12~18歳(思春期)

講座161 「大人」ってなあに?

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「子育て」のゴールについて考えました。

簡単です。

子どもを育てることが「子育て」ですから、

子どもが「大人」になったら「子育て」は終了です。

つまり、

「子育て」とは、子どもを大人にすること

です。

ね。シンプルですよね。

そこで今回は、じゃあ、その「大人」って何なのということについて考えてみました。

参考にさせていただいたのは精神科医のkagshunさんのボイシー放送《169回》の放送です。

 目 次
1. 大人の法的定義
2.大人の社会的定義
3.精神的意味での大人(1)
4.精神的意味での大人(2)
5.大人でいる時間は短い

1. 大人の法的定義

まずは、法律上の定義です。

法律上では「成年」と言います。

では、「成年」とはどういう意味でしょう。

単独で法律行為が行えるようになる年齢のこと(Wikipedia)

それが「20歳」ということです。

民法第4条 「年齢二十歳をもって、成年とする。」

でも、これ、もうすぐ変わります。

来年2022年の4月1日から「満18歳」が成年になります。

ですから「子育て」は18歳まででしょうかね?

2.大人の社会的定義

でも、20歳になる前にいろいろな場面で子どもが大人扱いされる法律やルールもあります。

いくつか見てみましょう。

・選挙権(18歳以上)
・アダルトサイトや性風俗(18歳以上)
・自動車の免許(18歳以上)
・児童福祉法の対象外(18歳以上)
・刑法(14歳以上の者について責任能力を有するものとして規定)
・公共交通機関の運賃(13歳前後で「大人」と「小人」を線引き)

つまり、20歳になる前に様々な場面で「大人」として扱われることが、

世の中にはある、ということです。

これは子ども自身も知っておくべきことですよね。

3.精神的意味での大人(1)

でも、「子育て」のゴールって、年齢で決められるものなのでしょうか?

なんか違うような気がしますよね。

精神科医のkagshunさんは次のような考えを提示してくれました。

(1)自分で決断ができて、自分で責任がとれること

そういう人格的な面が、かなりの割合であるのではないかということです。

そうですよね。

単純に年齢で決められるわけではないし、

もちろん身体的な発達(第二次性徴)で決められるものでもないでしょう。

この定義は多くの人が納得するところだと思います。

私のブログでも、この定義に基づいた記事がかなりあります。

たとえば、

・小学校1年生になったら10のうち1つくらいは自分で決めさせるとか

・子どものうちは「失敗してもいいから!」が大切とか

このような視点は、ある年齢で突然大人になるのではなく、

大人に向けた子育てが必要ですよということだと思っています。

4.精神的意味での大人(2)

kagshunさんは、この他にもいくつかの視点を提示してくれました。

(2)社会的な常識を知っていること

(3)自分で自分のご機嫌をとれること

(4)寛容になれること・許してあげられること

(5)親になること

どれも「なるほど」ですよね。

こうしたゴールは「子育て」や「教育」の視点になりますよね。

つまり、

・大人になる前に「社会的常識」を身につけさせよう、だとか

・自分の感情を「コントロール」できるように育てていこう、だとか、

・人に対する「思いやりの心」を育てていこう、だとか

そういう子育てを心がけていこうと思いますよね。

そうしたことを「ゴール」だと考えれば、子育てがだいぶシンプルになりませんか?

私はそんな感じがしました。

で、(4)の「親になること」が私には衝撃的でした。

子どもが出来て親になったら、そりゃあもう「子ども」じゃないですよね。

言われてみれば、親は「大人」です。

でも、kagshunさんの解説を聞いて納得しました。

kagshunさんは次のように説明されたのです。

親になるってことは、自分以外の人の人生に責任を持つということ

自分の人生に責任を持つのは大人としての最低条件ですが、

親になると、自分以外、つまり「我が子の人生」にも責任を持つことになる、

というわけです。

確かにそうですよね。

「我が子」はまだ「子ども」ですからね。

まだ、自分で自分の責任を負えません。

親が我が子を「大人」に育ててあげるのですよね。

私は、教育基本法・第10条を思い出しました。

第十条(家庭教育) 
父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。

5.大人でいる時間は短い

私はkagshunさんのボイシーをほぼ毎晩聴いています。

その時間が私の「夜の学び」になっています。

今回の放送もおもしろかったですねえ。

放送の最後にkagshunさんはこう言ったんです。

大人でいられる時期って短いんです。

子どもは大人になりますよね。

大人は次に「お年寄り」になります。

kagshunさんは認知症の患者さんと日々接しているので、

お年寄りが、いわゆる「子どもに帰って行く」様子を目の当たりにされています。

だから、人生の時間を感じ取れるのだと思います。

人の一生はあっという間です。

私自身、振り返ってみても「大人」であった時間って、あっという間でした。

今思うと、「大人であるうちに子どもを育てる」というサイクルなんだなと実感できます。

これは、我が子の子育てだけに限らず、

若者を育てる。

バトンタッチする。

そういう意味でも「大人」の時間は貴重だと思うのです。

これまで私は、

「子育てなんて早く卒業したい!」

というお母さん方の気持ちに寄り添うことを大切にして来ました。

もちろんこれからも大切にしたいです。

でも、「卒業」という言葉をゴールにするだけではなくて、

「時間と責任」という言葉を大切にした上で、ということを

そこにプラスして広げたいなと思いました。

kagshunさん、素敵な放送をありがとうございました。

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