講座123 「言う前に見る」監視の原則
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Mさんからの報告。
温泉で声の大きいお母さんがいました。
子どもが何かする度に何か言うのです。
温泉の中では響いてよく分からなかったのですが、
脱衣場で子どもを着せる時にずっと怒っていました。
「ちゃんと着なさい。すぐに着て!」
休憩室でも怒っています。
「アイス買うんでしょ。そっちは行かない!」
ずっと怒っていたら子どもは麻痺するなと思いました。
やっとお母さんが静かになったと思ったら、子どもとスマホでゲームをしていたました。
2.プールの監視スキル
3.言う前に見る
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1.何かする度に何か言う
問題のポイントはここですね。
子どもが何かする度に何か言う
どうして言うのでしょう。
子どもが言うことを聞かないからですね。
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つまり、このお母さんは
言うことを聞かせたい
わけです。
では、どうして「言うことを聞かせたい」のでしょう。
「ちゃんと着なさい。すぐに着て!」
服を着るのが遅いからでしょうね。
「アイス買うんでしょ。そっちは行かない!」
やることをやらないで余計なことをするからでしょうね。
でも、これを読んでいる皆さんは次のように思うことでしょう。
「でも、それが『子ども』ってもんでしょ」
では、どうやって対応したらいいのでしょうか?
2.プールの監視スキル
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私はバイトでプールの監視員をしていますが、
子どもって、水から上がると途端に走り出すんですよね。
中にはプールサイドで側転をしちゃう子もいます。
もちろん落ち着いて行動できる子もいますが、水から出た瞬間に走ってしまう子は必ずいます。
しかし、その度に注意していたのでは、四六時中その子どものそばにいなければなりません。
他にも子どもがいますから、それは無理です。
子どもの方も、ずっと監視されていたら楽しくないでしょうしね。
でもです。
プールの監視員は命を守る責任があります。
プールサイドを子どもが走るのは本当に危険です。重大事故につながります。
目は離しません。見て見ぬふりをします。
そして、どのタイミングで注意をうながすかを考えます。
水から出たら手遅れですから、その前に作戦を考えます。
①この様子だと大丈夫そうだな(でも監視は続ける)
②もしかするとエスカレートするかもな(監視を強化する)
③ちょっと騒ぎ過ぎてるぞ(視線を送る)
④視線に気づかない場合(近くに寄る)
⑤それでも気づかない場合(言葉をかける)
言葉にするのは⑤の段階です。
言葉をかける前に、自分で気づくように試みます。
そして、言葉をかけるにもいくつかのパターンがあります。
⑥「ダイジョブかな?」
⑦「気をつけてね」
あえて意味不明の言葉をかけます。
「え?ダイジョブって何?」「何を気をつけるの?」
でも、気づく子は気づきます。
「あ!さっき走っちゃったかな!」「あ!今、騒ぎ過ぎちゃったかな!」
この子たちは「自制」できたわけです。
次から気をつける可能性が高くなります。
ですからまた私は「見て見ぬふり」に戻ります。
しかし、この程度では自制できない子もいます。
⑧「何年生?」「へえー、えらいね!」
⑥「ダイジョブかな?」や⑦「気をつけてね」だと一言ですよね。
一言で自制できる子は自制レベルの高い子です。
普通は、いきなり話しかけるのではなく、こちらに注意を向けさせる言葉必要です。
学校の先生ならわかるでしょうけど、朝、教室に足を踏み入れた瞬間に、
「おはようございます!」って言うのと、
「はい!おはようございます!」って言うのとでは反応が違うのです。
もちろん「はい!」を付けた方が反応が良くなります。
教師が来る前の教室という空間は「子どもたち同士の世界」です。
「ゲームの話」とか「恋バナ」とか、おしゃべりなどをしているわけですよね。
そこへいきなり教師が入って来て「おはようございます!」と言われても構えが出来ていません。
だから、最初に「はい!」を付けることで「来ましたよ!」と気づかせるわけです。
そういうことを考えずに「挨拶がなっとらん!」などと怒る先生は嫌われ者になります。
⑧では、「何年生?」という言葉が「はい!」の役目を果たします。
子どもが「2年生です」って答えたら、
「そう!えらいねえー」と言ってその場を去ります。
何がえらいのか意味不明ですが、これだけで効果があります。
その後、子どもは落ち着きます。
客観世界に戻れるんですね。
「あ、ここはプールだった」「ちょっと今、騒ぎ過ぎてたかな…」などと。
これも自制ですね。まだ直接の注意はしてませんから。
⑨(しゃがみ込んで手で合図してこっちに呼んで)「気をつけてね」
これはかなり「直接注意」に近いですね。
まず、手招きで呼ぶのが大事ですね。
これだけで客観世界に戻れますから。
大抵は「あ!やばい!」と気づきます。
神妙な面持ちでこっちに近づいて来ます。
ですから言葉は「気をつけてね」で十分通じます。
子どもは「はい」とかコクっとして戻ります。
⑩(しゃがみ込んで手で合図してこっちに呼んで役割を持たせる)
テンションが上がるのは友だち同士や兄弟で遊んでいる時がほとんどです。
「あの男の子たち騒ぎ過ぎるから注意してあげてね」
「弟くん、あぶないから気をつけさせてね」
本当はその子が一番騒いでいるのですが、
その一番騒いでいる子を呼んで役割を持たせます。
これは効果ありますね。
これも自制ですよね。
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3.言う前に見る
こうやって考えてみると、「走らない!」とか「騒がないで!」といった直接注意に至るまでには様々な方法がある、ということがわかります。
それに、「走らない!」とか「騒がないで!」と言った時には、もう走っていたり、騒いでいたりするわけですから手遅れです。
危険防止の観点からも、それは最終行為であるわけです。
大事なのは「防止」の方です。
何かする度に何か言う
これは「最終行為の使い過ぎ」です。
言う前に、見ましょう。
子どもが水から上がった途端に走り出す理由をご存知ですか?
それは水の中が楽しいからです。
水に入って遊んでいる時はテンションが上がっています。
脳の中でドーパミンがドバドバ出ていることでしょう。
そのテンションで水から出たら、そりゃあ走りますよね。
冷静に歩くのは自然な流れじゃありません。
冷静になれるのは、社会的な判断が身について、自分を制御できるようになった子どもです。
多くの子どもは、その発達の途中です。
「言う前に見る」を試してみてください。
子供がはしゃぎ過ぎるのは、嬉しいから❗️分かっていたようで、大きな気付きでした(^.^)
娘は、幼稚園にお迎えに行くと、靴を履いた途端、園庭に駆け出します❗歩いてねと言っているのに!って思っていましたが、お母さんが来て嬉しいからなのかな?と思いました(^.^) バスで降園の時も、バスから降りるときにはしゃいでいます。
何かとはしゃぎ、特にばあちゃん家では困ったこともします。本人も言っているのですが、楽しくて興奮しておだっちゃうの、とのこと。危ないことが無いよう気にしつつ、見守ります。
文さん!冷静にふりかえっていますね!
グーです!(^^)/