講座116 超一流の人の子育て
1.「世界のカンダ」・神田啓治先生
神田啓治先生をご存知ですか?
京都大学の名誉教授で、通産省、科学技術庁、厚生省、国際原子力機構などで様々な役職に付き、その世界では「知らない人はいない」というくらい有名な方です。
でもこれは日本での肩書ですよね。
実は、神田先生は「世界のカンダ」と呼ばれるくらい国外でも有名な方なんです。
アメリカの大富豪・ロックフェラー家のロックフェラー四世とお友だちだったり、
フランスから国家功労勲章をもらっていたり、
国際的に活躍されています。
あの指揮者の小澤征爾と肩を並べるほど音楽の世界でも有名だったのですが、
「小澤征爾には勝てないと思って指揮者をやめた」というくらいです。
話を日本に戻すと、様々な大臣の相談役にもなっていて、政治にも詳しい方です。
「現職の大臣から相談が来る」ってすごくないですか!
NHKから話が来た時は、「紅白歌合戦のプロヂューサーをやらせてくれますか?それなら行きます」と答えてオッケーが出たというのですから凄いですよね(実際は行かなかったそうですけど)。
もちろん勉強の成績もよくて、高校時代は学年トップで、全国模試では上位の常連だったと言います。
でも、東大は蹴っちゃって、国際基督教大学に進学します。
そこから英会話の勉強に力を入れられています。
私はご講演を三回ほど受けました。
宴席では二回ほどご一緒させていただきました。
まったく堅苦しくなく「気さくなオジサン」という感じの、笑顔が絶えない方でした。
その神田先生の「子育て」に関する事例を3つ紹介します。
2.「勉強しなさい」は禁句
3.「~してはいけない」は禁句
4.楽しそうに教える
5.まとめ
2.「勉強しなさい」は禁句
神田先生は我が子に「勉強しなさい」を言わないことにしていると言います。
神田先生ご自身も親から「勉強しなさい」と言われたことがないそうです。
それどころか神田先生のお父さんは神田先生に勉強禁止令を出したと言います。
神田先生の著書から引用しましょう。
父親の教育方針は意外なことに、勉強するとロクな人間にならない、というものだった。父親はよく私の部屋をのぞきにきては、勉強していると怒り、学校の勉強に関係のない本を読んでいると機嫌がよかった。(『知の構築法』114ページ)
凄いお父さんですね。
「勉強するとロクな人間にならない」
名言ですね。
そして、このお父さんは「勉強なんかしないで、こういう本も読め」と言ってエッチな雑誌を机の上に積んでおくんだそうです(神田先生は意地でも見なかったそうです)。
それでお父さんに隠れて、こっそり押し入れで勉強していたと言います。
凄い話です。
神田先生ほどの人物と比較するのはおこがましいのですが、私にも同じような経験があります。
私も、父と母から一度も「勉強しなさい」と言われたことがありません。
「学校の勉強」よりも「社会に出て働くこと」に価値があると考えていたのだと思います。
家が貧しかったこともあり、私自身も中学を出たら働くつもりでいました。
エッチな本の話も似ています。
うちの父は私の机の上には積みませんでしたが、わざと目の届くところに隠してありました。
神田先生と違って私は見ちゃいましたけどね。そこが超一流との違いなんですね。
3.「~してはいけない」は禁句
子どものしつけに関して、「~してはいけない」ということを親は絶対に子どもに言ってはいけないと思っている。これを言われると、子どもの好奇心がどんどん潰されていき、知的好奇心に富んだ柔軟な頭が育ちにくくなるからだ。だからわが神田家では、「~してはいけない」は親の禁句とした。(230ページ)
ここを読んで私が思ったのは、神田先生は「好奇心」を第一にされているんだなということです。
学校を引き合いに出すのは申し訳ないのですが、
「学校の勉強」よりも「脳(知的好奇心)」の方を大事にされているのだということです。
とにかく好奇心は、子どもの能力を伸ばすうえでたいへん重要な要素だから、親も子どもの好奇心はだいじにしてやりりたいものだ。といっても、好奇心を育てるために何か特別なことをする必要はない。子どもはもともと好奇心旺盛だから、その好奇心を芽をつまないように注意するだけで、あとは放っておいても十分ではないか、と思うのだ。(232ページ)
だから、「~してはいけない」は禁句なのですね。
ただし、その神田家でも一つだけ例外があるそうです。
その時だけは、「してはいけない!」と怒るのだそうです。
それは、「告げ口」です。
他人の告げ口、それは兄弟間であっても、いけないことだと教えるのだそうです。
これは私の推測ですが、そのことで、誰からも愛される、信頼される、幅広い人脈が出来上がって行くのだと思うのです。
4.楽しそうに教える
これは学校の先生方に対する神田先生のメッセージです。
とにかく、学校の先生は、授業中は楽しそうにしていること。
それだけで、子どもたちに伝わるものがあるんです、というメッセージです。
たとえば、それが理科の先生だったら、理科を楽しそうに教えていると、
「なんか楽しそうだな」
「この先生は理科が好きなんだな」
という気持ちが伝わるというわけです。
それでちょっと勉強してみようかなという気持ちになる子もいるというわけです。
少なくとも逆よりはいいですよね。
「勉強は大変なものだ」
「努力して嫌々やるのが勉強だ」
そんな風に考えている大人のもとでは勉強が嫌いになりますよね。
そういう大人が「学校の先生」だったら最悪ですよね。
知的好奇心を枯らしてしまう毒をまき散らかしているようなものです。
関連記事として講座100「知的好奇心の燃やし方」を紹介しておきます。
5.まとめ
(1)「勉強しなさい」は禁句
これからの時代に生きる子どもたちには、ますますこれが大切です。
(2)「~してはいけない」は禁句
これ、やっちゃってる人は多いんじゃないですか?
(3)楽しそうに教える
「宿題やったのかい?」は宿題(勉強)を悪者にしてしまいます。
「宿題なんかしないでエッチな本でも読みなさい」って言えますか?
笑い話ではなく、この3つは「子育て」においてとても大切なとこだと思います。
「超一流の人の子育て」についてご紹介しました。