講座383 診断名はETCカード!
![](https://win3.work/wp-content/uploads/2023/04/yuryo_douro_ryoukin_koukanjo.png)
良くも悪くも「発達障害」という言葉が普通に使われるようになりました。
「あの子、発達障害なんじゃない?」とか、
「うちの子、ADHDなんじゃないかしら?」とか、
日常会話や噂話の中にも出て来ます。
もしかしたら子どもたちの間でも使われているかも知れませんね。
人はどうしてこうもレッテルを貼りたがるのでしょうか。
今回は、「診断名は怖くない!」という私からのメッセージです。
2.「特別の支援」は通常学級でも受けられるのか?
3.診断名はETCカード!
![](https://win3.work/wp-content/uploads/2022/02/6874c97317f44aa8712f2c0c77d4d218.jpg)
1.発達障害、だからどうした!
何度も言いますが「発達障害」という言葉は曖昧なのです。
唯一診断が許されている医師でさえ「ADHDの可能性があります」という言い方しかしません。
シロウトが使ってはいけないという話ではありません。
医師でさえ確定できないほど曖昧だということです。
そして、更に言いますよ。
もし確定できたとしても、「それがなんなんだ!」ということです。
「癌の可能性があります」と言われたなら、それはびっくりするでしょう。
不安になります。心配になります。
でも発達障害は病気ではありません。
よく「発達障害は個性のようなもの」と言われますが、正しいと思います。
その人の持って生まれた性格です。
医師の診断は「性格診断」みたいなものです。
自分の性格がわかって、アドバイスを受けて、
「じゃあ、こういうところに気をつけよう」みたいな感じで気をつける。
簡単に言うと、そういうことです。
ですから、信州大学の本田秀夫先生が主張された言葉の通りです。
発達障害は「そのまま」か「改善する」のどちらかです。
「悪化する」ことはありません。
「そのまま」なのは、その人の個性だからです。
「改善する」のは、年齢とともに経験を積んで、集団生活に適応できるようになるからです。
もし、「悪化する」としたら、それは周囲の理解や対応に問題があり、二次障害を引き起こした場合などです。
ここから何がわかりますか?
問題となるのは、その人の特性を理解できないで周囲が不適切な対応をすることである。
わかってくれる人がいない。
いじめられる。
叱られる。
そんなことばかり続いたら、おかしくなりますよね。
自分が壊れてしまいます。
それは発達障害であろうとなかろうと関係ありません。
「その人を理解する」というのはすべての人間にとって重要なことです。
そして、発達障害の種類は人間の性格を大雑把に分類した目安に過ぎません。
ADHD:活発で明るい人
ASD:慎重で繊細な人
定型発達:普通で平均的な人
言って見れば血液型性格診断みたいなものです。
A型:真面目、神経質、几帳面
B型:明るい、マイペース、自己中心的
O型:おおらか、大雑把
AB型:天才、理解されにくい、二重人格
これも目安です。
自分や他人を知るための目安です。
人は「目安」があると落ち着くのです。
一旦そこで落ち着いて、それから「本当の自分」「本当のその人」を知ればいいのです。
大切なのはそこからなんです。
![](https://win3.work/wp-content/uploads/2023/03/8f7791422c163a47c12a775eb2fdcb82-1024x144.jpg)
2.「特別の支援」は通常学級でも受けられるのか?
新年度が始まりました。
教室の中をのぞいてみましょう。
35人の学級だとします。
その中には「発達障害の子」もいれば、
「発達障害かも知れない子」もいます。
ですから、通常のクラスでも「特別支援教育」をすることになっています。
このことは法律で次のように書かれています。
【学校教育法・第八十一条】(特別支援教育)
幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校においては、次項各号のいずれかに該当する幼児、児童及び生徒その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。
「及び」で対象が分かれています。
(A)次項各号のいずれかに該当する幼児、児童及び生徒
(B)その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒
(A)は特別支援学級の子どもたちです。
(B)は、それ以外の「教育上特別の支援を必要とする」子どもたちですから、通常学級の子どもたちです。
これが通常学級でも特別支援教育が必要な根拠です。
ただし、学校現場には「法の壁」が残っています。
学校教育法・第八十一条の最後の部分を見てください。
「障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。」
「障害による」という言葉が付いているのです。
「障害」だと認めてもらえないと通常学級での特別支援教育は受けられないのです。
平成29年3月に文部科学省から出された「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」には次のように書かれています。
必ずしも、医師による障害の診断がないと特別支援教育を行えないというものではなく、児童等の教育的ニーズを踏まえ、後述の校内支援委員会等により「障害による困難さがある」と判断された児童等に対しては、適切な指導や必要な支援を行う必要があります。
学校の先生方が会議を開いて「障害による困難さがある」と判断してくれなければ、現状、通常学級での特別支援教育は受けられないのです。
どう思われますか?
私は、障害であろうとなかろうと、困難があれば「特別の支援」が必要だと思います。
でも、世の中はそうなっていません。
「障害」と判断されないと「特別の支援」は受けられないのです。
これが通常学級における特別支援教育の「法の壁」です。
![](https://win3.work/wp-content/uploads/2023/03/8f7791422c163a47c12a775eb2fdcb82-1024x144.jpg)
3.診断名はETCカード!
ところがです。
学校教育には「学習指導要領」という規準があって、学校はこれを守ることになっています。
その学習指導要領の中には「特別な配慮を必要とする児童への指導」という項目があって、次のように書かれています。
特別な配慮を必要とする児童への指導
(1) 障害のある児童などへの指導
ア 障害のある児童などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。
ここには「など」が付いているのです。
「障害」と判断されなくても「特別な配慮」はしてもらえるのです。
ただし、「組織的かつ計画的に」と書かれています。
やっぱり話し合って決めるのですね。
先生個人の判断で配慮や支援をしてもいいように思いますが、そういう自由度がないのです。
時間がかかります。
こう考えてみると、検査を受けて「障害名」をもらえたお子さんは、堂々と最速で「特別な支援」や「特別な配慮」をしてもらえるということがわかります。
まるでETCカードで料金所を通過できるようなものです。
そして、思い出してください。
発達障害は「そのまま」か「改善する」のどちらかです。
「悪化する」ことはありません。
年齢が上がるにつれて、集団生活に適応し、改善することは十分に可能です。
しかも、支援や配慮が付いています。
悪化する可能性は減るでしょう。
あとは、家庭と学校が連携しながら「適切な支援」をしていくだけです。
そして、適切な支援には理解が必要です。
「その人を理解する」というのはすべての人間にとって重要なことです。
何も特別なことではないのです。
多くの人が理解できる世の中にしていくことが私たちにできることだと思っています。
発達障害は悪化することはない
というお話に目に止まりました。
そうなんですよね。
適切な周囲の対応がキーですね。
そしてETCカードで人生の道がスムーズに進めると良いですね。