講座379 家庭における「黄金の三日間」

教師の世界には「黄金の三日間」という言葉があります。

新年度の始業式からの三日間を言います。

この三日間だけは、子どもたちは天使の如く素直であり、教師の言うことを何でも受け入れようとする。(向山洋一『教室ツーウェイ』1999年4月号』)

大切なのは「天使の如く素直」という部分です。

かなりのやんちゃ坊主でも、この三日間だけは素直になります。

新しい気持ちで頑張ろうと思っているからです。

クラス全員がキラキラした目で「教師の言うこと(一言一句)」に集中します。

ですから、先生にとってはド緊張する場面です。

「なんだか怪しいなあ」

「今度もハズレか」

そんな風に思わせたくないですよね。

多くの教師は子どもたちの期待に応えようと必死で臨みます。

それが「黄金の三日間」です。

では、家庭にも「黄金の三日間」はあるのでしょうか?

私はあると思っています。

 目 次
1.自分で決めさせる
2.「大切に育てる」とはどういうことか
3.親にとっての「黄金の三日間」

1.自分で決めさせる

4月。新年度の子どもたちは「新しい気持ちでがんばろう」と思っています。

でも、長くは続きません。

せいぜい三日くらいです。

この三日間において、家庭では何を頑張らせればよいのでしょうか?

もう決めている方もいらっしゃるかも知れませんね。

「帰って来たら先に宿題を済ませる」とか、

「ゲームは1時間以内にする」とか、

そんな「ルール」が多いのではないでしょうか?

でも、こういうのって長くは続かないような気がします。

続いたとしたら、それはそれで素晴らしいことです。

続けさせたい保護者の方もいらっしゃると思うので書いておきます。

お子さんが続けられたとしたら、それは「ルールを守った」ということが素晴らしいのではありません。

「続けた」ということが素晴らしいのです。

「継続する力が身に付いた」ということなのです。

ですから、その点をほめてあげてください。

何を続けるかは何でもいいのです。

別に「宿題」や「ルール」じゃなくてもいいのです。

「お風呂のスイッチを入れること」でもいいのです。

ポイントは「自分で決めて取り組むこと」です。

その場合、保護者と相談した上でも構いません。

「自分で決めたんだ」ということを強調させてください。

そして、達成した時にはうんとほめてあげてください。

目標は100日です。

いろいろあるでしょうから、まあ、90日以上なら合格としましょう。

60日以下は「要注意」となります。

参考:『[図解版]どんな子だって「勉強できる子」になれる!』(向山洋一)

2.「大切に育てる」とはどういうことか

「黄金の三日間」において、家庭では何を頑張らせればよいのか?

私の提案はちょっと違います。

私は、次の三つを大切に育てることを提案します。

(1)あいさつは自分から先にしよう
(2)返事ははいと、はっきり言おう
(3)はきものはそろえ、椅子は入れよう

森信三先生が提唱された「しつけ三原則」です。

森信三先生は「この三つができれば親は手放しで喜んでいい」とさえ言っています。

人生の骨格となるわけです。

4月。

せっかく新しい気持ちになれるわけですから、

我が子が何年生であろうと、

「黄金の三日間」でこのことに挑戦してみませんか?

やり方を説明します。

まず(1)の「あいさつは自分から先にしよう」ですが、

これは、あなたが母親だとしたら、母親から先に我が子に「おはよう」と言うのです。

すると、子どもは「おはようございます」と答えるでしょう。

その時に、ニコッとします。

これだけです。

ポイントは「親から先に」という点です。

ここがよく誤解される点なのですが、

自分から先に挨拶ができる人物を育てるためには、

大人から先に子どもへ挨拶をするのです。

え?逆じゃない?と思わないでください。

「躾(しつけ)」というのは身に付くまでに時間がかかるものなのです。

一朝一夕に身に付くものではありません。

ポイント① 長い時間を要する

そして、「自分から先に」あいさつができる人物に育てるわけですから、

その「自分から」という気持ちは自発的でなければなりません。

自然に、自然体で、出来るように育てるということです。

ポイント② 自然にできるように育てる

イメージとしては、気がついたら、いつの間にか、我が子から「おはよう」と言われていた。

そんな感じです。

では、そうしたら「自然に」できるようになるのでしょう。

ポイント③ 自然=環境

自然に身に付くのは、環境のせいです。

そういう環境に身を置いているから身に付くわけです。

どうですか?

分かって来ましたか?

その環境こそ家庭です。

つまり、親の姿です。

自分から先に挨拶ができる人物を育てるためには
大人から先に子どもへ挨拶をする

学校でも、家庭でも、職場でも、これが鉄則です。

これが「大切に育てる」です。

「躾三原則」は人間教育において大切なことなので、

それを身につけさせるためには「大切に育てる」という方法がふさわしいわけです。

3.親にとっての「黄金の三日間」

このことがわかれば(2)と(3)も同じです。

まず、大人が「はいっ」とハッキリ返事をする。

試しに今日、ご主人が帰って来て何か言ったら「はいっ!」と返事をしてみてください。

びっくりさせるくらいでいいです。

雰囲気が変わりますよ。(^^)/

あと、最後に超重要なことを書いて終わります。

「黄金の三日間」では、子どもが自ら変化することが(よく)ある。

親が何も言ってないのに、子どもが自分で、「何かやろう」「新しく始めよう」と決めている場合があります。

これも「黄金の三日間」によく見られることです。

もし、我が子のそういう「変化」を見つけたらどうしますか?

自分で勉強道具をそろえたとか、

自分で玄関の靴をそろえたとか、

返事がいつもと違ったとか、

そういう変化が見られるかも知れません。

それに気づいて、ほめてあげられたらいいですよね。

子どもはウレシイでしょう。やる気になります。

でも、その場でほめずに、二日目もやるかどうか観察するという手もありますよね。

二日目もやったら、「スゴイ!昨日もやってたよね!」って思い切りほめてあげられますよね。

いずれにしても「気づいてあげる」が大切です。

それが親にとっての「黄金の三日間」です。

「しつけ三原則」については『向山家の子育て21の法則』の150ページに解説してあります。

《この講座のYouTube動画》
新年度準備動画⑥小学校教育の全体像

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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1件の返信

  1. タミー より:

    自分から挨拶は難しいなと思います。
    娘、保育園登園時、玄関で出迎えてくださる先生に挨拶ができるか否か。
    2歳くらいのときは、年長さんのお兄さんお姉さんに憧れて自分からしました。
    3歳くらいになると、恥ずかしいと言ってしなくなりました。家でもしなくなったので、家での挨拶に親も力を入れました。
    4月になって進級したら挨拶をしました。黄金の3日間ですね!100日続けていきます!

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