講座211 どんな子どもが「幸せ」になるか①

あなたが「幸せ」を感じるのはどんな時ですか?

①~⑥は「幸せ」を感じませんよね。

まあ、最近なら「生活保護こそ幸せだ」と考える人たちも出ていますけど、

やっぱり「働ける」って幸せだと思いますよ、私は。

普通に考えれば⑦~⑫の方が「幸せ」ですよね。

まあ、今のは自分を基準にした話ですが、

これが「我が子の幸せ」だったらどう思いますか?

将来、①~⑥のようになって欲しいですか?

それとも、⑦~⑫のようになって欲しいですか?

今回は「どんな子どもが幸せになるか」という話題です。

 目 次
1.追跡調査
2.40歳時点での差
3.50歳時点での差
4.世の中に対する影響

1.追跡調査

「ペリー就学前プロジェクト」って聞いたことがありますか?

1962年にアメリカで行われた追跡調査です。

貧困層の3~5歳児を2つのグループに分けました。

一つは「いつも通りの2年間」で幼児期を過ごしました。

もう一つには次の三つのことを特別に実施しました(希望者に)。

①年中・年長の2年間を幼稚園に通わせた(週5日午前中の2時間)
②週に1回家庭訪問をした
③子ども25人に対して先生4人の体制(合計123人の幼児たち)

家庭訪問では親に対して「育て方の指導」をしています。

そういう①~③の支援を2年間実施して追跡調査したわけです。

そこで問題です。

この追跡調査は何年間実施したと思いますか?

  ①10年間  ②30年間  ③50年間

1962年の時点で3歳~5歳です。

10年追跡したら14歳くらい。

30年追跡したら34歳くらい。

50年追跡したら54歳くらい。

これがですね。

40歳時点での追跡調査結果が出ているのです。

【アメリカ】 ペリー幼児教育計画-50歳時の追跡調査への準備(チャイルド・リサーチ・ネット(CRN))
 若林 巴子(米国ハイスコープ教育財団 幼児教育評価研究センター長)

若林先生には私もお会いしたことがあります。

この調査の3~5歳児にどのような教育をしたのかというお話を伺いました。

それはさておき、この記事では「40歳時点での結果」を発表しています。

ということは、10年以上、30年以上はもう過ぎちゃっていますから答えになりません。

③の50年間だとしたら、1962年+50=2012年ですよね。

実は、この記事が出たのは2014年です。

2014年の時点で、調査はまだ継続中で「50歳時の結果」も出すと書かれているのです。

ということで、正解は③の50年間でした。

ちなみに、2022年の今も調査は行われているのかちょっとだけ調べてみました。

2021年9月9日最終更新のウィキペディアによると、調査はまだ行われているようです。

当時の子どもたちは一体何歳になっているのでしょうか?

1962年で4歳としたら、2000年で42歳、2021年で63歳、今は64歳ですか。

すごいですね。

2.40歳時点での差

それで、 「40歳時点での結果」 はどうなったかと言いますと、この本に書かれています。

日本でも有名になりました。

ジュームズ・ヘックマンの『幼児教育の経済学』ですね。

2015年に出版された本です。

グラフのピンク色の所が幼児期に「三つのこと」をした子どもたちです。

給料や持ち家率は生活保護の非受給率などに大きな差が見られたということです。

ちなみに「月給20万以上」というのは私が「円」に換算しました。

幼児期の教育で月給が20万円以上違っているということです。

3.50歳時点での差

今は64歳くらいですから「50歳時点での結果」もあるはずです。

探してみたらありました。

統計的に有意なのでしょうか。

そこは知りませんが、「幸せになる確率」は明らかに違うようです。

私が調べた結果をまとめます。

右と左のような差が結果としてわかっています。

しかも、この傾向は次の世代にも連鎖するということまでわかっています。

幼児期の2年間が我が子だけではなく、孫の世代にまで影響するんですね。

4.世の中に対する影響

この本はタイトルにあるように経済学の視点で書かれています。

幼児期に2年間が世の中にどんな経済的影響を与えるかということです。

それを簡単にまとめますと、こうなります。

幼児期にお金をかけた方が、学校に上がってからお金をかけるよりコスパが良い

つまり、個人レベルでは「投資するなら幼児期がお得」ということです。

例をあげれば、

高学年になって「塾」に通うより「幼児期の子育て」をちゃんとした方がお得

という言い方もできます。

私のこれまでの経験では、

子どもにとってもその方が「幸せ」なんじゃないか。

と思います。

なぜなら、「幼児期のちゃんとした子育て」って、子どもを叱らずにほめて伸ばすのが基本だからです。

子どもにとっては嬉しいですよね。

しかも、そばにいてくれるのが親です。

これも安心じゃないですか。

逆に、高学年から力を入れる教育って、叱られる場面が多いような気がするのです。

学校でも叱られ、家でも叱られ、塾に行って消耗する。

そんなマイナスイメージがあるのは私の考え過ぎでしょうか。
(いい学習塾があることは承知してます!)

そういう違いがあるのではないかという印象が一つあるのと、

それよりも何よりも幼児期に賢くなっていれば、幼稚園や学校教育で苦労しないというメリットがあります。

昔の日本には「苦労させた方がいい」「努力が大切」という風潮がありましたが、

今はここが違ってきていると思うのです。

子どもが苦労しないというのはメリットである。

そう考えた方がストレスが減りますし、自殺や不登校やいじめなども減るのではないでしょうか。

そして、このことは社会全体にとっても効率的だということです。

次回はこの続き。

その「2年間」の秘密に迫ります。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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1件の返信

  1. 2022年7月11日

    […]  どんな子どもが「幸せ」になるか① に書きました。 […]

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