講座239 東日本大震災の日に

これは2014年に気仙沼市で私が撮影した写真です。

震災ボランティアに参加して遺骨収集をさせていただきました。

高校生や大学生たちと一緒に活動しました。

私が見たのは3年後の現地ですが、災害の爪痕はまだまだ沢山残っていました。

今回は東日本大震災に際して私が所属している「TOSS(トス)」の活動について書き記します。

 目 次
1.TOSS(トス)について
2.東日本大震災復興会議
3.防災減災教育
4.まとめ

1.TOSS(トス)について

TOSSというのは全国各地の先生方が集まった教育研究団体です。

Teachers’ Organization of Skill Sharing」を略して「TOSS」と呼んでいます。

簡単に言うと、「様々な教育方法をシェア(共有)して行こう!」という団体です。

私は新卒の時から参加しているので今年で35年になるのでしょうか。

このTOSSの活動を理解していただくのは結構難しいことなのですが、

簡単に説明すると、この図のようになります。

「教師力向上」は分かりますよね。

学校の先生方ですから、授業が上手になるように自主的に研修しているということです。

分かりずらいのが「社会貢献活動」です。

どうして学校の先生がボランティア活動をしているの?

設立者の向山(むこうやま)洋一氏は次のように説明されています。

日本のさまざまな問題に対して教育の立場から向き合い、多くの機関と連携して、研究・開発・企画・運動を行っている教師の団体がTOSSなのです。

私が教員をしていた間にも「様々な問題」がありました。

1980年代の初めにエイズ(HIV)が世界的に流行しました。

この時、日本で初めて子どもたちに「エイズ教育」を実施したのがTOSSでした。

「ボランティア教育」を日本に広めたのもTOSSです。

今では「車椅子体験」や「手話の体験学習」などが当たり前に行われていますが、

2000年に「総合的な学習の時間」が開始される前まではボランティアの授業は特別だったのです。

学校でボランティアの授業をすると悪口を言われることもありました。

ボランティアというのは自発的にやるものであって教師が子どもに押し付けるものではない!

と言うのです。

エイズ教育の時もそうです。

性に関することなので、

寝た子を起こすようなことはするな!

と言われました。

私たちはそういう非難をいくつも乗り越えて来ました。

思えば、学校というのは「新しいもの」を受け入れるのに時間がかかる世界なのです。

この他にも「発達障害」の問題や「食育」の大切さや「エネルギー教育」「観光立国教育」「金融教育」などに早くから取り組んできました。

そうした活動の中に「3・11」もありました。

2.東日本大震災復興会議

TOSSは、2011‎年‎4月29日に「東日本大震災復興会議」を緊急開催しました。

場所は東京の汐留。参加者50名。

私もレポートを持って北海道から参加しました。

向山代表の挨拶文です。

教師として、日本国民として、
東日本大震災の復旧復興を実践していくべく、企画会議を持ちました。
東北各地で復旧の中心になっている教師をはじめ、
全国各地からレポート持参の教師が参加しました。

「教師として何ができるか・何をすべきか」というのが当時のキーワードだったと記憶します。

私が持参したレポートは次のものです。

4月25日の夜中にこれを作りました。

1ページ目

私が勉強したのは「激甚地域の子どもたちの心的外傷にどう対応するか」についてでした。

心的外傷というのは「トラウマ」のことです。

トラウマの症状をご存知ですか?

①激しい叫び声を上げて目を覚ます
②突然激しく泣き続ける
③大暴れして手がつけられなくなる
④そのような行動を覚えていないことがある
⑤眠れなくなる、夜尿が頻繁になる
⑥ぼうっとすることが多くなったり忘れ物が増えたりする
⑦音などに敏感に反応して不安を示すようになる

これは教師としても、親としても知っておくべきことだと思います。

このようなことを調べて、レポートの2枚目を作りました。

2ページ目

大事なところだけを書き出します。

1.心の傷は消えるか?

これは消えません。

「心の傷」というのは「脳の傷」です。

記憶の深層部に保存されて一生残ると言われています。

ですから、すべての人間にとって重要なのは、

「心を傷つけてはいけない」ということです。

これは災害に限らず、戦争、いじめ、悪口、誹謗中傷、虐待、叱られるなど、

様々な場面で言えるとても重要なことなのです。

2.回復はできる。

ただし、回復はできます。

この時に、「回復の大原則」というのがあって、

それは「再現による自らの克服」が必要だということです。

つらいことですが、過去の記憶に対して「自分で納得する」という過程が不可欠になります。

これは高度なことなので、教師や親ではなく、医療の役割になります。

ただ、その時に「支える」という行動が大切になります。

3.母親的機能の重要性

「安心できる場所」や「励まし」や「理解」などです。

母親に限らず、すべての大人にこの役割があります。

なぜなら、大人と子供は次の点で異なるからです。

大人:何が原因でストレスになっているかを予想できる

子ども:それがストレスによる反応だということすらわからない

だから大人のサポートが必要だということです。

レポートはまだ続きますが、

このような会議をTOSSが実施していたということをお伝えしております。

3.防災減災教育

「3・11」を境に、TOSSでは防災減災教育にも取り組みました。

なぜなら、このような災害には地域性があるからです。

子どもたちが住んでいる場所によって様々な状況が考えられ、

その地域の先人の財産、地域の知恵、知っておくべき地域の特徴などがあるからです。

そこでTOSSでは、各地で、それぞれのメンバーが、地元の防災減災教育に取り組みました。

私は北海道の中標津町という町の教員でしたので、

中標津町の「防災減災テキスト」を作り、子どもたちに授業をしました。

1ページ目だけ紹介します。

テキスト通り進めれば誰でも授業ができるようになっています。

このように地元ならではの教育というのが必要になります。

「教師として何ができるか・何をすべきか」

もっと言うとこれは、

「地域の教師として何ができるか・何をすべきか」ということでもあります。

4.まとめ

今回は私が所属している「TOSS」の活動について紹介させていただきました。

現在、私は退職して「教員」ではありません。

でも、これまでの経験を活かして「やれること・やるべきこと」があると考え、

引き続きTOSSで活動しています。

私の場合、そのテーマが「子育て」でした。

それでこのブログを始めました。

これからも、教師の経験を活かして、

子育てについて「やれること・やるべきこと」を発信して生きます。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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