります。

1.あったことを話す。

 世の中ではこれを「報告」と言います。

2.あやまる。

 世の中ではこれを「謝罪」と言います。

3.今度からどうするかを言う。

 世の中ではこれを「反省」と言います。
 「反省しなさい」という言葉を学校の先生方はよく使いますが、
 教師も生徒も「謝ること」や「振り返ること」が反省だと勘違いしているケースがよくあります。
 そうではなく、「次にどうするか」という方針を示すのが反省です。

4.最後にもう一度あやまる。

 世の中ではこれを「色」と言います。
 「反省している色」の色です。
 心の中での反省も大切ですが、社会に出たならば、
 それを態度で表すことが大事になります。
 中学校は義務教育の仕上げですから世間に出しても恥ずかしくない生徒を育てなければなりません。
 ですからこの「色」もちゃんと教えます。
 1~3が済んだ生徒はテーブルの向かい側で最後にもう一度謝ります。
 こうすると校長室を出る時にドアの前でもちゃんと頭を下げます。
 気持ちよく短時間で終わります。

 ちなみに、この指導においても、
 「ケンカの時の叱り方」と同じポイントが使われています。 

ポイント① 言葉を削る。
ポイント② 主導権を渡さない。
ポイント③ 叱られ方を教える。

 これが「原則」を応用するためのポイントです。

※この講座では次の著書を参考にしました。

向山洋一『かしこい子を育てる秘訣12』

https://www.tiotoss.jp/products/detail.php?product_id=2837

-1歳半~6歳(幼児期), 6~12歳(児童期), 正しい叱り方
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