講座425 高校教育はいつまでも「同じ」ではない!

先日、全国の高校の先生方とお話しする機会がありました。

その中でもビックリしたのが京都府立清明高校の先生から伺ったお話です。

こんな公立高校があるのか!

とにかくビックリしました。

日本の学校教育は遅れているとばかり思っていましたが、考えを改めなければならないと思いました。

改革を待っているだけではなく、現行法の中で「やっちゃえ!」という学校もあるのです。

今回はそんなスゴイ学校の紹介です。

 目 次
1.定期テストがない!
2.時間割はオーダーメイド!
3.最優先は安心!
4.依存先を増やすという方針!
5.働き方改革がスゴイ!
6.生徒の事実!
7.まとめ

1.定期テストがない!

清明高校には、宿題も、補習も、定期テストもありません。

言っておきますが普通科の公立高校です。

宿題も、補習も、定期テストもない!

これぞ未来の高校の姿です!

私がずっと想像していた高校の姿が、すでに現実に存在していたのです!

びっくりしました。

もう一度言いますが、普通科の公立高校です。

2.時間割はオーダーメイド!

なんと、時間割は一人一人違うのです!

卒業までに74単位を取ればいいので、4年かけて卒業する生徒もいます。

そうなったら1日の授業時間も違って来ますよね。

ですから、3年生のクラスには3年で卒業する生徒ともう一年残る生徒が半々くらいになると言います。

同じクラスの中にそういう自由な選択があるのです。

ですから、生徒によっては午前中だけの人もいますし、3時間目から登校する人もいます。

ゆっくりできますね!

単位制なので時間割は個々人によって違います。

自分の生活に合わせたスタイルを考えればよいのです。

登校が前提だけれども、「登校より大切なものがある」と謳っています。

3.最優先は安心!

マイノリティーを大切にする学校です。

・小中学校で不登校を経験した生徒

・小中学校で低学力を経験した生徒

・小中学校の生活にストレスを感じた生徒

・世間で「普通」と言われる学校に違和感を感じた生徒

・勉強以外のことにも自由な時間を使いたい生徒

・自分のペースで勉強したい生徒

そうした生徒を大切にする学校です。

清明高校ではそれをこう呼びます。

オール・マイノリティー

「服装」「頭髪」「アルバイト」は生徒の主体性に委ねています。

反対に、「いじめ」や「暴言・暴力」に対しては進路変更を辞さない考えです。

4.依存先を増やすという方針!

高校卒業=成人です。

世間では「独り立ち」という表現をするでしょう。

しかし、清明高校では「依存先を増やす」という方針を取ります。

どういうことでしょう?

「自立」とは誰にも頼らずにいることではなく、
できるだけ多くの人に頼りつついること。

この考え方に基づいて、

家族や教師の占める割合を小さくして、
友人、先輩・後輩、カウンセラー、バイト先の人、SNSでつながった人、本、ブログ、動画など、
様々なヒト・コト・モノとかかわる割合を増やす。

それが「自立」だという考えです。

また、清明高校は医療・福祉との連携にも力を入れているので、そのような施設とのサポートも充実しています。

5.働き方改革がスゴイ!

当然ですが、学校の働き方改革も凄いのです。

(1)入学説明のオンデマンド化

(2)デジタル学生証

(3)トイレの温便座化

(4)生徒情報の一元化

(5)リフレッシュデー(毎月1回)

(6)TEAMSの導入

(7)SHR(ショートホームルーム)縮減

(8)平常清掃廃止

(9)Slack導入・職員朝礼廃止

(10)欠席連絡のWEBフォーム化

(11)電話応答時間の設定(8:30~17:00)

(12)指導要録テンプレ化

(13)夏季休業延長

(14)長期休業中の会議廃止

(15)面談週間の校時短縮

(16)家庭日々連絡廃止

そして、もちろん授業は次の2つを充実させています。

探求授業

個別最適化授業

 ICTの活用は当たり前です。

「フレスタ」というのは、AI型学習アプリを用いた自学自習による自由進度学習です。

6.生徒の事実!

これを見てください。

たとえば一番上の生徒。

中学校1年生の時は欠席が141日、2年生は189日(ほとんど学校行ってません)、3年生は欠席133日。

かなりの不登校です。

ところが、この高校に入学した後は、欠席日数が52日と減ってます。

他の生徒を見てください!

高校に入ってから欠席日数が明らかに減っています!

中学校で不登校のだった子が高校で学校に行くようになっている。

これが清明高校の事実です。

学校アンケートの結果も見てみましょう。

清明高校「満足度アンケート」の結果です。

「4」・・・そう思う
「3」・・・だいたいそう思う
「2」・・・あまり思わない
「1」・・・思わない

なんと!89%の生徒が「満足」または「だいたい満足」なのです。

信頼できる友達や先生がいる生徒も88%です。

積極的に登校している姿が想像できます。

7.まとめ

再度確認しますが、清明高校は公立高校です。

公立高校が今、ここまで変わって来ているのです。

清明高校のHPから、その「ミッション」と「ビジョン」と「バリュー」を紹介しましょう。

【ミッション】学ぶ楽しさを提供する

【ビジョン】つまずきのある人もない人も共に安心していきいきと学ぶ学校

【バリュー】生徒をリスペクトする

なんということでしょう!

私が「未来の高校」として想像していた学校がすでに日本に存在していたのです。

最後になりますが、入学試験も気になりますよね。

私は個人的に高校入試は要らないと思っているのですが、清明高校にも「試験なし」のシステムがありました。

48名は国語20点、数学20点、英語20点を100点に換算する学力試験がありますが、学力試験のウエイトは1/3です。

しかも、72名は作文と面接だけの募集です。

「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の通りですね。

京都府立清明高校はまさに、これから訪れる社会の先端を実現させている高校だと思います。

公立高校はいつまでも「同じ(昭和型)」ではありません。

今後、子どもたちが進む学校教育はきっと大きく変化することでしょう。

詳しい情報は、京都府立清明高校HPへ。

京都府立清明高校公式Twitter

これは私が考える「近未来の学校教育案」です。

2022年に作成した■人材育成の全体構造図《近未来編》を簡略化しました。

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水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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2件のフィードバック

  1. 畠山 文 より:

    希望が持てる内容でした。最優先は安心、この考えを全ての学校で取り入れて欲しいと感じました。

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