講座64 幼児教育の4パターン「みるみる教育」
長男(年長)と次男(1歳)を育てているお母さん(Kさん)からの報告です。
Kさんは次男とお風呂に入っていました。
お風呂から上がると、こんなものが届いていました。
「イつもママあそんでくれてありがとう」
「いつモママのごはんオイしいよ」
長男から届いた、突然の手紙。
「覚えたて」の字で書いた、感謝の手紙。
お母さんがお風呂に入っている間に、
いっしょうけんめい書いたんでしょうね。
こんな手紙を突然もらったら、感動ですよね!
でも、よく見てください。
この手紙には不思議な点があるのです。
「イつも」「いつモ」「オイしいよ」「ハじメより」
変な所にカタカナが混じっているのです!
今日はこの手紙の秘密についてお伝えします。
2.カタカナ混じりの秘密・その②
3.幼児教育の4パターン
4.本能的に察する
5.まとめ
1.カタカナ混じりの秘密・その①
実は最近、カタカナの練習をやり始めたところだったのです。
それで、覚えているカタカナを使ってみたというわけです。
ここでみなさんに質問です!
我が子からこんな手紙をもらったとして、次のうち、どの反応をしますか。
A「ありがとう!お母さんうれしいわ!」と言うだけ。
B「ありがとう!お母さんうれしいわ!」と言う+間違った使い方を指摘する
C「ありがとう!お母さんうれしいわ!」と言う+カタカナを使ったことをほめる
もう決まってますよね。
これは「C」ですよね。
なぜ「C」なのか理由も言えますか?
人間は獲得した能力を試してみたくなる
これですね。
自転車に乗れるようになったら、自転車を乗り回す。
ハイハイができるようになったら、ハイハイをしまくる。
たし算ができるようになったら、「問題出して!」と言う。(ここで出来ないような問題を出すのはタブーですよ!)
そういうことです。
満足するようにその能力を使わせてあげる
使っている場面をとらえてほめてあげる
自分から使うなんて「すごい!」と言ってほめてあげる
こういうことが大切なんですね。
だから、間違いを指摘するのはいけません。
カタカナが混じっていることをほめてあげるのが大切なんです。
2.カタカナ混じりの秘密・その②
秘密はまだあります。
疑問に思ったことは他にありませんでしたか?
ヒントを出します。
この子は「年長」でした。まだ小学生ではありません。
そうです。
カタカナは小学校で習うものなのに、もう使っている!
ここが少し疑問ですよね。
ではまた、みなさんに問題です!
このお母さんは、次のどちらのタイプでしょう。
A 学校に上がる前にカタカナを身につけさせたいと考えた
B 身につけさせたいとは考えていなかった
AとBでは大きく違います。
このお母さんは「B」です。
そんなことは考えていなかったんです。
3.幼児教育の4パターン
幼児期の教育には次の4パターンがあります。
△(1)母:教えたい! 子:やりたい!
×(2)母:教えたい! 子:やりたくない!
○(3)母:その気はなかった 子:やりたい!
×(4)母:その気なし 子:やる気なし
(2)は最悪ですね。
子どもは「やりたくない!」のに、親が無理やり教えるパターンです。
学校に行く前から勉強が嫌いになっちゃいますね。
(4)はどうでしょう。
親に「その気」がなくて、子どもにも「やる気」がない。
これはある意味「当たり前」ですが、幼児期という機会を考えると×です。
なぜなら、幼児期の教育が「人生のその後を決定づける」ことは科学的に明らかになっているからです。この期間に積極的な教育を「受けた子」と「受けなかった子」とでは、人生における幸福度に、はっきりとした格差が生まれます。
・機会を与えてみる
・環境をつくってみる
・体験させてみる
・様子をみる
といった「みるみる教育」は想像以上に重要です。
こうした「みる」がないと、
×(4)母:その気なし 子:やる気なし
で幼児期が終わってしまいかねません。
そういう理由から(4)は×なのです。
では、(3)はどうでしょう。
最初、お母さんには「その気はなかった」のです。
でも、子どもが「やりたい!」となったのでやらせてみた。
機会を与えてあげたんですね。「みるみる教育」です。
子どもが興味を持ったならば、その環境を整えてあげる。
これは最高のパターンです。
なぜなら、子どもが「自分から」興味を持ったからです。
自分から興味を持ち、やれる環境を作ってもらい、やることが叶う。
自主性・主体性を伸ばす最強パターンですね!
