0~1歳半(乳児期)

講座232 言葉を獲得するということ

投稿日:

赤ちゃんがどうやって言葉を獲得するか知っていますか?

だいたいは自然に言葉を話すようになりますよね。

でも、詳しく観察すると、自然に話すのではなく「獲得」しているのです。

今回はそのことを簡単に説明します。

 目 次
1.セガンの三段階レッスン
2.人間が「人間」になる
3.言葉を獲得する瞬間
4.自分を認識する

1.セガンの三段階レッスン

言葉を獲得する仕組みが分かれば、赤ちゃんに言葉を教えることができますよね。

反対に、獲得する仕組みが分からなければ、自然に覚えるまで待つしかありません。

現在、その仕組みはほぼ分かっています。

だから、「教える(獲得させる)」ことができます。

その「言葉を獲得させる方法」のひとつが「セガンの三段階レッスン」というものです。

「セガン」とは、フランスのお医者さんで、エドワード・セガンという男性です。

幼児教育で有名なマリア・モンテッソーリに影響を与えた人でもあります。

レッスンは次の三段階からなります。

実物を見せて「これは~です(だね、だよ)。」の構文で声をかけるのが第一段階です。

これを「記銘」と言います。

私は娘をおんぶしてスーパーへ買い物に行くと、必ずこれをやっていました。

背中を傾けて、ジョイントアテンションでリンゴを見せて、

「リンゴだね~」とやっていました。

野菜売り場、果物売り場、魚売り場など、あっちこっちでこれをやります。

スーパーは実物の宝庫ですからね。

指さしができるようになったらこの構文です。

これを「保持」と言います。

第三段階はリンゴを見せながら「これなあに?」と質問します。

これは言葉を覚えた後の段階ですから1歳を過ぎてますね。

以上が「セガンの三段階」のレッスン方法です。

ちなみにこのあとは次のように発展していきます。

おもちゃを使った再生
写真を使った再生
絵カードを使った再生

2.人間が「人間」になる

さて、今回のメインはスッテプ1の「記銘」です。

「リンゴだよ~」の段階です。

私はここが最も重要だと思っています。

どのくらい重要かというと、

赤ちゃんが人間に生まれ変わるくらい重要!

だと思っています。

「イヤ、イヤ!もう生まれてるでしょ!」と思われるかも知れませんが、

言葉を知らなければ他の動物と同じです。人間とは言えません。

人間と動物の最も大きな違いは「言語を獲得した」という点です。

ですから、まだ言語を獲得していない段階の赤ちゃんは完全状態ではありません。

言語の獲得は、そういう意味で「新しく生まれ変わるくらいの出来事」なのです。

3.言葉を獲得する瞬間

では、まだ言葉を知らない赤ちゃんはどうやって言葉を獲得するのでしょう。

セガンの第一段階をやればすぐに獲得できるのでしょうか?

リンゴを見せて、「これは、リンゴだよ。」と言えば獲得できるのか?

そんな簡単な話ではありません。

リンゴを見せられた赤ちゃんはリンゴという物体が目に入って来るでしょう。

でも、その赤い物体が、お母さんが発した音と結びついているなんて思いません。

「お母さんが何か声を出してるなあ~」くらいは気づくでしょうけど、

それが目の前にある赤い物体の名前だと気づくことは簡単ではありません。

そもそも「赤い」という色の概念もありませんからね。

「何か言ってるな」「声を出してるな」くらいにしか思わないはずです。

でも、いつもスーパーの果物売り場でそれをやっていると、

ある時、

突然、

気づくのです!

「あっ!お母さんが出してるこの音は、今、目の前にある物体のことなんだ!」

「り・ん・ご」

この瞬間に「物には名前がある」ということを発見(認識)します。

それが言語の獲得です。

似たような話をどこかで聞いたことがありませんか?

