正しい叱り方

講座73 街で見かけた理不尽な叱り方・第2話

投稿日:2021年1月19日 更新日:

ダイソーでシールを買いたい小3ぐらいの女の子にお父さんが怒っていました。

この場面はどこが理不尽でしょうか?

 目 次
1.怒りの泥沼理論
2.「しつけ」は失敗している
3.原因をさぐる
4.「言ったモン勝ち」

1.怒りの泥沼理論

一番わかりやすいのは次のことですね。

さっき言ったじゃねえか!

もう少し優しく言うと、

さっき言ったでしょ!

もっとていねいに言うと、

さっき言いましたよ。

まあ、どれも同じですけどね。

要するに、

「さっき言ったんだから守れよ」

っていうことですよね。

これ、どこが理不尽かわかりますよね。

この理屈が通っちゃったら、前もって言われたことは全部守らねばなりません。

それは無理ですよね。

でも問題はそれだけではないのです。

もっと深掘りしますよ。

「さっき言ったんだから守れよ」

この理屈を使ってしまうと、

親が言ったことに対して子どもを怒りやすくなるのです。

怒る理由が出来ちゃうのです。

もっと言うと、いくらでも怒ることができるのです。

子どもはいくらでも怒られちゃいます。

対応しきれませんからね。

「言っただろうが」という理屈を使うと「怒りの泥沼」にはまります。

2.「しつけ」は失敗している

次の問題なのはこれです。

いらんだろうが!

これも少し優しく言ってみましょう。

それ、いらないんじゃない?

このお父さん、本当は子どもに判断させたいんです。

でも、そのためのスキルを持っていないんですね。

人間脳と動物脳は同時に働かない。

このことをわかっていないのです。

このお父さんはこの言葉を、
超優しく、
微笑みながら、
口にしたとは思えません。
絶対怒ってますよね。

そうなると、スイッチが入るのは「動物脳」の方です。感情にスイッチが入って防衛反応を働かせます。

この女の子はシールをあきらめるでしょう。

お父さんは「自分のいうことをきいた」と思うかも知れません。

「しつけ」は成功したと思っているかも知れません。

でも、この女の子は自分で考えて判断したのではありません。

動物脳(自己防衛)でやめただけです。

残念ながら人間脳は発達しません。

「しつけ」は失敗しているのです。

3.原因をさぐる

どうしてこうなってしまうのでしょう。

原因は複数あると思います。要因ですね。

まず考えられるのは、

このお父さんもこのようにされて育ったのではないか

ということです。

それは「親」かも知れませんし、「学校の先生」かも知れません。

学校の先生の中にも、「さっき言ったじゃないか」という理屈を使う人がいますからね。親だけの問題ではありません。

もう一つ要因は、

このお父さんは「子育ての仕方」を教わったことがない

ということです。

多分これは当たっているでしょう。

現行の学習指導要領に「子育ての仕方」は出ていませんから。

いま書いた二つの要因を突き合わせると、

このお父さんも、

このお父さんのお父さんも、

このお父さんを教えた先生も、

「子育ての仕方」を習ったことがない

という話になります。

教員採用試験に「子育ての仕方」なんて出ませんから。

これを「負の連鎖」と言います。

4.「言ったモン勝ち」

「買わないって言いましたよ」

これ、どっちでも大差ないという話をしました。

この理屈が通っちゃえば、「言ったモン勝ち」になってしまいます。

落ち着いて考えてみましょう。

この世の中は「言ったモン勝ち」ではありませんよね。

約束をするなら合意形成が必要です。

買うか買わないかを子どもに考えさせて「買わない」って言ったのなら、少しは理屈が通ります。

ただし、「少し」です。

子どもって、すぐ考えが変わるものですから。

判断力は未成熟です。それが子どもです。

そこも含めて、最初にどんな約束をしたのか?

同意形成はあったのか?

最初から脅していたのではないか?

実は、そういったところまで関係する深い問題です。

関係するスキルはいくつかあります。

「正しい」叱り方講座で詳しく解説しました。

気になる方はそちらをご覧ください。

「言ったモン勝ち」だけはやめましょう!

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