講座228 オンライン授業は「授業」なの?

オンライン授業が広がって来ました。

在宅でも子どもたちは楽しく授業を受けているようです。

いつもは机に向かわない子でも「楽しい!」と言って勉強しているという声も聞きます。

でもこれ、名前は「オンライン授業」でも「授業」じゃないって知ってました?

 目 次
1.オンライン授業に関する通知
2.オンラインを活用した特例の授業
3.授業だけど授業じゃない

1.オンライン授業に関する通知

オンライン授業に関して文科省は次の通知を出しています。

「感染症や災害の発生等の非常時にやむを得ず学校に登校できない児童生徒の学習指導について(通知)」令和3年2月19日

長い名前ですね。

「オンライン学習について(通知)」って書けばいいようなものですが、

そうはいかない理由があるんです。

感染症や災害の発生等の非常時にやむを得ず学校に登校できない児童生徒

だけが対象だからです。

つまり、不登校などを対象から外すためです。

不登校児童生徒にはまた別の通知があるのです。

「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日

今回は不登校については解説しませんが、「別である」ということだけ覚えておいてください。

もうひとつ理由があります。

自宅にパソコンやタブレットや回線がない場合もあるからです。

この通知は「オンラインありき」ではないのです。

ですから、オンラインを使わなくても、

自分で机に向かうだけで「授業を受けた」と認められることになっています。

しかも、登校した時に同じところを勉強しなくてもいいことになります。

ただし、次の要件を満たせばです。

【1】教科等の指導計画に照らして適切に位置付くものであること
【2】教師が児童生徒の学習状況及び成果を適切に把握することが可能であること
【3】1と2を満たして再度指導する必要がないものと校長が判断したとき

この条件をクリアするのは大変かも知れませんが、

家にパソコンやタブレットがなくてもできる方法はあるということです。

そして、この中に「オンラインの活用」が入っているというわけです。

2.オンラインを活用した特例の授業

世間では簡単に「オンライン授業」という言葉が使われていますが、

正しく言うと、【1】【2】【3】を満たしていなければ「(学校の)授業」とは認められません。

さらに、「オンラインなら何でもOK」というわけではありません。

この通知で認められている「オンライン授業」は次の2種類だけです。

【A】同時双方向型のオンラインを活用した学習指導
【B】課題の配信・提出、教師による質疑応答及び児童生徒同士の意見交換をオンラインを活用して実施する学習指導(オンデマンド動画を併用して行う学習指導等を含む)

要するに、画面を通して先生とやり取りできるタイプということです。

これには名前が付いていて「オンラインを活用した特例の授業」と言います。

3.授業だけど授業じゃない

ところで、非常時に学校へ行かなかった場合には「欠席」になりませんよね。

臨時休業とか出席停止などは「欠席日数」として記録しないことになっています。

では、在宅してオンライン授業を受けた場合はどうなるでしょう?

もちろんここでいう「オンライン授業」とは、【1】【2】【3】の要件を満たし、【A】【B】に該当する「オンラインを活用した特例の授業」ということです。

子どもは「授業を受けた」と認められます。

登校した時に同じところを勉強しなくてもいいことになっています。

授業は成立しているように思えますよね。

でも、「授業時数」としては記録されないんです。

「その学習時間を授業時数に含めて扱うものではありません」(文科省Q&A問6

「授業時数」として記録されないということは「出席日数」にもならないということです。

6時間びっしりオンラインの授業を受けても、現状では「出席扱い」になりません。

もし出席扱いにしているという学校があったら教えて欲しいです。

指導要録の中の「出欠の記録」の備考欄に「オンラインを活用した特例の授業」として記載されるだけです。こんな風に。

さらに、別の欄にオンライン授業が「実施された日数」と本人が「参加した日数」を記載することになっています。

学校の先生にとってはちょっとした手間ですね。

オンラインで授業までやったものの、その授業が「授業だけど授業じゃない」というのが現状です。

それでも学校に来られない状況を何とかするために先生方は挑戦し工夫しています。

「子どもたちのために」こうやって努力しているわけです。

不登校に関する通知もそうですが、

オンライン授業の在り方はまだまだ未成熟です。

しかし、コロナ禍を機に一気に加速しています。

自治体によっては未だに「持ち帰り」さえ認めていない所もあるようですが、

時代は確実に変わって来ています。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

おすすめ

2件のフィードバック

  1. つむちゃんのお母さん より:

    勉強になりました。
    授業時数にならないことは驚きです。
    私が働いている自治体は持ち帰り不可です。まだまだ地域で差があるのですね。
    子供たちがどんな状況下でも孤立しないことが大切にされなければならないと感じています。

水野 正司 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です