E 発達障害への理解

講座281 発達障害:告知する?しない?

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先日、ある支援施設でお話させていただきました。

テーマは「発達障害の告知」です。

発達障害をもったお子さんに「あなたは発達障害なんだよ」ということを伝えるべきか否か?

とても難しいテーマです。

1時間ほどこのテーマについてお話しました。

今回はその時の内容をまとめて書き留めます。

 目 次
1.「診断」は誰がするか?
2.約8割は「母親が」告知
3.告知すべきか?すべきではないか?
4.いつするか?
5.告知が可能となる条件

1.「診断」は誰がするか?

発達障害の「診断」は誰がするのでしょう?

それは医師です。

医師だけです。

ですから、病院を受診しなければ診断はできません。

診断がなければ薬も出せません。

学校の中には「発達障害」に詳しい先生がいるかも知れませんが、教師に診断はできません。

また、地域には心理士やカウンセラーなどの専門家がいると思いますが、「検査」は出来ても「診断」はできません。

また、医師であっても「発達障害の可能性があります」といった表現にとどめます。

ですから、医師以外の人が「この子は発達障害かも知れない!」と簡単に判断することは出来ません。

2.約8割は「母親が」告知

診断とは別に「告知」という言葉があります。

一般的には、「本人に告げること」を告知と言います。

「あなたは発達障害なのですよ」

「おまえはADHDなんだよ」

そういうことを告げるのが「告知」です。

この「告知」には、誰がするという決まりがありません。

では、誰が本人に告知しているのでしょう?

東京成徳大学の研究論文によると、約8割の場合「母親が」子どもに告知をしているといいます。

「発達障害者への告知に必要な支援とは?」

東北福祉大学の実態調査でも「多くは,母親が告知を行っていた」と報告されています。

「発達障害児本人への診断名告知について考える」

告知は専門家でも難しいことだと思いますが、保護者に任されているのが現状のようです。

3.告知すべきか?すべきではないか?

発達障害以外の病気や障害については、小児がん以外は「告知」するのが一般的になっています。

発達障害は「小児がん」の告知と同じくらいデリケートな問題だと思います。

なのに「保護者任せ」になっている。

それが現状だと思います。

悩まれている保護者は現在も多いはずです。

では、どうすべきか?

(1)告知すべきか?すべきではないか?

本人が成人した時のことを考えてみましょう。

成人したら親の手を離れます。

社会に出て働くわけです。

その時に職場でトラブルになって、自分が発達障害なんだと気づいたとしましょう。

その子は親をどう思うでしょうか?

「なんで教えてくれなかったんだよ!」

そうなることは十分に考えられます。

そのことを考えれば、どこかで正直に教えてあげなければならないですよね。

仮に「成人するまでに告知すべき」だとします。

では、いつ、どんなタイミングで告知すべきなのでしょうか?

4.いつするか?

発達障害情報支援センターのWEBページには「本人に伝えるタイミング」が4つ書かれています。

①まわりの同年代の子どもとのちがいに気づき始めた学童期
②学業や友人関係につまずき自尊心が低下した思春期
③進学や就職など適性に沿った進路選択に悩む青年期
④職場での対人関係や仕事が思うようにいかない成人期

この4つについては「どうとらえるか」が重要になります。

できるなら、④の「職場での人間関係」で困る前に伝えてあげるべきだという考え方があります。

これが大人になる前に知らせた方がいいという考え方につながります。

また、できるなら、③の「進路選択」の前に伝えてあげるべきだという考えもあります。

自分の進路ですから、子ども自身が自分の特性に合った進路を選ぶべきだという考えがあるからです。

そうなると、②「思春期」と①「学童期」が残ります。

学童期というのは小学生という意味です。

小学生と言っても、低・中・高とあります。

低学年や中学年では告知しても本人が理解し、受けとめられるかどうかが疑問です。

告知するにはある程度の理解力が欠かせません。

私は、理解力が備わるまでは告知すべきではないと考えます。

小学校低・中学年には告知すべきではない。

「自己肯定感」と「自尊感情」という言葉があります。

似たような言葉ですが意味が違います。

自己肯定感とは、文字通り「自分を肯定する気持ち」です。

「自分はいい子なんだ」

「自分は頑張り屋さんだ」

「自分は優しい子だ」

そういう風に肯定できる感情です。

でも自尊感情は違います。

自分の欠点をも含めて「そんな自分を受けとめられる気持ち」です。

落ち着きがなくておっちょこちょいだけど、それも自分!

そんな風に大きく受け止められる心が自尊感情です。

小学校低・中学年(10歳未満)の子に自尊感情を求めるのは早過ぎると思います。

無理です。

子どもらしくありません。

児童期のキーワードは「自信」です。

ほめられて自己肯定感を獲得する時期です。

ですからこの時期に告知するのは適切ではないと考えます。

5.告知が可能となる条件

そうなると、告知すると仮定した場合に、残るのは②です。

②学業や友人関係につまずき自尊心が低下した思春期

でも、これ、実際どうなんでしょう?

つまずいた時に告知してもいいのでしょうか?

自尊心が低下した時に告知して大丈夫なのでしょうか?

でも、成人する前には告知したい。

低中学年では無理。

だから告知は難しいのです。

それを「母親任せ」にしている現状に問題があるのです。

告知は衝撃的な出来事であり、思春期は悩みを抱えやすい年頃です。

そして、告知後も家庭の中で一緒に過ごすのは保護者です。

保護者は「子どもを安心させる存在」であるべきですから、告知する側には立たない方がよいと私は考えます。

保護者を、障害についての説明をする立場には置かず、子どもの不安や悩みを共に抱える立場に置くことを提案したいです。

告知は第三者がすべき

「第三者」というのはどのような立場にある人なのでしょうか。

それは、子どもが置かれている環境によって異なります。

医師、心理士、学校の先生、児童館の先生など、その子がそれまでにどのような人から支援を受けて来たかという「相談歴」が関係してきます。

その情報は、地域の子育て支援包括センターにあるはずです。

子育て支援包括センターは総合的な窓口になっていますので、わからない場合はまずそこで相談をすることをおすすめします。

ただし、

相談や連携をするにも知識が必要です。

保護者にも「発達障害」についての知識・理解が必要なのです。

ですから、やれることを順番にすると次のようになります。

発達障害に関する
①保護者の理解
②第三者との連携
③本人の理解(正しく冷静に受けと止められること)

大切なのは、その子の人生において知った方がプラスになるから告知をするということです。

リスクの方が大きい場合は少なくありません。

小児がんを宣告する場合を考えてみてください。

宣告すべきかどうかの分かれ目にあるのは次の点だと思います。

本人が前向きになれるかどうか

知ることによってプラスの働きがあるかどうかの見極めが必要になるはずです。

たとえ癌であろうと、前向きになることによって結果が良い方向に向かう場合もあるでしょう。

発達障害は病気とは違います。

周囲との関係が重要になります。

知ることによって関係が改善されるかどうかが告知を見極めるためのひとつの重要なポイントになります。

そのためには次のことが不可欠です。

本人が発達障害をもった自分を受け入れられること(発達障害も含めて自尊感情をもつこと)

そのための前提条件が、

①保護者の理解
②第三者との連携

だと考えます。


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