H 幼児教育「黄金の5年間」

講座65 「教え方」は家庭教育でも必要になる!

投稿日:2020年12月21日 更新日:

さて、前回の「感謝の手紙」には秘密がまだあります。

しかも、重要な、有料級の秘密です!

 入学前の子が「ひらがな」や「カタカナ」を使っていますよね。

 珍しいことではないかも知れませんが、よく見てください。

 字が割と整っていますよね。

 「い」も「り」もちゃんとはねていますし、

 「つ」や「の」などのカーブもきれいに書けています。

 しかも、写真では分かりませんが「書き順」も正しいはずです。

 その理由は、このお母さんが「教え方」を持っているからです。

 目 次
1.「最初」にさせること
2.教材によって全く違う!
3.子どもの第一行動
4.まとめ

1.「最初」にさせること

 たとえば、カタカナの「カ」を教える時に、皆さんだったらどうやって教えますか?

 練習帳はこれを使うことにします(教材Aとします)。

 もっとハッキリ言います!

 このページを開いたとします。

 さあ、自分の子どもに、最初に何をさせますか?

 読み方の練習は抜かします。書けるようになるための練習です。

(1)最初に何をさせますか?

 この答えを「知らいないお母さん・お父さん」は結構います。

 学校の先生でも「知らない先生」が結構います(教員採用試験には出ませんし、教員養成大学でも教えられてないからです)。

 ですから「若い先生」は、ほとんど知らないでしょうね(残念ながら)。

 さあ、最初にさせることはなんでしょう。

 自信を持って、明確に答えられますか?

2.教材によって全く違う!

 その答えを出す前にもう一つ別な教材を見てみましょう(教材Bとします)。

 この教材は有名ですし、お店にもたくさん並んでいるのですが、最初に示した教材とは「教え方」が全く違います。

 この教材を与えてしまうと、最初にやるべきことをすっ飛ばしてしまいます。

 AとBでは「教え方」が全然違ってしまうのです。

 もっと言うと、

 AとBでは「子どもの学習習慣」(学習意欲や学習方法も含めて)違ってきます。

 教材Aと教材Bの違いを見抜けましたか?

 AとBでは、子どもの「第一行動」が違ってくるのです。

3.子どもの第一行動

 

 教材Bの第一行動はこれです。

 数字の順に「ヤ」を一つ書いてみる

 そういうことですよね。

 でも教材Aは違います。

 

 書き順を見て指で書いてみる

 ①の所に「かきじゅんをみてゆびでかこう」って書いてありますよね。

 これを「指書き」と言います。

 ちなみに、鉛筆を持ってお手本をなぞる練習は「なぞり書き」と言います。

 教材Bは最初に「なぞり書き」をさせる教材です。それに対して、教材Aは最初に「指書き」をさせる教材です。

ここが全く異なる点です。

 「全く」と付くには理由があります。

①Bは「いきなり」鉛筆を持たせる。Aは鉛筆が要らない。

 どちらが取り組みやすいか、わかりますよね。

 幼少期の子どもにとっては「鉛筆を持つ」というだけでハードルがあるのです。鉛筆の持ち方を確認しなければならなかったり、「いざ始めよう」と思った時に机の上に鉛筆がなくて「探すところから」始めなきゃならなかったり、意外と大変なのです。

 特に、ADHDのお子さんですと、「注意を教材に向ける」のと、「注意を鉛筆に向ける」のとでは「別々に必要な注意」となるわけで、勉強のスタートでつまずく場合が出て来るわけです。

 それに比べて「指」は用意が要りません。体についています。サッと行動に移すことができます。

 また、DCD(発達性協調運動障害)を持ったお子さんは「不器用さ」を持っていますので、鉛筆をうまく使いこなすことが苦手です。それが「指」だと大助かりとなります。

②Bは鉛筆の先から刺激が来る。Aは指の先から来る。

 ペンフィールドのホムンクルスという言葉をご存知ですか?

 カナダの脳外科医ペンフィールドが描いた「体のどこが脳とつながっているか」を表した図です。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 大きく描かれている部分ほど、脳との関係が強くなります。

