講座210 新型コロナ/子どもたちに教える

これは長野県茅野(ちの)市のHPにある説明書です。

作者は諏訪中央病院の玉井道裕先生です。

この説明書はとても分かりやすく作られています。

多分、小学校高学年以上ならだいたいの内容は理解できると思います。

前から思っていたのですが、

新型コロナのこと子どもたちはどう受け止めているのか?

って、大事なことだと思います。

これからを生きる子どもたちですからね。

コロナは大人だけの問題ではありません。

そこで重要になるのは次のことです。

大人は子どもにコロナのことを教えているか?

放っておけば子どもたちの情報は限られます。

テレビやネットやSNSに流れている情報が優位になるのではないでしょうか。

積極的に教えている大人って案外少ないのではないでしょうか。

そう思って今回は「新型コロナ」を子どもたちにどう教えるかというテーマで、

ちょっと変わり者の私が扱ってみたい情報を並べてみました。

 目 次
1.感染者数を示すグラフの見方
2.素直に見る
3.疑問が大切
4.グローバルに考える
5.まとめ

1.感染者数を示すグラフの見方

テレビなどで流れるグラフって、最近の感染者数が如何に増えているかが分かるように切り取られているじゃないですか。

だから、私は第1波から第6波までがどうなっているのかが一目で分かるグラフを見せたいと思います。

これは石川県が公表したグラフ(富山新聞作成)です。

石川県内の感染者数を示すグラフですが、これ、いいですよね。

とっても分かりやすいです。

こういう「全体が見えるグラフ」って大事ですよね。

黙っていたらお目にかかれません。

だから「検索」が大事です。

検索させる

小学校3・4年生くらいなら検索できるんじゃないでしょうか。

キーワードは大人が教えてあげる。

それでも大きな意味があると思います。

情報は「取りに行く」時代ですからね。

「ああ、情報ってこうやって調べるんだ!」

「へえ、スマホってこうやって使えるんだ!」

世の中に流れている情報の取り方を知り、

自分で調べ、

客観的に分析・評価することを

難しい言葉で何と言うか知っていますか?

「メディア・リテラシー」とか「情報リテラシー」と言います。

リテラシーというのは、「読んだり書いたりする能力」のことです。

情報を読んで、理解して、自分なりの発信する力です。

今は学校の教科にはありませんが、

子どもたちが大きくなった時には「教科」になっているかも知れませんよ。

2.素直に見る

次に必要なのは「素直に見る」という読み取り方です。

千葉大の宇佐美寛先生は「考えるな。見よ。」という名言をおっしゃっていましたが、

世間の大人が言ってることに惑わされずに、このグラフからわかることを素直に表現することが大切です。

学校の授業では「わかったこと、気づいたこと、思ったことをノートに書いてごらん」などと指示します。

そうしますとですね、

絶対、こんな風にノートに書く子がいるはずです。

山になってる。

そうです。

そういう簡単なことでいいのです。

私ならその発表に対して、「すごいなー!」「すごいことに気づいたねー!」などと言います。

そう言われるとうれしいじゃないですか。

周りの子も「そんなんでいいのか!」と燃えて来ます。

だから学校の授業って楽しいんです。

山になってる。

つまり、「上ったら下る」ということです。

「終息」はしなくても「収束」はするということです。

ですから今ある第6波も、いずれ「下る(収束する)」ということが予想できますよね。

だから、すごく大事なことなんです。

大人って、こういうことに気づきにくいですよね。

大人の見方って、長く生きている間に偏ってしまうんです。

この偏りのことを「バイアス」と言います。

子どもは大人に比べてバイアスが小さいので、早めにメディア・リテラシーを身につけて欲しいですね。

3.疑問が大切

「わかったこと、気づいたこと、思ったことをノートに書いてごらん」

こうやって授業をしているとですね。

次のようなことをノートに書く子が現れてきます。

日本全体も同じだろうか?

そうですよね。

さっきのは石川県だけの感染者数ですから。

こういう素朴な疑問というのも大切なのです。

そして、実はこれ、高級な思考なんです。

「資料という情報に対して疑問を持つ」というのは簡単にできることではありません。

大人だってそうじゃないですか。

ニュース報道をみて「へえーそうなんだ」で終わっていませんか?

普段の生活の中で情報に対して疑問を持つというのは高級な思考なんです。

そして、これこそ「メディア・リテラシー」の能力なのです。

そうしますと、授業をする先生はそれを予測して日本全体の感染者数(第1波~第6波までの)を示すグラフを用意しておきたいですよね。

あるいは、それは課題として残しておいて、子どもが自発的に調べる場面を作るという手もあります。

みなさんもぜひ調べてみてください。

大人でも簡単には見つからないと思います。

第5波までなら簡単に見つかるんですけどね。

4.グローバルに考える

今の時代に授業をするならグローバル(世界的規模)でメディア・リテラシーを身につけさせたいですね。

「わかったこと、気づいたこと、思ったことをノートに書いてごらん」

鍛えている学級では、この指示だけで、クローバル視点も出てくるかも知れませんよ。

でも、私ならここで授業を急展開させたいですね。

「ところで、世界で最初にオミクロン株が見つかったのはどこの国か知ってますか?」

これは知ってる子がいると思います。

「南アフリカです。」

「そうですね。南アフリカ共和国です」

「では、それはいつですか?」

みなさん、いつだったかご存知ですか?

それは2021年の11月です。

そして続けざまにこう言います。

「このグラフを見て、わかったこと、気づいたこと、思ったことをノートに書いてごらん」

これ、多分、子どもたちは一斉にバァーッとノートに向かうような気がします。

みなさんはもう、この後の展開が予想できますよね。

そうです。

現在、日本で爆発しているオミクロン株も、やっぱり収束するのだと。

それは、世界で最初に流行した地域を見ればわかるのではないか?

今回は教師がこの視点を与えましたが、

こういう授業をしていると、子どもたちにグローバルな視点が身についていくはずです。

ついでなので、このグラフをもう少し深読みしますと、

「下り(収束)」が始まったのはデルタ株の時に比べて「急激」ですよね。

急激に上って、急激に下っていることが読み取れます。

第一生命経済研究所の西濱徹さんは次のようにレポートしています。

今月21日時点では同基準で305人と早くも頭打ちする兆候が出ているものの、依然として感染爆発状態であることは変わらない。「南アフリカ、オミクロン株の流行は早くもピークアウトか?」2021.12.23)

南アフリカでのオミクロン株のピークは2021年の12月21日だったというレポートです。

ここから言えるのは、「オミクロン株は2~3ヵ月くらいで収束に向かうのではないか」という見方です。

日本で第6波が始まったのは1月の上旬ですから、2月~3月が我慢の時。

もしかすると、4月には平常になるかも知れませんよね。

一つの見方ですが、そんな見通しを持つことができます。

5.まとめ

いずれにせよ、大切なのは、

その見通しが正しいかどうかではなく、

世の中に流れている情報の取り方を知り、

自分で調べ、

客観的に分析・評価すること能力を子どもたちに見につけさせることです。

その能力を難しい言葉で何と言うか覚えましたか?

そう。「メディア・リテラシー」です。

それは、今と未来を生きる子どもたちに必要な能力です。

そして、その能力を身につけさせるのは大人の役目です。

放っておいて身につくものではありません。

多くの大人が、意図的に、計画的に、組織的に見につけさせる必要があると思うのです。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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