講座382 一年生はどんな風に授業を受けるのか?

小学校新入学おめでとうございます!

学校に送り出した後って心配ですよね。

「ちゃんと授業を受けているんだろうか?」

参観日は4月の下旬ですからまだ先です。

今回は小学校一年生がどんな風に授業を受けているのか?

先生はどんな授業をしているのかについて解説します。

 目 次
1.人生で初めて教科書を使う瞬間
2.絵だけのページ
3.早くできた子をほめる
4.その裏で進めているもう一つのスキル
5.そこで発問へ

1.人生で初めて教科書を使う瞬間

これは私が小学校一年生を担任した時の授業です。

一年生って早く教科書を使ってお勉強をしたがります。

 学校はお勉強をするところ

 勉強=教科書を使う

そういう意識をありありと感じます。

ですからその気持ちに早く応えてあげるようにしていました。

教科書を開いて授業を受けるというのは、

ライブ会場で好きなアーティストが舞台に登場する瞬間のようなものなのです。

人生で初めて教科書を使って授業を受ける瞬間

その授業はこうやって始まりました。

2.絵だけのページ

最初のページを開きます。

国語なのに文字がありません。

絵だけです。

春の野原に動物たちが描かれているだけです。

これで一体何を教えるのでしょう?

実は、言葉が書かれていないということは、
子どもから言葉を引き出すための絶好の教材ということなんです。

子どもたちから言葉を引き出し、

たくさんほめてあげることができます。

「ああ、学校の勉強って楽しいな!」という授業が次のように始まります。

3.早くできた子をほめる

「おさるさんはどこにいるか、指をさしてごらんなさい」

この指示から授業が始まります。

絵の中から「おさるさん」を探して、指を置く。

これだけのことですが、重要な意味を持ちます。

教室には37名の子がいました。

当然、早い子と遅い子がいます。

早い子は得意になって指をさします。

体いっぱいで「できました感」を出しています。

想像してみてください。

この「できました感」を出している時の子どもの様子を。

目はどこを見ていると思いますか?

姿勢はどうなっていると思いますか?

そうなんです。

いい姿勢で、先生の方を見て「できました!」って訴えているわけです。

この「先生の方を見て」というのが大事です。

これはどんな気持ちを表しているかというと、

「ぼくを見て!」「私を見て!」です。

ですから、教師は目を合わせてあげなければなりません。

37人もいますから、目を合わせるためには、教室のどこに立つかという「立つ場所」も重要です。

子どもの中に入っていたのでは全体が見えません。

黒板の前ギリギリまで下がって、全員を見渡せる位置に立ちます。

目を合わせる

これは教師にとって大切が授業スキルなのです。

そして、当然その時は、

笑顔を見せます

そして、ほめるわけです。

「A君は見つけるのが早いね!」

「Bさんも早い!」

と、名前を付けてほめてあげます。

と、ここまでは保護者の方でも想像ができる展開だと思います。

でも、ここには教師ならではの裏の展開があるのです。

それが何か予想できますか?

4.その裏で進めているもう一つのスキル

実はですね。

一年生に限らず、子どもには差があります。

早い子は早いし、遅い子は遅い。

その差というのは結構あるんです。

ですから、

【A】早い子に合わせると、遅い子は置いて行かれます。

【B】遅い子に合わせると、早い子は待たされます。

この問題に中間というのはありません。

間をとったとしても、早い子は待たされ、遅い子は置いて行かれます。

これを「授業の空白」と言います。

私の感覚では、多くの先生が【B】タイプだと思います。

先生というのは優しい人が多いので、遅い子を待ってあげようとするのです。

でも、そうすると、早く出来た子は待たされます。

そして、遅い子は、「みんなに待ってもらう子」になってしまします。

「授業の空白」はみんなで勉強することの楽しさを減らしてしまうのです。

そこで、教師は工夫するのです。

「おさるさんはどこにいるか、指をさしてごらんなさい」

全員が指すのを待ちません。

早い子からほめていきます。

すると、遅い子はどうするか。

隣の子の行動を真似します。

それでいいのです。

この時に、「隣を見たらダメ!」なんて言う先生はいないはずです。

指を置かせるのは、遅い子へのヒントにさせる意味もあるのです。

もしかしたら、37人の中には、まだ教科書を開いていなくて支援員さんの支援を受けながら、やっとみんなに追いつく子がいるかも知れません。

でも、こうやって授業を始めると、「お勉強が始まっている感」が出ますよね。

「A君は見つけるのが早いね!」

「Bさんも早い!」なんていう声が飛び交っているわけですから。

そういう空気を作ってあげることが、遅い子のスイッチをONにするのです。

これは「早く開きなさい!」とか「早くしなさい!」などと口で急がせるより効果があります。

実は、大人が口で言っても頭に入らないことがよくあります。

頭の中で他のことを考えていたりしますからね。

ところが、周りの空気が動き出すと、それは体で感じます。

遅い子にもスイッチが入るのです。

そして、もうひとつ。

「おさるさんはどこにいるか、指をさしてごらんなさい」

これは実はどうでもいい問題なのです。

そんなに大切な問題ではありません。

授業が始まる前の準備、スタート前の助走問題。

つまり、遅い子を参加させるための手立てでもあるわけです。

早い子を待たせず、遅い子に参加をうながす。

これで「授業の空白」は生まれません。

5.そこで発問へ

この段階で教師は思います。

「これで授業の核心に入っていけるな」

そこで、その時間の大切な問題を出します。

それを「発問」と言います。

発問1 この絵の中に、何があるかな。何がいるかな。見つけたことを教えてください。

ここまでまだ3分も経っていません。

ここから授業が展開していきます。

関心のある方は、続きをYouTubeでご覧ください。

《関連動画》
一生使える「授業の原理原則」

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水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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