講座200 冬休みの宿題を分析する

 目 次
1.理想的な宿題
2.どうして「冊子」がよいか
3.どうして答えが「別冊子」になっているのがよいのか
4. どうして「問題の中に答え」が書かれているのがよいのか
5.まとめ

1.理想的な宿題

冬休みです。

小学校のお子さんはどんな宿題を持って帰りましたか?

理想的なのはですね。

(1)冊子になっている

(2)できるだけ「薄い

(3)答えが「別冊子」になっている

(4)答えだけではなく「問題の中に答え」が書かれている

たとえばこれですね。

答えが別冊子ですね。

答えの中を開くと、問題ページも表記されている中に答えが示されています。

お子さんの宿題がこのタイプだった方は超ラッキーです!

2.どうして「冊子」がよいか

どうして冊子がいいか。

理由は単純です。

プリントだとバラバラになるからです。

「なんだそんなことか」と思わないで下さい。

子どもにとっては大きな違いなんです。

いろんな物の中からプリントを探すのは一苦労なのです。

何かにはさまっていたり、

同じようなプリントがあったり、

裏や表を確かめたり、

どこかに行ってなくなっていたり…

ここでつまずくと、始める前に気持ちが萎えてしまいます。

しかし、冊子だと「厚み」があり、「1冊」にまとまっているので楽です。

机の上に置いても落ちてなくなる心配もありませんし、本棚にタテにしまうこともできます。

だから冊子がいいのです。

学校の先生の中にはプリント好きの先生がいて、

印刷したプリントをわざわざホチキスで綴じるという大変な作業をする方がいますが、

それはそれは大変な働き方だと思います。

そういう先生方のためにも「冊子」をオススメします。

2.どうして「薄い」のがよいか

地域にもよりますが、たとえば冬休みが25日間あったとします。

夏休み・冬休みというのは「休み」であるところに意味があります。

普段とは違う生活をするのが本来の目的です。

それなのに、毎日宿題を出す先生がいます。

25日間あったら25日間びっしりです。

心ある先生だったら「びっしり」を避けます。

少し余裕を与えて「20日程度にしておこう」などと考えます。

これが「薄い」の意味です。

これとは反対に「できるだけ多くやらせよう」という先生は「厚い問題集」を選びます。

ここを見るだけでも先生の思想がわかります。

私の師匠である向山洋一先生は本の中で次のように書かれています。

もともと勉強に適さないから、夏休みがあるのである。
夏休みにしかできないものをやった方が、ずっと良いのである。
 <水泳の級を上げること>
 <十日もかけて一枚の絵を描くこと>
 <物語をたくさん読むこと>
 <遊ぶこと>・・・・・・
そうした一人一人の目標の方が、どれほどためになることか……。
ドリルをやってくるより、水泳の級が上がってきた方が、
そうした体力・気力・自信をつけてきた方が、
二学期からの学習にどれほど役立つか測り知れない。
本校では、今年からドリルのような宿題をできる限り減らし、
一人一人に合った課題にしていこうと、職員会議で申し合わせた。
(『授業の着想』)

向山先生の学校では職員会議で、「できるだけ減らす」ことを申し合わせました。

これが「できるだけ薄い冊子」の思想です。

しかし、先生方にも個性というものがあって、全員が同じ方向を向かない場合もあります。

学年で方針を立てる場合もあるでしょうし、

先生方一人一人に任される場合もあるでしょう。

そうした様々な状況の中で、「できるだけ薄い冊子」を選んでくださった先生には感謝したいものです。

3.どうして答えが「別冊子」になっているのがよいのか

意地悪な先生、意地悪な保護者は、答えを子どもに渡さないために別になっていると考えるようです。

とんでもない勘違いです。

そうではありません。

これは、子どもが答え合わせをするときに見やすいから別冊子なのです。

ドリルの中には最後のページに答えが張り付いているのがあります。

答え合わせをするのが大変です。

答えを破きたくなります。

そうではなく、はじめから自分で答え合わせがしやすいように工夫されたのが「別冊子」なんです。

もう一度書きますが、自分で答え合わせをしやすいようにするためです。

「自分で」です。

それなのに、答えを持たせない先生や保護者がいるのです。

使い方を間違っているだけでしたら、すぐに直してください。

学校の宿題というのは「学習習慣」や「学習の仕方」を身につけるためにあるのです。

ただやればいいというものではないのです。

ここまで読んでびっくりされた方がいらっしゃるのではないでしょうか。

「えっ!じゃあ親が宿題のマル付けをするのはどうなの?」

もちろん理想的ではありません。

最悪なのは休みの最後の方になって、まとめて答え合わせをするケースです。

それでは学習になりません。

合っているかどうかを確かめるのが答え合わせです。

勉強した直後、勉強している途中で確認するものです。

それを別な日に、それもずっと後になってするなんて、

それは「答え合わせのための答え合わせ」に過ぎません。形だけです。

私は「親がマル付けをする」と聞いた瞬間に、

「まとめてするんじゃないだろうか?」と心配になります。

マル付けは自分が、学習の中で、するのが理想です。

どこで間違えたかを知り、間違った所を直す。

直す時は答えを写したってかまいません。

それが勉強です。

これは私の孫の今年の冬休みの宿題です。

幸いなことに「薄い冊子」で「答えが別冊子」でした。

マル付けも自分でしていました。

ちょっと笑える所もありますが、それはご愛嬌です。

時間のある時に親が「どれどれ」と見てあげて笑い話にすればよいのです。

宿題なんてそんなものです。

4. どうして「問題の中に答え」が書かれているのがよいのか

これが別冊子の答えです。

答えが答えだけではないのです。

問題文も示して、その中に答えが書かれているのです。

これは答えを見つけやすくするためです。

これも子どもが自分で答え合わせをすることを前提に作られた工夫です。

すぐれた教材にはこうした工夫・思想・設計があるのです。

そうしたことを知らずに、大人が答えを取り上げてしまうのは、

宝物をドブに捨ててしまうようなものです。

もったいないですね。

学習習慣、学習の仕方は一生の財産になるのです。

5.まとめ

(1)「冊子」になっている

(2)できるだけ「薄い」

(3)答えが「別冊子」になっている

(4) 答えだけではなく「問題の中に答え」が書かれている

たかが「冬休みの宿題」ですが、

学校の先生や教材会社の設計者は、このような工夫をして、

子どもたちの「夏休み」や「冬休み」の時間を有意義なものになるように努力しているのです。

最後に、まったりとした動画ですが、

年末に語り合ったYouTubeライブを紹介させていただきます。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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