講座193 「よい子」の育て方①
「悪い子」にも定義があったように、
「よい子」にも定義があります。
①素直に従う
②我慢し、まじめに努力する
③暴力をしない。暴言を吐かない。
これが「よい子」です。
理想的な子どもですよね。
こうした「よい子」を育てる親のタイプは2つです。
C 過干渉
D 過心配
今回はこのことについて解説します。
2.虐待家庭の親子
3.「よい子」の問題点①
1.「よい子」には問題点がある
「よい子」は過干渉・過心配によって育ちます。
そして、「よい子」には問題点が三つあります。
今回はその中から一つ紹介します。
問題点①は何だと思いますか?
「よい子」は、よく、「親が言うので…」と言います。
その親というのが過干渉タイプです。
また、「よい子」は、よく、「親が心配するので…」とも言います。
それが心配性(過心配)タイプの親です。
そして、こうした親子関係には大きな問題点が隠れています。
みなさんはそのことに気づいていますか?
ヒントはいつものこれです!
この図だけではピンと来ない方にヒント②です!
動物脳と人間脳。
ヒント② 「よい子」に影響するのはどちらの脳でしょう?
これはかなりの大ヒントなのですが、念のためにもう一つ、ヒントを出します!
ヒント③ 虐待家庭の親子を見たことがありますか?
この三つのヒントがつながれば、「そういうことか!」とわかるはずです。
2.虐待家庭の親子
虐待による通告児童数は急激に増えています。
警察庁が統計を取りはじめた2004年には962人でした。
それが毎年増え続け、2011年には1万人を突破しました。
2016年には5万人を超え、その4年後の2020年には10万人を超えています。
これは警察が関与した数ですから、実際にはもっともっと多いはずです。
身近に見聞きしたことはありませんか?
虐待かな?と思った人には通告義務があります。
役所に通告したことはありますか?
念のために「虐待」の定義を載せておきます。(児童虐待防止法・第2条「虐待の定義」)
①体に外傷を負わせる行為
②体に外傷を負わせる恐れのある行為
③わいせつな行為
④食事を与えないとか減らす行為
⑤長時間の放置
⑥保護者としての監護を怠る行為
⑦著しい暴言
⑧著しく拒絶的な対応
⑨DV(配偶者への暴力)
⑩心理的外傷
①~⑩のような行為を「児童虐待」と呼びます。
①~⑩のような行為かな?と思っただけで、すべての国民に通告義務が発生します。
その時は、役所または児童相談所へ通告しましょう。
さて、話を戻します。
①~⑩のような関係にある親子が「虐待家庭」です。
このような虐待家庭の親子には、共通して見られる「ある特徴」があります。
それは、
どんなにひどい目にあっても子どもは親を愛する
という特徴です。
母親が日常的に我が子を殴ったり蹴ったりしていても、
子どもは、
「できればもっと優しいお母さんになって欲しいけど…でも、お母さんが好き」
と言うのです。
これを「親子の絆」と言います。
絆(きずな)というのは、馬や犬をつなぐ綱(つな)のことです。
逃れられない関係のことを表す漢字です。
虐待を受けている子どもは、どんなに酷い目に遭っても、親子という関係の絆で結ばれています。
この絆は強いんです。
虐待されても切れないのです。
このことを脳科学的に説明すると次のようになります。
子どもにとって「親から愛されたい」という感情は「生きるため」に必要な本能
「できればもっと優しいお母さんになって欲しいけど…でも、お母さんが好き」
という感情は本能です。
「愛されるため」という縛りは、子どもが生きるための第一条件なのです。
3.「よい子」の問題点①
さあ、これで「よい子」の問題点が見えて来たでしょうか?
「親が言うので」とか「親が心配するので」という感情は、
親から愛されるために必要な本能なのです。
そこでまた、いつものイラストです。
人間脳は本能(動物脳)が満たされていないと働きません。
そして、「親が言うので」とか「親が心配するので」というのは人間脳(考える)ではなく動物脳(本能)です。
子どもは、親の言うことを聞こう、心配かけないようにしようという感情を発生させ、その感情の安心安全を第一に選択します。
「親にそむく」「心配をかける」というのは不安定な感情(不安)なのです。
つまり、過干渉や過心配は、人間脳を刺激せずに、本能に働きかけているということです。
この刺激だけでは、人間脳は使われませんので発達しません。
自分で考える機会を失います。
親が干渉し過ぎると自分の頭で考えない子になるというのは、こういう理由からなんです。
心配し過ぎるのも同じです。
子どもは勘が鋭いですからね。
親が口にしなくても伝わります。
心の中で心配していたらバレます。
そうすると子どもは心の中で「親が心配するからやめよう」とか、
「親が心配するから言うことを聞こう」となるわけです。
ですから過干渉も過心配も同質です。
「過ぎる」と、
子どもの人間脳(前頭前野)が発達しないことになります。
これが「よい子」の問題点①です。
次回は②を解説します。
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