講座125 学校あるある!【4】「めあて」って何?
2.「めあて」って何?
3.板書(ばんしょ)
4.授業の始まりをどうするか
5.「めあて」と「つかみ」
6.技量を高める
1.アンケート結果
みなさんはご存知でしたか?
学校の先生方は、授業の始まりに「めあて」を書くことになっているんです。
この調査では35%の先生が「必ず書かせる」、51%の先生が「教科や内容に応じて書かせる」となっています。
私は「その他」の3%かな。(^^)/
今回はこのことについて解説します。
2.「めあて」って何?
ところで「めあて」って何でしょう?
教師なら説明は要りませんが、一般社会では「?」ですよね。
簡単に説明します。
学校の先生は「先生用の教科書」を持っています。
解説書です。
「教師用指導書」とか「あんちょこ」とか「赤刷り本」と言います。
この「あんちょこ」には、その時間の授業のねらいというのが書かれているんです。
たとえば、こんな感じです。
めあて:栄養を考えた朝食にしよう
これが授業の「めあて」です。
でも、これをそのまま子どもたちに提示したらあまりにも安直じゃないですか。
(「あんちょこ」とは「安直」から由来しています)
そこで、だいたいの先生は工夫をします。
こんな風に。
めあて:家族が元気もりもりになる朝食メ ニューを考えよう!
「元気もりもり」という言葉にしました。
「朝食」を「朝食メニュー」に変えました。
先生方はこれを「工夫」と言います。
こういう授業を受けた経験ありませんか?
どうですか?
だいぶ工夫されていますよね!
これなら子どもも「やる気」になりますよね!
完ぺきです。さすがプロです。
お給料をもらっているだけあります!
私たちの調査では35%の先生が、こういった「めあて」を授業の最初に書かせるというわけです。
3.板書(ばんしょ)
多分ですね。
こういった「めあて」を多くの先生は黒板に書くと思います。
それを学校世界では「板書(ばんしょ)」と言います。
そして、子どもたちがそれをノートに写す。
こうしたパターンが「授業の最初にめあてを書かせる」の意味です。
つまんないですよね。
わくわくしませんよね。
緊張感もありませんよね。
ですから私は「その他」の3%でした。
4.授業の始まりをどうするか
授業の始まりをどうするか?
これは教師にとって、とても、とても、とても大事な問題です。
私は私の師匠である向山洋一先生からこのことを学びました。
開始15秒のつかみ
YouTubeなんかそうですよね。
つまんない動画だったら秒で離脱しますよね。
映画やドラマなんかどうですか?
最初に「めあて」みたいのを出しますか?
「一体何が始まったんだろう!」とか、
「なんだー!これは!」というワクワク感がありますよね。
これを「つかみ」と言います。
YouTubeの場合は開始の1~2秒が「つかみ」です。
CMなんかもそうですね。
授業の場合はだいたい「15秒」で決まると言われています。
それはもはや「工夫」という次元ではなくて「勝負」ですね。
相撲の「立ち合い」みたいなものです。
5.「めあて」と「つかみ」
「めあて」と「つかみ」は全く異なります。
「めあて」は固定されています。
めあて:家族が元気もりもりになる朝食メ ニューを考えよう!
マニュアル通りですね。
でも、「つかみ」というのは固定されていません。
相撲の「立ち合い」と一緒ですから、相手(子ども)の出方によって一瞬で変える場合もあります。
目的が違うんです。
【めあて】「あんちょこ」を教師なりに工夫して提示するもの
【つかみ】どうやったら一瞬で学習者(子ども)を引きつけられるかという勝負
たとえばですね、これが向山先生の授業の始まりです。
全部説明すると一日かかりますので、少しだけ解説します。
②を解説してみます。
「夜の地球」という有名な授業です。
これはスタジオ収録された授業なので子どもたちは4名です。
「先生ね。8年 くらい 前かな。」
これが授業の始まりの「第一声」です(この言葉から始めたということ)。
当たり前ですが、「起立、礼」「これから○○の授業を始めます」なんてしません。
「めあて」も書きません。
「先生ね。8年 くらい 前かな。」
と言って、自分の体験を語り始めるわけです。
ここでは向山先生がワシントンのスミソニアン博物館に行った時のエピソードを子どもたちに語ります。
子どもたちは興味を持ってわくわくしながら聞き入ります。
そのあとで、ホワイトボードに貼ってある黒いポスターを提示して授業が展開してゆきます。
【めあて】「あんちょこ」を教師なりに工夫して提示するもの
【つかみ】どうやったら一瞬で学習者(子ども)を引きつけられるかという勝負
どうですか?
「めあて」と「つかみ」の違いがなんとなく伝わりましたか?
6.技量を高める
「つかみ」は授業技量です。
練習しなければ身につきませんし高まりません。
ですから私は若い時に何度も練習しました。
「先生ね。8年 くらい 前かな。」
この言葉を言えるようになるまで何回も練習したのです。
赤の矢印は声を発する時に「上げる」部分です。
ピンクは「下げる」部分。
眉毛のマークは「表情」の動きです。
以上のことを、「笑顔」で、子どもたちと「目線」を合わせて、
少しずつ「立ち位置」を変えながら話すのです。
そういう練習を何十回としました。
落語家やお笑い芸人と同じです。
授業の技量も、何度も練習しなければ身につかないのです。
どうですか?
「めあて」と「つかみ」の違いが理解できましたか?
今日はこのへんにしておきます。
「授業技量」について詳しいことを知りたい方はこの動画をどうぞご覧ください。