講座396 子どもの居場所とは何か(前編)
家庭でも学校でもない「第三の居場所」が求められていると言われます。
えっ!学校にも家庭にも子どもの居場所がないの?
日本はそんな国になってしまっているの?
「こども家庭庁」が今年3月に出した「こどもの居場所づくりに関する調査研究」の報告書があります。
アンケートに次の質問があります。
あなたは、家(普段寝起きをしている場所)や学校(授業や部活、クラブ活動)以外に、
「ここに居たい」と感じる居場所がほしいですか。
この質問に対し、「はい」と答えた子ども1465人、「いいえ」は571人。
グラフにするとこうなります。
なんと7割の子どもが自分の居場所を「欲しがっている」という結果です。
では、実際に自分の居場所が「あるのか?」「ないのか?」
その質問には全体の37%の子どもが「居場所がない」と答えました。
この実態を私なりの角度から二回に分けて読み解いていきます。
2.10歳未満に必要な居場所は「三間」
3.「三間」は大人が意図的に確保してあげる時代
1.「居場所」って何だ?
まずは「居場所」の定義です。
子ども家庭庁がこの調査で使った「居場所」の定義はこれです。
できるだけたくさん挙げてみたって感じですね。
この調査に参加した子どもの年齢にも注目しましょう。
「6~18歳」ということで大雑把に言えば、小中高校生ということです。
そこで私からの問題提起です。
年齢によって「居場所」の意味するところが違ってくるのではないか。
具体的に言いますと、「4年生以下」と「5年生以上」では「居場所」の意味が違うと思うのです。
2.4年生以下に必要な居場所は「三間」
4年生以下に必要な居場所とは「遊べる場所」です。
「遊べる時間」「遊べる仲間」「遊べる空間」
三つの「間」をとって「三間(さんま)」とも呼ばれています(明石要一先生の言葉だったと思います)。
近くの公園でもいいし、児童館などがあれば、それが居場所になり得ると思います。
どちらかというと体を動かして遊べる場所が理想ですね。
そうした、自由に、子ども同士で、遊べる、場所、がないとしたら、「居場所がない」となるはずです。
・放課後は学校の遊具で遊んじゃダメ
・自由に行ける公園や自然環境がない
・児童館を利用できない
背景には、そうした禁止事項や社会的環境などがあります。
昔は、空き地や原っぱなどが近くにあったものですが、そういう環境が減ったり、
安全管理のために禁止事項が増えて「自由に、子ども同士で、遊べる、場所」がなくなってきました。
あったとしても大人が社会的に設置した施設だったりします。
そうした施設が近所にあるならまだいいのですが、
施設も無いとなると、家で遊ぶしかなくなりますよね。
これが「さんま問題」です。
「遊べる時間」「遊べる仲間」「遊べる空間」です。
今日、たまたまですが、こんな発言を目にしました。
長男は園から帰った足で、ほぼ毎日2時間以上外で遊んでいる。
ほぼ毎日、公園ラストチームだ。
素晴らしいですね!
幼稚園から帰ったら速攻「公園遊び」。
「ほぼ毎日2時間以上」。
「公園ラストチーム」。
昭和の子どもみたいです。
私も毎日、陽が暮れるまで外で遊んでいました。
「ご飯だよー!」と言われるのもしょっちゅうでした。
今でもいるんですね。
公園ラストチーム。
いい言葉です。
3.「三間」は大人が意図的に確保してあげる時代
私はこの「三間」を一番簡単に確保できる施設が学校だと思います。
学校生活の中での「あの時間」です。
「遊べる時間」「遊べる仲間」「遊べる空間」と言えば…
そうです。「休み時間」です。
かつて、私の師匠の向山洋一先生は「一日の日課に合計60分以上の休み時間が必要だ」と主張されました(休憩時間は含みません)。
20年くらい前の話です。
その頃から「三間」が少なくなって来ていたのです。
まして、私が勤務していた学校は酪農地帯なので、子ども同士の家が離れています。
何キロも離れていて、自転車を使ってでも難しいくらいです。
ですから、家に帰すまでの間に、どれだけ友だち同士で遊ばせるかという意図的な教育が重要でした。
そこで私は学校の日課表を改訂して、中休みを「予鈴なしの全30分間」、昼休みも「予鈴なしの全30分間」にしました。
子どもたちは大喜びです。
グランドから走って返って来ても「まだあるの?」と言って、もう一回グランドに遊びに行ったりしてました。
前半は体育館で鬼ごっこをして、後半は教室で工作遊びをするといった計画的な女の子もいました。
何より子どもたちの問題行動が減りました。
先生方もゆっくり授業の準備ができるようになりました。
こうしたことは前年度に授業時数を計算していれば、現在も、どの学校でも可能なのです。
参考までにその時の日課表を載せておきます。
皆さんのお子さんの学校の休み時間が何分ですか?
次回は4年生以上の居場所問題について詳しく解説します。
私が小学生の時、休み時間が苦手でした。友だちを見つけ、自由に楽しく遊ぶということが、難しかったです。
自分に合う仲間を作ることも、将来必要な力かもしれないなと拝読して思いました。
思い出すのは同期生数人と学校の畑でひたすら穴を掘っていた時期。たぶん期間は数週間程度ですが、楽しかったです。
あとは本を読む、絵やマンガを描く、暇すぎてひたすら廊下を歩ってる時もありましたね…
そういえば、小6ではじめて「このままではマズイのでは?」と自分の意思で一緒に遊ぶ同姓の友達を作る努力をして、そして成功したこともありました。