講座230 就学前の「ひらがな」練習方法

前回の講座で「新入学準備12項目」について書きましたが、

大事なことをひとつ忘れていました!

それは「ひらがな」の準備です。

年長のみなさんは「ひらがな」が書けますか?

「ひらがな」は学校に行ってから習うものなので、

書けなくても先生が教えてくれることになっています。

でも、ほとんどのお子さんが「習う前」に書けるようになっているのが現状ではないでしょうか。

一体誰が教えているのでしょう?

幼稚園の先生?通信教材?お父さんお母さん?自分で?

でも、入学する前にチェックしておくべきことがあるんです。

今回はそのことをお伝えします。

 目 次
1.教える順番
2.ひらがなの難しさ
3.斜線構成認知
4.まとめ

1.教える順番

(1)あ
(2)い
(3)つ
(4)く
(5)し

学校で最初に習う「ひらがな」はどれだと思いますか?

これ、講座92で超詳しく解説したのですが、覚えてますか?

答えは「決まってない」です。

学校によって、先生によって、教える順番はバラバラなんです。

では、あなたが一年生の先生だとして、(1)~(5)の中でどれを最初に教えますか?

これ、性格診断にも使える問題です。

素直な人は「つ・く・し」あたりを選びます。春ですしね。

じっくり考えるタイプの人は「い」を選びます。「いちねんせい」の「い」ですね。

子どもの気持ちに寄り添う人は「あ」を選びます。一年生は「あ」を書きたがるんです。

まあ、こんな風に人によってバラバラなんですね。

詳しいことは、講座92「『ひらがな』の教え方は学校によってバラバラです」をご覧ください。

2.ひらがなの難しさ

ひらがなを書く時の「難しさ」を表にしたものです。

そうなんです。ひらがなは難しいのです。

戦前までは先に「カタカナ」を習っていました。

カタカナの方が簡単だからですね。

ですから現代の子どもたちは敢えて難しい「ひらがな」の方から先に習っているのです。

なのに、教えられる順番はバラバラなのです。

できれば書くのに簡単な方から教えてもらいたいですよね。

ということでこの表が役に立ちます。

大事なのは「分類基準」です。

「タテ線」「ヨコ線」これは簡単です。

曲線は難しいです。

ここまではわかりますよね。

では、次の三つを「書くのが簡単な順」に言えますか?

・つ
・く
・し

基本的に、一番簡単なのは「く」です。

直線だけですからね。

「つ」と「し」はどちらが易しいでしょう?

どっちも簡単だと思いますか?

難易度表でいえば、どちらもレベル2ですね。

でも違いがあります。

「つ」は時計回りの曲線です。

「し」は反対回りの曲線です。

簡単なのは反対回りの「し」の方です。

時計回りの曲線を書く時は小指球(しょうしきゅう)を軸にして鉛筆を持っている指を大きく動かさねばなりません。

小指球というのは小指の付け根から手首に向かっているふくらみの部分です。

鉛筆の跡が黒く汚れたりしますよね。

ここがノートにしっかりとくっついていなければレベル2の曲線群が難しくなります。

中でも「つ」のような時計回りの文字は大きな動きを必要とするので一年生にはハイレベルなんです。

指で「し」と「つ」を書いてみてください。

「し」は、小指球が固定さえされていれば、割と指先だけで書けます。

「つ」は、小指球を軸にして、大きく回しませんでしかた?

このように平仮名には難易度があるということです。

そして、小指球が大事な役割を果たしていることがおわかりいただけたと思います。

レベル2でこれですからね。

3以上はもっと複雑なポイントがあります。

3.斜線構成認知

・つ
・く
・し

一年生にこの三つを教える自信がありますか?

実はこれだけではないのです。

さっき、基本的に一番簡単なのは「く」だと書きました。

「基本的には」です。

お子さんによっては「く」を苦手とする子もいます。

「斜めの線」だからです。

そして、斜めの線を苦手とするお子さんの中には「斜線構成認知」に障害を持つお子さんもいます。

斜めの線が見えづらいのです。

保護者であっても気づかない場合があります。

このようなプリントを用意して、

「上の真似して書いてごらん」と調べてみればだいたい気づきます。

「何かへんだな?」と思ったら発達支援センターなどに相談してみることができます。

学校に相談してもつなげてくれるでしょう。

早く気づけばおうちでトレーニングできます。

このようなドッツカードを用意して、模写(同じように線を引かせる)練習です。

  1. 二点を決め、その間にまっすぐにおはじきを並べる
  2. 斜めの線を運筆の課題として、繰り返し練習する
  3. 点図形や図形模写の課題で難しい問題が出されたら、それが何に見えるかの見立てをする
  4. どの点からどの点まで線を引くのか・・ということをしっかり意識する
    出典:週刊こぐま通信「子どもはどこでつまずくか」(17)

4.まとめ

平仮名を教えるだけでもこんなに沢山の知識が必要なんです。

レベル2の「つ・く・し」を指導する前の準備でさえ、こういうことなんです。

学校の先生の仕事には、まだまだ沢山の「知られていないこと」があります。

私たちには「在れどもも視えず」なんです。

でも、先生にだって知らないことはあります。

ですから連携が大切です。

入学前は特にです。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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