ヘレン・ケラーとサリヴァン先生の物語です。

ヘレン・ケラーは生後19ヶ月の時に原因不明の高熱と下痢が続き、視力と聴力を失いました。

目が見えない。音も聴こえない。真っ暗闇な上に、しんと静まり返った世界です。

19ヶ月になるまでに発した言葉は「ウォー・ウォー」だけでした。

多分、「Water(水)」のことを言っていたのだろうと言われています。

奇跡が起きたのは、サリヴァン先生が家庭教師を始めて33日目のことでした。

冷たい水がヘレンの手を流れた瞬間に、サリヴァン先生はもう一方の手に、waterと素早く、そして何度も書きました。

この瞬間こそ、ヘレンが赤ちゃんの時に発した「ウォー・ウォー」という音が、頭の中でよみがえり、「物には名前がある」ということを認識した瞬間なのです。

このように、「物には名前がある」ということを認識するのは簡単なことではありません。

「物」と「音」がつながらなければ言葉は獲得出来ないのです。

4.自分を認識する

そして、ここからが重要なんです。

この「物には名前がある」という発見(認識)は赤ちゃんの世界を激変させます。

赤ちゃんはお母さんの羊水の中で、お母さんとつながってフワフワ浮いていました。

お母さんと一体になっていたのです。

まだ「自分」という認識がありません。

出産された瞬間に別世界に出て来ましたが、きっとそれでも「自分」は認識できていないでしょう。

そんなことよりも、まぶしくて、乾燥していて、ぬくもりのない外界に出て、不安や恐怖に襲われていることが多いはずです。

だから「抱っこ」が必要なのです。

「抱っこ」は一体感に戻れますからね。

では、赤ちゃんは一体いつ、お母さんと自分は別なんだと認識できるのでしょうか?

それは1歳半くらいだと言われています。

様々な文献に出ていますから調べてみてください。

それはさておき、これは何かの時期と似ていませんか?

そうです。言葉の獲得です。

赤ちゃんは「物には名前がある」という認識ができようになった瞬間に「現実世界」を認識するのです。

それまではボヤ~としていた世界が急にくっきりと見えるようになる感じです(視力とは別です)。

この時はじめて、現実世界の中に自分を置くことができるようになるわけです。

これが多分、「自分の認識」なのだと思います。

言葉の獲得は新しく生まれ変わるくらいの出来事

この出来事をきっかけとして赤ちゃんはどんどん世界を認識していきます。

いろいろな物の名前を覚え、自分を軸にして、この世界を認識していきます。

私がスーパーへ行くたびに「リンゴだね~」などとやっていた時は、ただ何となくでした。

知っていて意図的にやっていたわけではありません。偶然です。

もしかしたら「子どもを育てる」という本能がそうさせたのかも知れませんし、

自分が赤ちゃんの時に、母親からそうされていた記憶(無意識の記憶)があったのかも知れません。

あるいは、どこかのお母さんがスーパーでそうやっている姿を見て学習していた可能性もあります。

本能なのか?記憶なのか?学習なのか?

そこは分かりませんが、やっていてよかったなと思います。

まさか自分がやっていた「リンゴだね~」にそんな重要な意味があったなんて驚きです。

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-0~1歳半(乳児期)

執筆者:


  1. まき より:

    1歳5か月の息子は、「みかん食べる人?」と言うと、「あい!」と言って手をあげるようになりました。
    みかんを持って「みかん」と言っての繰り返しで、言語を獲得したのだと思います。さらに姉が手をあげてみかんをもらっている様子を見て、同じように真似すれば自分ももらえるのだということも学習しています。
    夜中はまだ母がいないと泣くのですが、まだ母と一体だと思っている時期なのですね。
    なんだか愛おしく思えます。
    素敵な記事をありがとうございます。

    • 水野 正司 より:

      そうなんです!
      そう考えると愛おしくなりますよね。
      伝わってうれしいです!

  2. さつきママ より:

    母親と自分が別と認識するのが一歳半と意外と遅いのが驚きました!
    でも、ちょうどそのあとあたりから「ママ」と指差ししたり、呼べるようになったりしてきました。別だとわかったからこそなのかな?と感じました

    今はまさに、言葉のまねっこがうまくなり表出が始まっています。

    面白いです!!

  3. つむちゃんのお母さん より:

    最近生意気なことばかり言うようになった娘ですが、まだ言葉をしゃべり出した時のことを思い出してホッコリしました(笑)
    3歳なのですが、いっちょまえに大人みたいに会話がなりたちます。脳みそが柔らかいのか、難しい言葉などもどんどん覚えます。この前「かくにんしてくるね!」と言った時にはびっくりしました。
    もうすぐ第2子が産まれるので、たくさん声がけをしてあげたいと思いました。

  4. タミー より:

    来日して間もない小学生に、日本語を教えています。
    彼らは、母国語の基礎があります。
    しかし日本語を教えるステップにおいても通ずるところがあります。
    絵や物、言葉とセットですね。
    意識して明日も教えていきます。

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