講座106 「いじめ」に負けないスキル・後編
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「法律」と「定義」が分かれば、一次予防の段階で「いじめ」はなくすことが可能です。
今回はその後編です。
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2.日本の「いじめ」には足りないものがある!
3.Thinking error(シンキング・エラー)とは何か?
4.Thinking error
5.傍観者の「シンキング・エラー」
6.まとめ
1.「いじめ」って何?
「いじめ」という言葉の意味は法律で決まっています。
日常会話で「わー!いじめダぁー!」と言う時のいじめと、
学校や警察や報道機関などで「いじめ」という時のいじめとは明確に違います。
社会的に禁止されている「いじめ」とは、「いじめ防止対策推進法」の中で定められた法律用語です。
その定義は次のようになっています。
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長いですね。
だから覚えられないし、広まらないし、共通理解が得られないのです。
これを短くしましょう。
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かなり短くなりました。
もっと短くしましょう。
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「いじめ」というのは、関係者の行為です。
その子と関係のある人が「いじめ」をします。
知らない人がやったら「いじめ」ではなく「犯罪」か何かでしょう。
そして、本人が「苦痛を感じている」というのが定義の二つ目です。
「感じている」の「いる」が大事です。
現在「感じている」ということです。
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2.日本の「いじめ」には足りないものがある!
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アメリカにも「いじめ」はあります。
英語では「bullying(バリイング)」と言います。
図の右側がアメリカにおける「いじめ」の定義です。
・被害を与える行為
・力のアンバランス
・継続性
この3つは日本の「いじめ」の定義と同じです。
でも、アメリカの定義には、もう一つ、日本にはない定義があります。
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それがこれです。
Thinking error(シンキング・エラー)
さて、アメリカにはあって日本にはない「いじめ」の定義。
その「シンキング・エラー」とは何だと思いますか?
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3.Thinking error(シンキング・エラー)とは何か?
ヒントを出します。
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「そのくらいはいいでしょ」とか、
「これは遊びです!」とか、
そういう言葉を言ってしまうのが「Thinking error」です。
これは加害者や傍観者が口にしてしまう言葉です。
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「スキを見せるから悪い!」とか、
「もっとうまく立ち回りなさい」とか、
「別の事で見返してやれ!」とか、
そういう言葉を言ってしまうのも「Thinking error」です。
これは、加害者や傍観者だけでなく、学校の先生や親も口にしてしまう言葉です。
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「こういキャラ設定なんです」と加害者が言い、
「そうなんです。僕いじられキャラなんです」と本人も笑いながら言う。
それも典型的な「Thinking error」です。
さあ、「Thinking error」とは何だと思いますか?
日本語に置き換えると、どんな言葉になると思いますか?
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4.Thinking error
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「Thinking error」は、加害者にも保護者にも教師にも、そして本人にも起こり得ます。
加害者は、次のようにエラーします。
「いじめられても仕方ない存在なんだ」
「彼だってそのつもりです。笑ってますから」
保護者や教師は、次のようにエラーします。
「お前にも悪いところがある」
「大人の社会にもいじめはある」
そして、本人は、次のようにエラーします。
「相手にされてるのは『友達』だから」
「いじめられなきゃ仲間に入れてもらえない」
これらはすべて「間違った考え」です。
そうです。「Thinking error」とは、「間違った考え」のことを言います。
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5.傍観者の「シンキング・エラー」
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傍観者にも「シンキング・エラー」は起こります。
①他の人が動かないから緊急性はないだろう。
②他の人がいるから誰かが行動するだろう。
③ここで行動を起こしたら笑われるんじゃないか。
こうした気持ちが働いて「傍観」してしまうのです。
子どもの発達科学研究所の和久田学氏は「シンキング・エラー」を「いじめ」の定義に加えるべきだと主張されています。
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すると、どうなるか。
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「いじめ」には「間違った考え」がつきものであるという社会認識が広まれば、
人は「間違った考え」に気づきやすくなります。
「間違った考え」に気づきやすくなると、
加害者には、その行為を「やめる力」が働きます。
本人には、助けを「求める力」が働きます。
保護者、教師、傍観者などには、「いじめ」を「止める力」が働きます。
「間違った考え」にハマっている時と、
「間違った考え:に気づいている時では、どう違うのか。
アメリカの学校で実演した動画があるので観てみましょう。
動画の中で「赤い服」を着た体格のいい男の子が出てきます。この子が加害者です。
背の小さい「髪の長い女の子」がいじめられます。被害者です。
他の子たちはどうするか?
動画の前半が、「間違った考え」にハマっている時、
後半が、気づいている時です。
比べてみてください。
これは学校の授業です。
「シンキング・エラー」を、頭の中だけではなく、行動で体験しているわけです。
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6.まとめ
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「法律を知る」ことと、「定義を知る」ことで、
「いじめ」かどうかを区別することができます。
区別することができると、「やめる」「求める」「止める」という働きが強まります。
それが「一次予防」です。
「いじめ」は、この一次予防の段階でストップさせ、
二次予防、三次予防まで行かないで済ませることが最も重要なことなのです。
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さらに言えば、「いじめ」を区別できるようになると、「いじめ」以外の問題を自分たちで解決できる・解決させることが可能になります。
このことも教育において非常に意味のあることだと思います。
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では、テストしてみましょう!
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ロールプレイ方式で間違った考えを止める授業、取り入れたいです。
いじめの授業は予防として全てのクラスで行うべきだと思います。
子どもも教師も保護者もいじめとは何か分かっていないと、対応が遅れたり、間違った対応をしてしまったりするのですよね。
分かりやすい解説をありがとうございます。
学校の授業にはその可能性があると思います。
日本人のほとんどが学校を通りますから。