講座122 LGBTを授業化する
2.差別や偏見は誰にでもある②
3.言葉の問題
4.セクシャリティの4要素
5.セクシャリティは「かけ算」
6.思春期の問題
1.差別や偏見は誰にでもある①
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あなたが女性だったとして、女湯に男の人が入って来たらどう思いますか?
でも、その男の人は「体は男性でも心は女性」なんです。
女性であることは公表していて、「女性」として生活されている方なんです。
でも体は男性。
この状況を受け入れられますか?
受け入れられないとしたら、それは差別や偏見にあたりませんか?
続けます。
2.差別や偏見は誰にでもある②
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ウエイトリフティングの競技に「男性の体を持った女性」が出場して優勝しちゃったらどう思いますか?
その人は、肉体は男性だけど、心が女性なので、女性と認められた選手なんです。
これって「ずるいんじゃない?」と思いませんか?
私は「ずるいんじゃない?」と思っちゃいます。
差別や偏見をぬぐいきれません。
さっきの女湯の件でも「ずるいな~」と思っちゃいますよ!(^^)/
ですから、LGBT(性的マイノリティ)への偏見や差別を完全になくすのは難しいと思うんです。
今はまだ時間がかかるというか、社会が熟していないというか、
私も熟していないとうか、とにかく難しい問題だと思うのです。
でも、そのような性的マイノリティ(性的少数者)が存在することは事実ですから、
その人たちを差別してはいけないと思います。
そして、差別をなくすためには、
「差別するのはやめましょうね」とアピールを貼り出すだけではなく、
LGBTって何なんだ?という基本的なところを理解する必要があると思うのです。
そこで、「たくさんの人に理解してもらうチャンス」と言えば「学校の授業」じゃないですか!
私の出番です。
小中高校生向けの授業を作ることに決めました。
今回の記事はそのためのベースづくりです。
授業の骨格は精神科医のkagshunさんの放送《111回》《112回》をもとにしています。
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3.言葉の問題
LGBTに関わる言葉って、たくさんあるんです。
あり過ぎてどれが一般的なのか、ウィキペディアも困るくらいあるんです。
ここでは深入りしないで、サラッと一般的な説明にとどめますね。
法務省のサイトから抜粋します。
LGBTとは次の言葉の頭文字をとって組み合わせた言葉で、性的少数者 (セクシャルマイノリティ) を
表す言葉の一つとして使われることもあります。この機会に多様な性について考えてみましょう。
(Sexual Orientation (性的指向) と Gender Identity (性自認) の頭文字をとった 「SOGI」との表現もあります) 「LGBTについて考えよう」(法務省)
頭文字についての説明が次のように続きます。
L レズビアン(Lesbian)「女性同士の同性愛」
G ゲイ(Gay)「男性同士の同性愛」
B バイセクシャル(Bisexual)「両性愛者」
T トランスジェンダー(Transgender)「心と体の性が一致しない人」
最近ではこれに「Q」がくっついて「LGBTQ」とも言われています。
Q クイア(Queer)「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」
これは一般的な説明なんですけど、私はこの一般的な説明に納得できないでいます。
まず、「性的少数者」っていう言い方ですけど、
いつの時代も(昔から)10%くらいの人がLGBTとして生活してきたと言われています。
10%って「少ない」ですか?
どの教室にも4人いるって考えたら「普通にいる」ってことじゃありませんか?
