講座61 6歳までに1000の体験を!

 子どもは様々な体験を通して成長します。

特に、乳幼児期の体験は「そのとき」にしか起きない貴重な発達を保障してくれます。

「そのとき」は一生に一度です。

 6歳以後の成長に

大きく影響する

と言われています。

 目 次
1.「伸び悩む子」とは(向山洋一先生の学年通信から)
2.学校現場の実情
3.一生を左右する
4.「6歳までに1000の体験を」
5.いくつかの動画

1.「伸び悩む子」とは(向山洋一先生の学年通信から)

 私の師匠である向山洋一先生は1年生を担任した時に、
 「伸び悩む子」には共通点があることを発見しました。
 2つあります。

共通点1 先生が言ったことを行動に移せない

共通点2 体験が乏しい

「29ページを開きなさい」とか、
「(紙を見せながら)紙を横にしなさい」とか、
「紙を二つに折りなさい」とか、
 そんなに難しいことでもないのに、そういった指示を受け取って行動に移すことができない子がいるのです。

 私も1年生を担任したことがあるのでよくわかります。
 多分、幼稚園・保育園時代からその前兆はあったはずです。
 教室の中(集団の中)で先生が言った言葉を受け取るのが苦手なのです。
 その子の目の前に行って、
 一つ一つを「その子に」言わないと通じないのです。

 これはその子の一生にとって重大なことです。

 小学校・中学校というのは、「教室(集団)」という場所で、
 複数の子どもたちに対して先生が話すことが中心になるからです。

2.学校現場の実情

 「教室(集団)」という場所で、先生の話を受け取り、それを行動に移すというのは大人が思っている以上に難しいものです。
 ボーっとしていたのでは声が頭をすり抜けていきます。
 言葉を言葉として認識し、言葉の意味を理解し、脳の中で判断したことを行動に移すわけですから複雑なのです。

 教師も「その難しさ」を理解していなければなりません。

 ところが、「その難しさ」を理解している先生は案外少ないものです。
 大学で教わってきていないからです。

 その先生が「その難しさ」を理解しているか否か。
 見分ける方法があります。
 この方法を知っていれば、参観日などに(オンライン授業でも)受け持ちの先生の教師としての技量を見抜くことができます。

「わかりましたか?」を使っているかどうか

 これでわかります。
 子どもたちに対して「わかりましたか?」を使う先生はダメです。
 教育の世界では、このような言葉を「確認」と言います。
 教師は「確認」しなければいけません。
 子どもたちが理解したどうかの確認です。
 この「確認」をするのは、言うまでもなく教師の仕事です。
 しかもかなり重大な仕事です。
 子どもたちが理解したかどうかを見るわけですから、それでお給料をもらっていると考えてもよいくらい大事な仕事です。

 その「確認」を「わかりましたか?」という安易な言葉で、子どもたち自身に応えさせていいと思いますか?

 おそらく多くの子どもたちは、わかっていなくても「わかりましたあー」と応えることでしょう。
 それはもう、お決まりの応え方になっているのです。
 大人は(教師であればなお)、それが本当にわかったことなのかどうかを疑わなくてはなりません。
 本当にわかったかどうかを確かめるためには別な手立てを取る必要があります。

「では、この問題をノートにやってごらん!」と言って、一人一人にノートを持って来させるとかですね。
 そういうのを「確認」と言うのです。
 ちなみに私が「わかりましたか?」を使っていたのは初任の一年目だけです。
 その後は退職まで一度も使ったことがありません。
 でも、多くの先生方は使ってしまっているでしょうね。
 大学では教えられていませんから。

3.一生を左右する

 そのことを知った上で、
 ご自分のお子さんのことを考えてみてください。

 現状、多くの先生方は、子どもが本当にわかったかどうかを把握しないまま次に進んでしまいます。

 もし、その子が、先生が言ったことを行動に移すのが苦手なお子さんだったらどうなるか。
 小学校の6年間、中学校の3年間、その後の学校生活で、つらい思いをする可能性が高くなります。
 ですから「その子の一生にとって重大なこと」と考えるわけです。

 では、なぜ、「先生が言ったことを行動に移すのが苦手な子」がいるのでしょうか。その理由が二つ目の共通点「体験が乏しい」にあると考えられます。

 向山先生は次のように書かれています。

 テレビの見過ぎも多い。当然ながらテレビは体験ではない。「リンゴを3つとりなさい」「黄色い花と赤い花はどちらが多いですか」ということを理解するためには、たくさんの体験がつみ重ねられていなくてはならない。
 また、「いろいろな花の名前」「虫の名前」も、体験がつみ重ねられてこそ、生きてくるのである。
 テレビを見すぎていたり、大人が子供の世話をやきすぎたり、家の中だけでくらしていたような子には、この体験が少ない。(1983.7.4.調布大塚小学校1年学年通信「あのね」No.56)

4.「6歳までに1000の体験を」

  では、いつまでに、どんな体験を、どのくらいすればよいのか。

 その疑問から私たちはチームを作ってプロジェクトを始めました。
 現役子育て教師が集まって、我が子がどんな体験をしているのかを事実として集め始めたのです。
 最初にゴールを設定しました。

 「6歳までに」です。

 足し算も引き算も、ひらがな、かたかな、漢字、たくさんの集団行事など、
 本格的な集団教授が始まるのは小学校からです。
 その前までが勝負であることは、はっきりしています。


 その数はいくつか?
 1000冊以上の育児書を読みましたが、体験の数について書かれた本は一冊もありませんでした。
 私が直観で決めました。

「1000」です。

 では中身は?

 それが「我が子の事実」です。

 様々な年齢のお子さんの事実をもとに「1000」を集めました。
 その記録が、本日1000に到達しました。
 一部は動画にもしています。
 一つでも二つでも、動画があればイメージがつきます。
 残りの900以上は年齢別の表にしました。
 該当年齢のパアッーと見てチェックしてみてください。
 親であり教師である者が作ったという点にも意味があると思います。 

「6歳までに1000の体験」

参考図書:『学年集団形成の筋道と実践・学年通信あのね』

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水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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