講座85 「黄金の三日間」は家庭にもある!
1.四月の魔法
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4月。子どもたちは「変わろう」とします。
新しい自分になろうとするのです。
特に、勉強の出来ない子や問題を抱えている子はそう思うものです。
そうではない子であっても、何かしら「頑張ろうと」と思います。
学校などに通っている子であれば、ほぼ全員が「新しい気持ち」で臨むのではないでしょうか。
これを「四月の魔法」と呼びます。
一年に一度だけ、神様から与えられる「黄金の時間」です。
2.魔法はいつ消える?
ところで、この魔法はいつまで続くと思いますか?
もちろん個人差はあります。
長い子だと一カ月くらい頑張ります。
でも、ほぼ全員が間違いなく「変わろう」とするのは三日間だけです。
これを学校教育の世界では「黄金の三日間」と呼んでいます。
想像してみてください。
この「三日間」は子どもが変わろうとしている。
その時に、「いいこと」があったらどうでしょう。
たとえば、先生からほめられたとか、
テストで100点をもらったとか、
とび箱が跳べるようになったとか。
それは、それは、うれしいですよね。
しかも、いつもと違うのは、自分から「変ろう」と思っていた時に「出来た!」という点です。
「やれば出来る!」
「なんか今年は調子いいぞ!」
「もっともっと頑張るぞ!」
という感情が特別に湧いて来ますよね。
これを「やる気」と言います。
多くの子の、この「やる気」を引き出せるのが「黄金の三日間」なのです。
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3.理想の学校には「仕掛け」がある
この「黄金の三日間」を意識的に準備している学校は「理想の学校」です。
そういう学校は、子どもをほめるための「仕掛け」をしています。
たとえば、入学式の児童代表挨拶になった子の原稿を一緒に作って、
わざと「短め」にした上で、こう言います。
「本番までにノー原稿で言えるように練習していらっしゃい」
やる気に火がつきますよね。
そして、本番でノー原稿で言えたらカッコイイですよね。
下を見ませんから堂々と言えます。
みんな「凄いな」と思います。
他の先生方からもほめられます。
クラスのみんなからもほめられます。
これが「仕掛け」です。
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4.「仕掛け」はすべての子に準備される
原稿をわざと短めにしたのは成功させるためです。
でも、「簡単な課題」はその子にとって魅力的ではありません。
やる気になっているわけですから「ハードル」が必要なんです。
それが「ノー原稿」という課題です。
課題を渡す時に、
「難しいけど挑戦できるかな?」
などと声を書けます。
仕掛けには、こうした「演出」も必要です。
演出は「成功場面」をイメージしているから可能になります。
黄金の三日間には、こうした仕掛けがたくさん準備されています。
一人一人の子どもに準備されていると言っても過言ではありません。
学校の先生方は、それを「子どもとの出会い」と表現します。
この三日間のうちに、一人も漏らさず、すべての子に成功場面を準備する。
そういうことをしています。
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5.「黄金の三日間」は家庭にもある!その①
そして、この「黄金の三日間」は家庭にもあることに気づかれましたか?
三日間とは、学校が始まってからの三日間です。
その間は「いつも」と違うのです。
すべての子が「変ろう」とする三日間です。
親がやれることは山ほどあります。
学級通信で我が子のことがほめられていた。
「へえー、すごいなあ。頑張ってるんだね!」と本人に声をかける。
あるいは、
本人には直接言わないで、夫婦の間でさりげなく、
「ねえ、アナタ!学級通信でほめられたのよ!」
とわざと本人に聞こえるように会話をするとか。
あるいは、「夫に伝えるだけ」でも情報を広げたことになりますし、
「おじいちゃん、おばあちゃんに電話をする」という手だってありますし、
ママ友との情報交換をいつもより濃密にするなどでもいいでしょう。
「情報を拡散させる」「情報を取りに行く」という行動が
家庭における「黄金の三日間」のポイントです。
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6.「黄金の三日間」は家庭にもある!その②
ポイントはもう一つあります。
「観察」です。
情報が何もない場合があります。
そんな時は、いつもより注意して我が子に目を向けてみてください。
小さな変化に気づくはずです。
前の学年まではやっていなかったのに、自分から鉛筆を削ってるとか、
ノートをのぞいてみたら、前より字がていねいになってたとか、
「行って来ます」をちゃんと言ったとか…。
「黄金の三日間」にはそうした「小さな変化」があるものです。
すぐれた教師は、子どものそうした「小さな変化」を見逃しません。
その事実を、学校と家庭が共有すれば効果は倍以上になります。
家庭から学校に情報を伝えてあげてください!
「家庭での変化」を学校に伝えるのは効果絶大です。
すぐれた学校は、そういう情報を欲しがっています。
遠慮せずに伝えてあげてください。
子どもは「何で知ってるの?」とびっくりするでしょう。
学校と家庭がつながっているという事実をプラスで示すことが出来ます。
これは理想の関係です。
「黄金の三日間」にはこのようなこともできるわけです。