講座73 街で見かけた理不尽な叱り方・第2話
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ダイソーでシールを買いたい小3ぐらいの女の子にお父さんが怒っていました。
この場面はどこが理不尽でしょうか?
2.「しつけ」は失敗している
3.原因をさぐる
4.「言ったモン勝ち」
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1.怒りの泥沼理論
一番わかりやすいのは次のことですね。
さっき言ったじゃねえか!
もう少し優しく言うと、
さっき言ったでしょ!
もっとていねいに言うと、
さっき言いましたよ。
まあ、どれも同じですけどね。
要するに、
「さっき言ったんだから守れよ」
っていうことですよね。
これ、どこが理不尽かわかりますよね。
この理屈が通っちゃったら、前もって言われたことは全部守らねばなりません。
それは無理ですよね。
でも問題はそれだけではないのです。
もっと深掘りしますよ。
「さっき言ったんだから守れよ」
この理屈を使ってしまうと、
親が言ったことに対して子どもを怒りやすくなるのです。
怒る理由が出来ちゃうのです。
もっと言うと、いくらでも怒ることができるのです。
子どもはいくらでも怒られちゃいます。
対応しきれませんからね。
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「言っただろうが」という理屈を使うと「怒りの泥沼」にはまります。
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2.「しつけ」は失敗している
次の問題なのはこれです。
いらんだろうが!
これも少し優しく言ってみましょう。
それ、いらないんじゃない?
このお父さん、本当は子どもに判断させたいんです。
でも、そのためのスキルを持っていないんですね。
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人間脳と動物脳は同時に働かない。
このことをわかっていないのです。
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このお父さんはこの言葉を、
超優しく、
微笑みながら、
口にしたとは思えません。
絶対怒ってますよね。
そうなると、スイッチが入るのは「動物脳」の方です。感情にスイッチが入って防衛反応を働かせます。
この女の子はシールをあきらめるでしょう。
お父さんは「自分のいうことをきいた」と思うかも知れません。
「しつけ」は成功したと思っているかも知れません。
でも、この女の子は自分で考えて判断したのではありません。
動物脳(自己防衛)でやめただけです。
残念ながら人間脳は発達しません。
「しつけ」は失敗しているのです。
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3.原因をさぐる
どうしてこうなってしまうのでしょう。
原因は複数あると思います。要因ですね。
まず考えられるのは、
このお父さんもこのようにされて育ったのではないか
ということです。
それは「親」かも知れませんし、「学校の先生」かも知れません。
学校の先生の中にも、「さっき言ったじゃないか」という理屈を使う人がいますからね。親だけの問題ではありません。
もう一つ要因は、
このお父さんは「子育ての仕方」を教わったことがない
ということです。
多分これは当たっているでしょう。
現行の学習指導要領に「子育ての仕方」は出ていませんから。
いま書いた二つの要因を突き合わせると、
このお父さんも、
このお父さんのお父さんも、
このお父さんを教えた先生も、
「子育ての仕方」を習ったことがない
という話になります。
教員採用試験に「子育ての仕方」なんて出ませんから。
これを「負の連鎖」と言います。
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4.「言ったモン勝ち」
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「買わないって言いましたよ」
これ、どっちでも大差ないという話をしました。
この理屈が通っちゃえば、「言ったモン勝ち」になってしまいます。
落ち着いて考えてみましょう。
この世の中は「言ったモン勝ち」ではありませんよね。
約束をするなら合意形成が必要です。
買うか買わないかを子どもに考えさせて「買わない」って言ったのなら、少しは理屈が通ります。
ただし、「少し」です。
子どもって、すぐ考えが変わるものですから。
判断力は未成熟です。それが子どもです。
そこも含めて、最初にどんな約束をしたのか?
同意形成はあったのか?
最初から脅していたのではないか?
実は、そういったところまで関係する深い問題です。
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関係するスキルはいくつかあります。
「正しい」叱り方講座で詳しく解説しました。
気になる方はそちらをご覧ください。
「言ったモン勝ち」だけはやめましょう!