講座342 私は毒親でしょうか?

「毒親」という言葉がありますよね。

Wikipediaでは次のように解説しています。

毒になる親の略で、毒と比喩されるような悪影響を子供に及ぼす親、子どもが厄介と感じるような親を指す俗的概念である。

30年以上も前になりますが、1989年に出版された スーザン・フォワードの『毒になる親 一生苦しむ子ども』という本から生まれた言葉だそうです。

今回はこの「毒親」について考えてみます。

 目 次
1.上沼恵美子の人生相談
2.「毒親」の根拠
3.もう一度「愛着形成」を考える
4.もう一度「毒親」を考える
5.まとめ

1.上沼恵美子の人生相談

まずは、こちらの動画をご覧ください。

上沼恵美子ちゃんねる「第4回上沼恵美子の人生相談」

出演しているのは元漫才コンビの海原千里さん(妹・上沼恵美子)、海原万里さん(姉・芦川百々子)です。

2.「毒親」の根拠

万里さんはズバリ「毒親やわ」と裁断しました。

その理由として、赤ちゃんの時から抱きしめて育てることを説いています。

私はこの動画を見て「スゴイな」と思いました。

相談者には赤ちゃん時代の事は書かれていません。

それなのに万里さんは「赤ちゃんの時に抱きしめていない」と推定したのです。

つまり、愛着形成がされてなかったのだろうという考えです。

私もこの考えにほぼ賛成です。

愛着形成は人生の土台です。

乳幼児期に愛着形成が出来ていれば、ここまでは悪くならなかっただろうと思います。

3.もう一度「愛着形成」を考える

では、「愛着形成」って何だったのかを復習します。

愛着形成とは、かまって欲しがった時にかまってあげることです。

特に大切なのは次の「3つの時」です。

①赤ちゃんが発信した時(微笑んだ時・声を出した時・泣いた時)
②赤ちゃんが待っている時(気を引こうとした時・目で追った時・耳をすまして待っている時)
③赤ちゃんが接近してきた時(後を追って来た時・お母さんを探している時・抱き付いて来た時)

これら「3つの時」にはそれぞれ名前があります。

①発信能力
②待機能力
③接近能力

赤ちゃんが自分から精一杯の「能力」を使って訴えている「時」なのです。

だから大事なのです。

応えてあげる必要があるわけです。

そして、誰かが応えてあげればそれは赤ちゃんにとっての成功体験となります。

「やったー!」という体験です。

逆に、誰も応えてくれなければ失敗体験となります。

大袈裟に言えば「逆境体験」です。

相談者は小学校低学年の時に「育てにくさ」を感じたと書いています。

愛着形成の不全が原因で何らかの発達不全があったのかも知れません。

そして、思春期になって非行が表れた。

こうした構造は世代間伝達すると言われていますから、この娘さんも親となった時に苦労する可能性があります。

愛着形成というのはそれくらい重要だということです。

愛着形成とは、かまって欲しがった時にかまってあげることです。

赤ちゃんの成功体験は「+2点」、失敗体験は「-2点」。

ほんの一瞬で「4点差」となります。

これに付け加えておくと、「先回り」はダメです。

「3つの時」は能力ですから、その能力を使わせることが大事です。

泣かせないように先回りしてオムツを替えるとか、

泣かれたら困るからお腹がすくまえに授乳しようとか、

それが必要な時もあるでしょうけど、意識的にいつもやっている人がたまにいます。

その人は泣くことを能力だと考えていないのだと思います。

そこは気をつけなければいけません。

かまって欲しがった時にかまってあげる

この言葉にはそういう意味も含まれています。

ですから一番いいのはタイミングよくかまってあげることです。

以上が「愛着形成」の解説です。

海原万里さんは、こうした愛着形成が赤ちゃん時代にされてなかったのではないかと推定されたわけです。

4.もう一度「毒親」を考える

さて、それはそうとして、このお母さんは本当に「毒親」なのでしょうか。

中一になった娘さんは家出をしたくらいですから親を厄介だと感じたのかも知れません。

少なくとも親と子の間の信頼関係はほとんどなかったのだろうと思います。

しかし、気になる点がいくつかあります。

このお母さんはいくつかの機関に相談をしたようです。

「何とかしたい」という思いはあったものと思われます。

また、「育てにくさ」は愛着不全だけで生じるものではありません。

もしかするともっと以前から発達障害を起こしていたのかも知れません。

そう考えると、このことを母親だけの問題にすることもできません。

母親は悩みを抱えていたわけですから社会的な支援の問題でもあります。

もっと言えば、「愛着形成」のことも「発達障害」のことも学校では習いません。

教えられる機会がないまま親になります。

「悪影響を及ぼす親」になろうとしてなったわけではないとも思われます。

虐待についても同じことが言えます。

児童相談所から施設に入所したわけですから、虐待を受けていた可能性もあります。

また、障害に対する療育の必要性があったのかも知れません。

いずれにしても、母親だけに原因があるとは言い切れません。

こうした問題には社会的な背景があることも忘れてはならないと思います。

5.まとめ

でも、千里・万里さんのようにズバッと言ってくれるのは痛快ですね。

世の中にはこのようにハッキリと言ってくれる人がいませんからね。

そして、こうした母親に対する大衆の空気は「毒親」を支持するのだと思います。

しかし、空気(大衆的な感情)ではなく、輿論(公的意見としての世論)として必要なのは、世の中から「毒親」をなくすことでしょう。

「毒親」と呼ばれてしまうような親を救うことです。

私は今年もその方向で活動して行こうと思います。

「産後ケアGMT」へのご支援をよろしくお願いします。

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水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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5件のフィードバック

  1. タミー より:

    子育てを必死にしている親としては,毒親と常に背中合わせです。
    産後事業、とてもありがたいです。

    • 水野 正司 より:

      大丈夫!心配しなくてもいいです。
      「幸せの子育てマップ」を頭に入れておけば何歳になっても正しく対応できます!

  2. つむちゃんのお母さん より:

    9ヶ月の息子は、最近ハイハイをして誰もいないキッチンに行きます。
    目が届かないので迎えに行くと、おへそを私の方へ向けてニコッと微笑んで待っています。
    たまに「またかぁ」と思うこともありますが、今回の投稿を見て何度も迎えに行ってあげようと思いました。ありがとうございます。

    • 水野 正司 より:

      ものすごくわかります! たまに、見るんですよね。
      遠くからでもいいから目を合わせてあげるようにしています!

  1. 2023年2月4日

    […] 講座342 私は毒親でしょうか? […]

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