理想の学校・ブラックな学校

講座90 学校の先生の叱り方

投稿日:2021年4月14日 更新日:

 目 次
1.実は「親のニーズ」
2.X世代(バブル世代)の保護者
3.Y世代(ミレニアル世代)の保護者
4.Z世代(ニューノーマル世代)
5.未来を変える大きな力

1.実は「親のニーズ」

学校の先生の「叱り方」にも流行があるのを知っていますか?

そして、その流行はその時代の「親のニーズ」を反映しているのです。

【団塊世代の親】:悪い事をしたらガツンと叱ってやって下さい!

そういう保護者が多かったので、先生方も「ガツン」とやっていました。(^^)/

家庭訪問なんかに行くと、「先生、遠慮しないで叱ってやってください」と言われたものです。

で、先生方も遠慮しないで叱っていましたね。

今でいう「体罰」なんかも間々見られました。

2.X世代(バブル世代)の保護者

1960年代~70年代生まれを「X世代」と言いますが、この世代が親となるのは、

ザックリと「30」を足して、1990年代です。

「クレーマー」とか「モンスターペアレント」とかが流行った時代ですね。

【X世代の親】:言いたい事を言う。

斯く言う私も「X世代の親」です。

「黙っていちゃいけない」「言いたい事は言うべきだ」

そういう風潮がありました。

中には「重箱の隅をつつく」ようなクレームもありましたが、

言ってることはもっともなのです。正論です。

従って学校は「何も言えない」「受け入れるしかない」といった姿勢になりました。

「子どもを叱る」ということに対して用心深くなったわけです。

この変化には良い面と悪い面がありました。

体罰や罵倒など、暴力的・暴言的な指導が消えたのは良い面です。

しかし、その一方で「駄目なものは駄目」といった「強い指導」が出来なくなりました。

恐らく「いじめ」じゃないかと思われる場面を見ても、

一人ずつ個別に呼んで話を聞くなど、慎重な指導が増えました。

そのため、指導が後手に回ることも多くなり、

問題の悪化・泥沼化、保護者からの不信、保護者への不信など、

学校にとっても、親にとっても、子どもにとっても、良くない状況へ傾いてしまいました。

3.Y世代(ミレニアル世代)の保護者

1980年代~90年代生まれが「Y世代」です。

この世代が親となるのは、ザックリと「30」を足して、2010年代です。

つい最近ですね。現在30~40歳くらいの親です。現役の「保護者」です。

千年紀(2000年代)に成人・社会人となったことから「ミレニアル世代」とも呼ばれます。

それ以前のX世代と決定的に違うのは次の点です。

【Y世代の親】:インターネットと共に成長してきた。

そのことから「デジタルネイティブ世代」とも呼ばれています。

Y世代の特徴 (出典:IDEAS FOR GOOD

  • 情報リテラシーが高い
  • 物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求める
  • 仲間とのつながりを大事にする
  • より社会貢献性の高い仕事に興味がある

X世代(バブル世代)はモノやブランドに対する消費意識が強かったのに対して、

Y世代は、イベントやボランティア活動への参加など、共感や体験といった「コト」への意識が強いと言われます。

また、X世代は「言いたい事を言う個人主義」であったのに対して、

Y世代は「他人とのつながりを大事にする仲間意識が強い」と言われます。

これは、インターネットやSNSを通じ、多くの個人の考え方に触れる機会が多いためと推測されていますが、

2011年の東日本大震災の経験も大きいと思います。

「3.11」の時、Y世代は20~30歳代です。

日本社会は「他人とのつながり」「絆」というものを強く意識しました。

この世代が「親」になっている今は、日本の教育の大きな変わり目だと思います。

学校教育は、クレームや風潮に恐れることなく、

一つ一つの事実、一人一人の子どもに目を向けていくべきです。

そうすれば必ず保護者の理解を得られるはずです。

参照:インスタラボ「ミレニアル世代の定義や意味とは?」

4.Z世代(ニューノーマル世代)

現在の10代です。これから「親」になる世代です。

既に、デジタルネイティブであり、スマホネイティブであり、SNSネイティブで育っています。

Y世代との違いはどこにあるのでしょうか。

【Z世代の親】:ニューノーマル(新しい生活様式)の環境下に生きる。

Z世代はコロナ禍を経験しています。

そして、コロナ禍の中で生きる世代です。

「アフターコロナ」とか「ウィズコロナ」という言葉がありますがどちらでも大差はありません。

どちらも「ある程度コロナ禍をコントロールできている状況」という意味です。

そして、これを「ニューノーマル(新しい生活様式)」と呼んでいます。

Z世代では、それが「当たり前の日常」になりつつあります。

Z世代が「親」となる時には、その上で学校教育と向き合っていく必要があるでしょう。

決定的な違いは「オンライン」にあります。

オンラインは間違いなく学校教育を変えます。

学校教育が時代についていけない場合は、「学校」が一つの選択肢になる可能性もあります。

毎日学校に通うのが「当たり前」ではなくなる可能性があるということです。

このことを「学校の先生の叱り方」という側面から考えてみましょう。

教師が「子どもを叱る」という場面は限りなく減少する。

学校生活の中で「先生が子どもを叱る」という行為に教育的価値があるとしても、

その機会はどんどん減っていくでしょう。

大人になるまでの間に「叱られる」という経験が必要なのか。

必要だとして、それは「親」だけがやることなのか。

これは結構むずかしい問題です。

5.未来を変える大きな力

【団塊世代の親】:悪い事をしたらガツンと叱ってやって下さい!

【X世代の親】:言いたい事を言う。

【Y世代の親】:インターネットと共に成長してきた。

【Z世代の親】:ニューノーマル(新しい生活様式)の環境下に生きる。

「これまでの変化」や「これからの変化」を考えた時に、

大きな影響料力を持つのは、間違いなく現在の「Y世代」でしょう。

学校は親の考え方に影響されます。

「子どもを叱る」という行為を取り出して考えただけでも、そのことがよくわかると思います。

私は、Y世代の保護者の方々に、日本の未来を変える大きな力があると考えているところです。

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