講座148 学校の先生の日常・空き時間は何してる?

 目 次
1.小学校の先生に空き時間はあるの?
2.「4時間目」という授業

1.小学校の先生に空き時間はあるの?

基本的に、小学校の先生には空き時間がありません。

高学年になると専科(専門教科)の先生が授業をすることがあるので、そういう時にだけ「空き時間」があります。

毎日あるとは限りません。

「音楽の授業がある時だけ」だったら「週に1~2回」といった感じです。

ですから、とても貴重な時間(45分間)になります。

その45分間をどう使うか。

私はだいたいこんな感じでした。

➀職員室にいる教頭先生や事務さんなどと雑談をする
②自分の事務仕事をする
③次の授業の準備をする

ま、こんな感じですね。

こんなことをしていると45分なんかあっという間に終わります。

事務仕事もほとんど終わりません。

動画の中に登場する先生は学級通信を作成していました。

朝の通勤途中に音声入力で粗々書いておいて、それを3時間目にパソコンで打ち加えて、印刷までは間に合わないので昼休みに印刷できるようにしておくという段取りです。

2.「4時間目」という授業

4時間目はたしか国語だったと思います。

ぜひ動画を見てください。

私も映っています。

子どもたちと「五色百人一首」をするところから始まります。

知ってますか?五色百人一首?

これを持ってる先生はきっと私の「仲間」です。心の友ですね!

私はクラスの人数が40人になっても出来るように買い揃えていました。
(この先生も自分で買ったのかな?)

1年生からやれます。

やると保護者に感謝されます。

小学校の高学年や中学校などで古典に触れるじゃないですか。

そういう時に、「富士の高嶺に雪は降りつつ~」なんて出て来たら、

「あ!これ知ってる!小学校の時にやった!」

などとなるんです。

もうこれだけで鼻高々です。

古典が好きになるかも知れません。

そういう教材です。

その五色百人一首を4時間目の最初にやっています。

この「4時間目の最初」というところに意味があるんです。

4時間目って給食の前だし、集中力が切れるじゃないですか。

子どもたちは朝の8時半頃から授業が始まって、午前中に4時間も勉強をします。

大人の皆さんは出来ますか?大変ですよね。

それをわかっている先生は「1日のリズム」を組み立てているんです。

たとえば、1~2時間目は緊張感を作って授業をやり切り、
4時間目や5時間目は少しリラックスしたことをやろう、とか。

受ける側のことを考えて1日を組み立てます。

だから、私が五色百人一首をやるのも4時間目や5時間目が多かったですね。

6時間目は視写なんかをさせてまたシーンとした状態を作って一日をしっとり終える、とかもしてました。

では映像をご覧ください。

私はどこでしょう!

五色百人一首のあとは昨日の宿題に関する発展問題です。

「中国の子どもたちが最後までわからなかったのはどれでしょうか?」

これ、何気なく言ってますが、凄い質問ですよね。

「中国の子どもたち」が同じ問題に取り組んだという情報を教師が持っていなければ出来ない質問です。

この質問によって、このクラスの子どもたちと中国の子どもたちの存在が一瞬にしてつながります。

グローバルとか国際化とか言われますが、日常の中にこのような瞬間をつくることで、

この子たちは一気に国際化します。

その後、動画は次の場面に進みます。

宿題は「一画足して違う漢字を作りましょう」という問題でした。

「束」に一画足すと「東」になるような考え方です。

授業では先生が「その逆」を考えさせています。

「一画取ると別な漢字になるという問題を作ってください」

これも凄いですね。

何が凄いかというと、2つあります。

(1)逆転思考

「逆を考える」といのは思考法なのです。

いつもいつも正攻法では頭が柔らかくなりません。

大人はよく「柔軟に考えなさい」とか「頭がタカイなあ」とか言いますが、

思考法は教育されるべき技です。

誰も教えてくれなければ頭は柔らかくなりません。

逆に言えば、教えてあげることですべての子どもに教育可能なのです。

動画の中で先生は「その逆ですよ」とひとこと言いました。

子どもたちは「えっ?」という感じになりました。

ここです。

この瞬間に頭が鍛えられたのです。

(2)入れ子思考

動画の中で先生は「作ってください」を強調して言いましたよね。

この問題が「入れ子思考」を必要とする問題だからです。

「田」「目」「旦」「申」などがあって、「一画取って漢字を作りなさい」は簡単です。

目の前に問題の元になっている漢字(情報)があるからです。

ところが、そうじゃなくて、

「一画取ると別な漢字になるという問題を作ってください」

は頭を二重に使います。

目の前に元になる漢字がなく、「そういう問題を作る」という思考だからです。

こうなると子どもは、前提となる条件を記憶しなければならないのです。

このような作業が苦手な子はよくこうなります。

「あれ?ナニを作るんだっけ?」

「あ、そうか。『一画取ると別な漢字になる問題』か!ムズイなあ。」

二重思考ですよね。

こういうのを「入れ子思考」とか「入れ子構造」と言います。

高学年になると、こういう思考法を要求されるのです。

だから教師は鍛えてあげるわけです。

動画の中の子どもたちはどうでしたか?

シーンとなって集中していましたよね。

五色百人一首という活動的な時間と、頭を使う集中的な時間が絶妙に組み立てられているわけです。

「4時間目」というのは、こういう風に異なるいくつかの活動を組み合わせて設計されます。

授業の最後はパソコンルームに行って一人一台で国語の課題の続きですね。

スクリーンに子どもたちの顔が映し出されていました。

普段からこのようにICTスキルを使っていれば、いざという時に自宅でもオンライン学習がしやいですよね。

次回は給食指導に密着します!

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水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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