ですからまず、「性的少数者 (セクシャルマイノリティ)」という言葉がイマイチだなあと思います。
あと、「レズ」とか「ゲイ」っていう表現ですね。
言葉自体に偏見が付き纏う感じで、本人を目の前にしたら言いづらいなと思うのです。
「両性愛」なんか「二刀流か!」って思っちゃいますよね。
その点、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)は冷静な表現だと思います。
そこで、トランスジェンダーのような冷静な言葉で、
「L」も「G」も「B」も「T」も「Q」も包み込んでしまう便利な言葉はないかと考えた時に、
出て来たのがこの言葉でした。
セクシュアリティ(sexuality)「人間の性に関することすべて」
そこで、ここからは「セクシャリティ」という言葉を使って、LGBTを含む性の問題を整理してみたいと思います。
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4.セクシャリティの4要素
人間の「性」には4つの要素があると、精神科医のkagshun先生は言います。
(1)体の性
どんな性器がくっついているか、胸はふくらんでいるか、ヒゲは生えているか、染色体はどっちか…。
そういうのが「体の性」です。
(2)心の性
これは「自分をどう思っているか」という性です。自認とも言います。
「自分は男だ」「自分は女だ」「自分はどっちでもない」の三つがあります。
この「心の性」と「体の性」が異なっている人をトランスジェンダーと呼ぶわけです。
(3)性愛の性
これは恋愛やセックスの対象が「異性」なのか「同性」なのか「両方」なのか「どっちもダメ」なのかということです。レズやゲイや両性愛はここに関係するわけです。
(4)表現の性
これは、「服装」「言葉づかい」「しぐさ」などの自己表現に関する性です。
ここが多数派と異なる人が「クイア(不思議な・風変わりな・奇妙な)」と思われちゃうんでしょうね。
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5.セクシャリティは「かけ算」
セクシャリティは「かけ算」でできています。
セクシャリティ=(1)✖(2)✖(3)✖(4)
この「かけ算」によって様々な答えが出てきます。
私の場合は、
(1)体は男
(2)自分でも男だと思っている
(3)性愛の対象は女性
(4)表現の仕方も男
という組み合わせです。
こういう組み合わせの人は多いと思います。
世間はこれを「普通」と呼びます。
でも、組み合わせ的に考えると、
たまたまそうなっただけ
なんです。
他の組み合わせがあってもいいのです。
私の知っている人に女装が好きな男性がいます。
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まあ、こんな感じですね。
見るからに中身は男なんですが、表現が女性なんです。
女装をして堂々と買い物をするんです。
彼の場合の組み合わせを考えてみましょう。
(1)体は男
(2)自分でも男だとわかっている
(3)性愛の対象は不明(そこまでは私が知らないだけ)
(4)でも表現の仕方は女性
私は街で彼に会うと、「こんにちはー」と普通に挨拶をしますが、
多くの人は「変な目」で見ているようです。
そんな人はめったい見ないですからね。
でもそれは「変った人」「少数」ではないと私は思うのです。
誰もが「セクシャリティのかけ算」を通って自分の性を持っています。
その組み合わせは複雑です。
いろんな答えが出て来ます。
私も「答えの一つ」だし、彼も「答えの一つ」。
それだけの話です。
そう思えば、差別や偏見は低減するんじゃないでしょうか。
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6.思春期の問題
「セクシャリティのかけ算」はこれだけではありません。
実はもっと複雑です。
もう一つ「かける数」が増えるのです。
セクシャリティ=(1)✖(2)✖(3)✖(4)✖(時)
さっきの組み合わせが一生続くかというと、そういうわけではありません。
その「時」によって違うのです。
小さい時には「男」だったのに、大人になったら「女」になった、
というケースはよくあることです。
曜日によって変わる人もいるかも知れません。
一貫性がないのです。
そして、その中でも変化が起きやすいのが思春期です。
小学校高学年からの10代の時期。
心が揺れる時期ですよね。
そういう時にセクシャリティの悩みを抱えている子どもたちは、きっと身近にいるはずです。
私は、そういう子の心を少しで軽くしてあげたいと思って、
今、この記事を書いています。
いつか授業化したい。
そして学校教育に届けたい。
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kagshunさんの放送がそのきかっけをつくってくれました。
忘れないうちに記事にしようと思いました。
私が住んでいる所は田舎です。都会ではありません。
しかし、「少なくない子」が性の問題で悩んでいるはずです。
田舎は都会と違って「同じような仲間」に出会うチャンスは少なくなります。
孤立しがちです。
これもkagshun先生から学んだことです。
なおさら授業をしなければなりません。
理解の基本となるのは「セクシャリティはかけ算」という言葉です。
このことを皆さんも各地で広めてください。
私も広めます。
kagshun先生のVoicyチャンネル 「精神科医のココロに効くラジオ」
私は、幸いにも、女の子なんだからという言葉掛けをされずに育ったと思っています。気が付かなかっただけかもしれませんが。
もちろん、娘にもそういった言葉は掛けないようにしているのですが、義母は違います。そして、娘は、リボンやスカートは男の子には似合わない、女の子の物と言ったりします。その都度、決まりはない、似合うかどうかは自分で決めること、誰でも好きな物を身に付けて良い、と伝えています。
大人も学ぶ必要があるなと感じます。
自然体でよいと思います。
どっちも自然!(^^)/
女性らしさ、男らしさ、って確かにありますからそれは否定出来ないと思います。でも、それを押しつけてしまうとダメだと思います。
なるほどですね。押し付けは良くないですね。