「風呂上り」に手紙をもらったお母さんは、我が子がカタカナに興味を持ったようなのでカタカナの練習帳(ドリル)を買ってあげました。
そうしたら自分からやり出したのです。
カタカナを使ってみたくなったのです。
感謝の気持ちとともに、手紙を書いたのです。
これは偶然と言えば偶然ですが、子どもの成長の後ろには、こうした仕組みが隠されているものです。
・カタカナ表を部屋に貼ってあげる
・お風呂にカタカナ表を百均で買う
・カタカナが書かれた積み木を選ぶ
・興味を持ったタイミングで片仮名ドリルを買ってあげる
こうした「環境」を作ってあげるかどうかがその子の将来に影響します。
4.本能的に察する
(1)の解説をまだしていませんでした。
△(1)母:教えたい! 子:やりたい!
これは理想的なように見えますが注意が必要です。
(3)が最高最強だったのは子どもの自主性・主体性が育つからでした。
ですから(1)の場合も、子どもから「やりたい!」が出たのなら最高です。
しかし、そうじゃない場合もありますよね。
親の方から「教えたい!」を出す場合です。
この気持ちが強過ぎると、子どもは仕方なく従う場合があります。
子どもにとって親は自分が生きるために不可欠な存在です。
動物的・本能的に自分を守ります。
親が口にしなくても、心の中で思っただけで影響します。
ましてや、
「これやってみない?」
などと口にした場合には、自分の気持ちとは無関係に従う場合が少なくないのです。
これは意識の問題ではありません。
動物的・本能的にそうなるのです。
極端な例になりますが、たとえ親から虐待を受けても、子どもは「親を心配させまい」としたり、「お母さんが好き」と言ったりします。
親子の絆というのは意識や行動や理屈を超越しています。親がストレスを抱えていると、子どもは無意識のうちにそれを察する。そういうものなのです。
ですから、どっちが先に「やりたい!」と言ったのか、思ったのかは重要な問題なのです。
順位をつけるとしたらこんな感じです。
【第1位】親が思ってもいなかったのに「やりたい!」と言った場合
【第2位】(該当なし)
【第3位】(該当なし)
【第4位】親が思っていただけなのに「やりたい!」と言った場合
【第5位】親が口にしたら「やりたい!」と言った場合
(3)が「最高最強」だというのがここからもわかりますね。
そして、気をつけなければいけないのは、親が思っていたり、口にしたりした場合の「やりたい!」は100%本当の「やりたい!」ではない場合があるという点です。そこを頭の隅に置いて、「やらせてみる」というのが私の考える「みるみる教育」です。
ですから、もしやらせてみて何か違和感を感じたら、「無理をさせない」という選択肢も用意しておいた方がいいでしょう。
それで(1)は△印だったわけです。
△(1)母:教えたい! 子:やりたい!
×(2)母:教えたい! 子:やりたくない!
○(3)母:その気はなかった 子:やりたい!
×(4)母:その気なし 子:やる気なし
5.まとめ
だからと言って(1)が悪い方法だというわけではありません。
親として子どもに「教えたい!」と思うことはありますよね。
あって当然だと思います。
ですから、そういう時は、その感情をなるべく抑えて、子どもに気づかれないように、さも子どもの方から「やりたい!」と言い出したかのように工夫すればいいのです。
子どもは誰でも「可能性」という芽を持っています。
子どもの「やりたい!」が芽を出すような環境を作ればいいのです。
(水をあげたり、温度をあげたり、肥料をあげたり…)
そして、そんな工夫をしなかったのに自分から「やりたい!」が出て来た時には、それこそ大切に育ててあげましょう!
そうすれば、我が子から「感謝の手紙」が届くかもしれませんよ!