講座458 2021年お便り特集 #4
講座76「三歳児神話」の謎を解く! についての特集です。
2.宮城真由子さん(静岡)
3.仁保雅望さん(広島)
4.丹野真希さん(群馬)
1.山田潮吏さん(青森)
ものすごく安心しました。
仕事をしているお母さんたちは、ほっとすると思います。
今の日本の現状では、金銭面で余裕がある家庭しか三歳児神話は叶えられません。後悔したくない。
この記事はそんなお母さんたちを救うと思います。
有り難い感想です。
私も「そんなお母さんたち」のためにこの記事を書きました。
社会では「三歳児神話」という言葉を使った時点で、
賛成なの?反対なの?と争いの様相になってしまいがちです。
私はそこを無視しました。
「神話」というのは「ウソかホントかを別にしたメッセージ」だからです。
「3歳くらい」まではお母さん子どものそばにいて面倒をみてあげましょう。まわりの人たちはそのために協力しましょう。
これだけです。これ以上でも、これ以下でもない。
これは、過去からの大事なメッセージです。
どうして騒ぐのかが私にはよくわかりません。
「三つ子の魂百まで」という諺(ことわざ)があります。
この場合の「三つ子」というのも同じです。
「三歳」という意味ではありません。
もちろん多胎児の「三つ子」でもありません。
「三歳くらいの小さいうちは」という意味です。
同様に、「百」も「百歳」という意味ではありません。
「年をとったあと」という意味です。
ちなみに、この諺の作者は紫式部だと言われているのを知ってましたか?
筆取る道と碁(ご)打つこととぞ、あやしう『魂』のほど見ゆるを、深き労なく見ゆるおれ者も、さるべきにて、書き打つたぐひも出来れど。(引用:第四章 光る源氏の物語 光る源氏世界の黎明)
「書を書いたり、囲碁を打つ事は、練習を積み重ねたように見えない人でも、持って生まれた才能で上手にこなすことができる。」という意味です。
この「生まれ持ったものが、その後の人生に大きく影響する」という意味が「三つ子の魂百まで」の諺の元になっていると言われています。
外国語や絶対音感などに臨界期があるのと一緒ですね。
2.宮城真由子さん(静岡)
なるほどと思いました。私自身11ヶ月の時から保育園に預けられていました。小学生の頃は、寂しいと思ったこともありましたが、高校生の頃には母のように働きたいと思っていました。愛着形成がされていたからかなと思いました!
そうなんですよね。3歳くらいまではそばにいてあげたいと思っていても、どうしても働きに出なきゃいけない場合は少なくありません。
これが現実です。
この現実に寄り添うために、次の考え方を提示しました。
愛着形成ができていれば、お母さんが働いても大丈夫!
それを示したのが次の図です。
お母さんとの愛着形成は、うまくいけば12カ月でたどり着きます。
子どもは次のような状態になります。
お母さんが見えなくても「お母さんはいる」と認識できる時期
これが「形成」できた印です。
形成のあとは「確認」ですね。
子どもはお母さんとの愛情を確かめようとします。
お母さんはそれに応えてあげれば愛着が強化されるという仕組みです。
ただし、1歳になっても愛着形成にたどり着けないケースだってあります。
ボウルビィの愛着理論では2~3歳まで続くと言われています。
その場合は、お母さんが働きに出るかどうかは迷いますよね。
子ども状況、職場や預け先の環境など、できるだけ多くの情報を集めて判断されるのがよいと思います。
3.仁保雅望さん(広島)
愛着形成が何より大切なのかな?と思います。
愛着形成は自己肯定感の源になります。自分を認め信じてくれる人がいるからがんばれます。道を踏み外しそうになっても軌道修正し戻ってこれるのではないでしょうか。例えば、スマホを見ながら授乳をしないなど、できることはたくさんあります。いろんなことの積み重ねだと考えています
具体的ですね。
「スマホを見ながら授乳しない」と「スマホ見ながら授乳する」では、「ながら授乳」をしない方がいいに決まってますよね。
赤ちゃんを見ながら授乳をした方が愛着形成時間がプラスされますから、それだけ早く愛情満タンに近づくという理屈です。
ですから、ゴールの設定が大切になります。
「1年間で愛着形成を終わらせて職場復帰するぞ!」とか、
「1年間で愛着形成を終わらせて次の発達段階に早く行くぞ!」とか、
そういうお母さんは「ながら授乳」を避けるでしょうね。
授乳の時だけではなく、他にも工夫できることはたくさんありそうです。
そのためにも発達の仕組みを知っておくことが重要ですね。
4.丹野真希さん(群馬)
「離れていても大丈夫」という安心感を子どもに与えられるように、育休中の今たっぷり子どもに愛情を注ぎたいです。また、スウェーデンのように教育のプロに任せるという考え方が日本にも浸透すると良いなと思いました。そのためには、幼児教育を含め日本の教育の質の向上が必須ですね。いつも学びある記事をありがとうございます。
スウェーデンの育児システムは憧れますね。
まず「0歳児保育がない(1歳半までは家庭)」というのが理にかなっています。そして、「1歳半からは教育のプロ」「保育ではなく教育」というのがまたスゴイですよね。
ネットで調べた情報ですが、「幼児教育のプロ1名+保育士2名」という3人1チームで対応しているそうです。
また、「子どもは保護者だけのものではなく社会のものとして育てる」という子ども観が根付いているというのも素晴らしいですね。日本が失ったものですね。
この辺のことは、今後も勉強して講座にまとめようと思います。
5.まとめ
愛着形成の仕組みについてもう一度まとめておきましょう。
「一心同体期」は、赤ちゃんはお母さんと一体だと思っている時期です。
まだ「自分」を認識できません。
「愛着形成・前期」は、「不安や不快」を、お・母・さ・ん・が「安心や安全」に変えてくれる!と認識する時期です。絆が作くられ始めます。
「愛着形成・後期」は、お母さんが安全基地になる時期です。
見えなくてもお母さんはいる!
↓
確かめる!
↓
やっぱりいる!
↓
だんだん自信がつく!
↓
でも時々確かめる!
そういう時期ですね。
そして、「愛着形成・完了期」は「心の中にお母さんがいるから大丈夫」という気持ちが安定して、自立へ向かう時期ですね。
「子育て四訓」で言いますと「肌を離せ」の時期です。
ここから先はどんどん「離すこと」が多くなります。
日本ではまだまだ「一年間だけの育休」がたくさんあります。
たとえば、看護師さんは「一年間」です。
私の妻は病院に隣接された看護師のための保育所に勤めています。
お母さんと離れることはかわいそうなのですが、妻が代わりに愛着の対象となってあげています。
先日、音声SNSの「clubhouse」で児童養護施設出身の方々のルームで話を聞きました。生まれてすぐに施設に預けられた人たちの声です。苦労はあるものの、みんな立派な大人になっていました。
現実には様々な親子がいます。
「子育て四訓」は理想に過ぎません。
しかし、「四訓」は過去からのメッセージでもあります。
先人の知恵です。
この知恵を捨ててはいけないと思います。
むしろ、社会はこの理想を大きく掲げるべきだと思います。
そして、すべての子が理想に近づけるような仕組みを立てるべきだと思います。
そのためには一人でも多くの人が「子育ての仕方」を理解することだと信じて活動しています。
皆様からの感想やご支援をお待ちしてます!