 顔や手は敏感だということがわかりますよね。

 その「手」の中でも、最も脳とつながっているのが「人差し指」です。

 こんな絵もあるくらい脳との関係が強いのです。

出典:池谷祐二著『進化しすぎた脳』

 言わば、人差し指は「第二の脳」です。

 そして、「指書き」は、まさにその「人差し指」を使う学習法です。

 鉛筆でも、正しく持てば「人差し指」に刺激が来ます。

 ですから鉛筆の持ち方は重要なのです。

 時々、人差し指を全く使わない持ち方の子がいますが、多分脳への刺激量は少ないのではないかと思います。

 ともあれ、「指書き」は練習帳の紙の上に人差し指くっつけて練習します。

 そして、その指は多くの場合が「人差し指」なのです。

③教材Bは「いきなり」鉛筆で書く。Aは「その前に」指で書く。

 ここも小さいようで大きな違いです。

 教材Bにも教材Aにも数字で書き順が示されています。

 しかし、これが全く違うのです。

 教材Bは「いきなり」鉛筆から始まるので、子どもは「はみ出さないように」なぞることを意識します。

 書き順ではなく、なぞることに意識が向くわけです。

 それに対して教材Aは「指書き」によって書き順の練習を独立させているので、書き順を心配することなく、なぞることに集中できます。

 逆に言えば、書き順については「指書き」の段階でマスターしておくことが重要になります。

 「指書き」というシステムは、すべての子どもに、「書き順」と「なぞり書き」がやさしくできるように設計されているわけです。

④教材Bの練習回数は5回。Aは無限(4回以上)。

 Bは「変な形」をしたマスが5個ありますから練習回数は5回です。

 それに対してAは3マスしかないように見えますが、この3マスをやる前に「指書き」をしています。

 実際にやってみればわかるのですが、「指書き」は「なぞり書き」よりも短時間で済みます。

 苦も無く何度も取り組みやすいのです。

 「指書き」の基本として、練習する時には「書き順」を唱えます。

 「ヤ」の場合は、「いーち、に」と書き順を口で唱えて練習します。

 「カ」の場合ですと、「いーいち、に」と唱えて練習します。

 (違いがわかりましたか?)

 少なくとも二、三度は唱えて練習するでしょう。

 難しい字の場合は(たとえば「ヲ」)10回くらいすることもあります。

 とにかく最低でも4、5回はするでしょう。

 このように練習回数が実は違うのです。

 Bは5回、Aは無限なのです。

 違いはまだまだあるのですが、あと1つにしましょう。

⑤教材Bは文字の練習だけ。Aは文字の「練習の仕方」も練習。

 当たり前ですが、教材Bは「ヤ」というカタカナを覚える教材です。

 「かきかたをおぼえよう」って書いてますよね。

 それに対して、Aは文字を覚えることを通して「文字の練習の仕方」も練習する教材です(このような教材を「スキル」と言います)。

 右の①②③がそれです。

 覚え方のシステムです。

 しかも、このシステムは「ひらがな」でも「カタカナ」でも「漢字」でも同じです。

 普遍の練習法。日本の伝統的な練習方法なのです。

4.まとめ

 どうでしょう?「全く違う」の意味を共有することができたでしょうか?

 「感謝の手紙」の背景には、

 このような「教え方」というシステムがあったのです。

 この子のお母さんは「教え方」のプロです。

 実は、もっとすごい工夫もしています。

 「指書き」をさせる前に、お母さん自身が、「指書きのお手本」を子どもに「やって見せて」いるのです。もちろん「いーち、に」と唱えて。

 それからこの子も同じように「指書き」を始めました。

 やさしいですね。

 就学前ですからこんな工夫もされたわけです。

 今後、学校教育が担う部分は、どんどん縮小していくと思います。

 コロナ禍でその動きは加速されました。

 いつ、何が起きても困らないように、家庭教育にもスキルが必要だと思います。

 そう考えて「教え方」の一つを公開しました。

 共有していただけましたら幸いです。

参考図書:『小学校の国語 つまずきのポイントを一日で攻略』向山 洋一 , 谷 和樹, 松山 英樹

-H 幼児教育「黄金の5年間」
-

執筆者:


  1. 浅尾 三吉 より:

     「講座65」読みました。
     納得できます。
     「指書き」の重要さを再度確認できました。

     「子育てWIN3計画」を、友人に勧めました。
     4児のお母さんで、今年教員採用試験に受かった方です。
     これらの講座、きっと役立ててくれると思います。

comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

講座277 「さかなクン」のフロー体験

今回は、テレビなどで活躍してるいる「さかなクン」の幼児期について解説します。  目 次 1.「泥だんご」クン2.「トラック」クン3.「妖怪」クン4.「タコ」クン5.「ウマヅラハギ」クン 1.「泥だんご …

講座265 遠出≠家族サービス

GWといえば「おでかけ」ですよね。 でもこの「おでかけ」は誰のため?って考えたことありますか? 「おでかけ」は子どものためには良くない場合もあることを頭の隅に置いていきましょう。  目 次 1.赤ちゃ …

講座251 「母子登校」が増えている?

 目 次 1.密着動画2.解説3.なぜ教室に残るのか4.何が起こるか分からない5.コミュニケーションづくり6.日課表 1.母子登校とは何か 「母子登校」というのは、お母さんと一緒じゃないと学校に行けな …

講座250 「朝ご飯」で最も重要な栄養素

「朝ご飯」でもっとも大切な栄養素は次のうちどれでしょう。 ①ブドウ糖 ②ビタミンC ③タンパク質 1.就学時健康診断 「早寝早起き朝ごはん全国協議会」のホームページに朝ご飯の必要性についての説明があり …

講座247 生活習慣形成の基本原則

【問題】トイレ・トレーニングを始めました。おむつをやめてパンツにしましたが、遊ぶのに夢中でパンツを何度も汚してしまいます。この時、お母さんは子どもにどんな言葉をかけたらよいでしょう。 次の中から選んで …

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。