講座78 街で見かけた理不尽な叱り方・第4話
ユニクロで、地べたに座って泣いている女の子がいました。
母親は完全無視で、イライラしながらあちこちの服を見ていました。
しばらくすると、買い物カートを持っている父親が抱き上げていましたが、どうしてすぐに抱っこしないのかなあ…と思いました。
1.意地悪
これも「ありがち」ですね。涙
このお母さんは「わざと」なんです。
「イライラしながら」というのは、女の子が泣いているのを知っているということです。わざと意地悪でやっているんですね。
店で泣いているオマエが悪い!
あるいは、
言う事を聞かないからこういう目に遭うんだ!
そういう「こらしめ」なんだと思います。
それであまりもかわいそうなのでお父さんが助けたというわけです。
2.どうしてすぐに抱っこしないのか?
多分、PTSD(心的外傷)についての知識がないのでしょう。
分類するならこれは、
「教育的虐待」にあたります。
言ってる意味わかります?
以前に紹介した「ダメな叱り方トップ12」の中の第2位です。
第2位 ~のつもり
つまり「しつけ」のつもりなんです。
「自分は悪いことはしてない!」
「コイツが悪いんだ!」
そういう考え方です。
これのどこが問題なのか知っていますか?
四つありますよ。
「~のつもり」:四つの落とし穴
①気づかない
②力が入る
③くり返される
「しつけのつもり」なので本人(親や教師)は気づきません。
良いことだと思っているので力が入ります。
良いことなので何度もくり返されます。
そして、決定的なのは最後の「四つ目」です。
知っていますか? 気がつきましたか? 憶えていますか?
④子供は自分を責める
これを忘れてはいけません。
「指導する側」と「される側」
指導される側は「自分に問題があるんだ」「自分がダメだった」と思います。
泣いているこの女の子も「お母さんを怒らせた自分が悪いんだ」と自分を責めます。それが基本的な子どもの思考なのです。
そして、この時、脳が傷つきます。
正確にいうと、脳の中の偏桃体(赤い部分)が縮小します。
いじめに遭った子に共通して見られます。
PTSD(心的外傷)は本当に「外傷」なのです。
3.「~のつもり」の課題
この「~のつもり」には課題があります。
「PTSD」「教育的虐待」などと大袈裟な名前が付いていますが、
簡単に言えば「ストレス」です。
ストレスと外傷や虐待はどこが違うのか?
その境目は曖昧です。
これが「~のつもり」の課題(弱点)です。
ですから指導する側(親や教師)は、意識して子どもに接しなければなりません。
意識していなければ「四つの落とし穴」にはまりやすいのです。
ACEと呼ばれるアメリカの研究結果があります。
子ども時代の逆境体験がその後の人生にどんな影響を与えるかという研究です。
その追跡研究結果が画面のピラミッドです。
幼少期のつらい体験は子どもを不幸にする。
このことは、すでに科学的に明らかになっています。
「しつけのつもり」「指導のつもり」は、
子どもを幸せにするどころか不幸にしてしまう。
そういう側面があることを私たち大人は知っておくべきです。