講座212 どんな子どもが「幸せ」になるか②

 目 次
1. 幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」
2.おでこの裏
3. HighScope教育財団
4.まとめ

1. 幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」

前回はアメリカの 「ペリー就学前プロジェクト」 という追跡調査の紹介をしました。

その影響は少し遅れて日本にもやって来ました。

「10の姿」って聞いたことありませんか?

「非認知的スキル」はどうですか?

日本では2017年に幼稚園教育要領、保育所保育指針などが改訂されて、

2018年の4月から「新しい幼児教育」が始まったのです。ご存知でしたか?

まずやったのは、「幼稚園、こども園、保育所で一緒の目標を作りましょう」ということです。

この目標のことを「10の姿」と言います。

正式名称は「幼児期の終わりまでに育ってほしい『10の姿』」と言います。

これです。

たくさんあって覚えきれませんよね。

そこで、私は超シンプルに解釈しています。

幼児期の終わりまでに「おでこの裏」を発達させよう!

そういうことです。

「おでこの裏」の話は私のブログの中で何度も取り上げています。

脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)のことです。

ここを発達させれば「コントロール力」と「記憶力」が身につきます。

我慢したり、切り替えたり、先を見通したり、先生の指示を理解したり、

そういう力が身につきます。

小学校にあがった時に、学校の授業についていきやすくなります。

それは結局、大人になって社会に出た時に、まわりとうまくやっていく能力でもあります。

だから「幸せ」になれるわけです。

2.おでこの裏

これは復習ですよ。

もう何度も取り上げていますから。

ズバリ!何番ですか?

②番の1歳~8歳が正解です。

ただし、ほかの年齢で発達しないわけではありません。

ピークが1歳~8歳という意味です。

ちなみに「大人の脳」が完成するのは24歳くらいだと言われています。

成人は18歳ですけど、大人は24歳なんですね。

それはさておき、だから、

幼児期の終わりまでに「おでこの裏」を発達させよう!

というわけなんですね。

3. HighScope教育財団

いよいよ本題です。

では、どうしたら「おでこの裏」は発達するのでしょうか。

ペリー就学前プロジェクトにおいて①~③の教育プログラムを提供した団体が、

HighScope(ハイスコープ)教育財団です。

数年前、HighScope の先生が日本で研修会を開くというので私は弘前市まで行って研修を受けて来ました。

どんな教育か知りたいですよね。

でも有料ですから全部はここで教えられません。

ほんの一部だけ紹介させていただきます。

幼稚園での一場面です。

女の子が「妹に本を作ってあげたい」と先生に言いました。

さて、その時、先生はどんな対応をとったと思いますか?

あなたなた、どう対応しますか?

どんな返事をしますか?

先生が対応したときの言葉を紹介します。

この一連の言葉を見てどう思いますか?

「すごいな!」と思いましたか?

それとも「なんだ、普通じゃない?」と思いましたか?

それともよくわかりませんでしたか?

これ、実はすごいんですよ。

「妹に本を作ってあげたい」

女の子はそう言いましたよね。

それに対して先生の最初の対応は、

「どうやって作るの?」

です。

何も教えていませんよね。

でも無視もしていません。ちゃんと言葉で対応してあげています。

ここで「そう!じゃあ先生が教えてあげる!」じゃダメなんですね。

大人ぶって教えない

ここまではいいですよね。

問題は次です。

女の子が何かしら作り方を先生に話した後の言葉です。

「それはどんな形?」

聞いてますよね。

紙の形を話しているのかも知れません。

紙なら「四角」でしょうか。

でも先生は大人ですから「四角」だって知っていますよね。

知っていてわざと聞いているのです。

SharedControl(シェアド・コントロール)共用制御

これは 「シェアド・コントロール」 という教育技術です。

直接は教えないで、子どもと一緒になって行動をコントロールするという技です。

わざと、知らないふりして聞いているわけです。

三番目の言葉を見てみましょう。

「ああ!交換するのね!」

女の子が何か材料を交換した場面です。

これも先生は「交換する」という言葉(作業)を知っています。

それなのにわざわざ口にしています。

実況中継

これは「実況中継」という教育技術です(私が勝手に名付けました)。

子どもの行動を大人がアナウンサーのようになって言語化してあげる技です。

こんな風に、一見して普通に見えるやり取りであっても「プロの技」が使われているのです。

そして、「シェアド・コントロール」も「実況中継」も単純に言えばこういうことです。

言葉にしてあげる

そういうことですよね。

これだったら皆さんもやったことがあるのではないでしょうか?

ポイントは「自然に」「対応しながら」やるということです。

やれば出来そうですよね。

でも、それを意図的に使っているのがプロということなんです。

4.まとめ

ここで話を日本の幼児教育に戻します。

「10の姿」の正式名称を覚えていますか?

「幼児期の終わりまでに育ってほしい『10の姿』」

これを見て、何か違和感を覚えませんか?

「育って欲しい」の部分です。

幼児教育の目標が「育って欲しい」でいいのでしょうか?

大人は「育てる側」なのではないでしょうか?

ここが日本の弱いところだと私は思っています。

ですから私は次のようにまとめたわけです。

幼児期の終わりまでに「おでこの裏」を発達させよう!

HighScope の先生も意図的に子どもに対応していたじゃないですか。

そこなんです。

実はそこが「おでこの裏」を発達させるための大前提なのです。

次回で「どんな子どもが『幸せ』になるか」の最終まとめにしたいと思います。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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