講座429 世代別ウェルビーイングの獲得方法(①~②)

「子育てwin3計画」には運営方針があります。

【運営方針】
1.子育てには「正解」がある!~“子によし!親によし!世の中によし!”になっていればそれは正解!~
2.人生にも「正解」はある!~それは“自分の世代でクリアすべき課題”を達成すること!~

今回はこの運営方針の「2」の一部分について解説します。

 目 次
0.全体構造図
1.乳児期の課題
2.幼児期の課題

0.全体構造図

「自分の世代でクリアすべき課題」というのはこれのことです。

これはE. H.エリクソンの『アイデンティティとライフサイクル』という本にあるライフサイクル論をもとにして私が作成したものです。

エリクソンのライフサイクル論に私の子育て論をプラスして現代に合わせて修正した感じです。

全部で9段階ありますが、本には8段階までしか出ていません。

最後の9段階目はエリクソンの死後に発見されたもので、これは『Newton 』の2021年4月号を参考に作成しました。

今回はこの中の乳児期と幼児期のポイントを簡単に解説していきます。

1.乳児期の課題

愛着形成に成功して人生の土台をつくる

「クリアすべき課題」と言っても赤ちゃんが一人で達成するのは無理です。

でも、赤ちゃんは何もできないわけではありません。

赤ちゃんには「3つの能力」があります。

(1)確認能力(定位行動)
(2)発信能力(発信行動)
(3)接近能力(接近行動)

これらの能力を駆使して赤ちゃんは成功体験を手に入れようとします。

その行動が「愛着形成」です。

これが人生の土台になります。

「土台」という言葉が示す通り(文字通り)、これに成功することによって幼児期~超高齢期までが安定します。

逆にいうと、この段階で失敗すると人生のどこかで崩れます。

たとえば、保育所に預けた時に保育生活に馴染めずに特別な支援を必要としたり、

たとえば、小学校に入学した時に授業で座っていられずに教室を飛び出してしまったり、

たとえば、思春期になって突然不登校になって引きこもってしまったり、

たとえば、大人になって残虐な事件を起こしてしまったり、

「土台が安定しない」ということはそのようなリスクを負うということです。

それが一生ついて回ります。

児童期に起きる愛着障害や思春期に起きる行為障害などは、この「土台」の不安定さが要因と言われています。

ですから、その修復には、乳児期に戻ったつもりで愛着形成からやり直さなければならない場合もあります。

「土台」というのはそういう意味です。

これが乳児期にクリアすべき一つ目の課題です。

2.幼児期の課題

幼児らしさを使い切らせる

「幼児らしさ」というのはいろいろあります。

・わがまま

・甘える

・質問して来る

・汚す

・散らかす

・言うことを聞かない

数え上げれば切りがありません。

簡単に言えば、エネルギーを発散する時期というのでしょうか。

何をしでかすか分からないとか、好奇心満載で一日中遊びまくるというか。

そういう時期です。

イラストで示すとこんな感じです。

ライフサイクル図のポイントは、これらを「使い切らせる」ということです。

使い切らせる

使い切ることによって、次のステージである児童期に進めるという意味になります。

これも逆にいうと、この時期に使い切らせないことによって児童期が不安定になる可能性があるということです。

ところが、親の立場になるなら、これが結構難しいことです。

許せないとか、

黙って見ていられないとか、

付き合い切れないといった大人の側の事情とぶつかることになります。

中でも問題なのは次のことです。

叱ってしまう

子どもは叱られると「不安ゾーン」や「退屈ゾーン」にはまってしまうかも知れません。

そうなると安心してめいっぱい遊べなくなります。

「熱中体験」が足りなくなるリスクを負います。

そこで、「叱る」のではなく「言葉にしてあげる」が大切になります。

使い切らせるポイントは「叱り方」にあります。

動物脳のスイッチを押さずに、人間脳で考えさせることが重要です。

幼児は、安心ゾーンでめいっぱい遊ぶことで自主性を獲得します。

幼児は、言葉で考えることによって自律性を獲得します。

詳しくは『叱り方大全』をご覧ください。

幼児にとって、気持ちを受け入れてもらえずに、頭ごなしに叱られるのは逆境体験です。

「怒鳴らないとわからないのだ」とか、

「苦労させなきゃダメなんだ」とか、

そうした逆境体験は人生にとって何の得もありません。

むしろ不幸につながることがアメリカの疾病対策予防センターの調査でわかっています。

虐待や体罰、理不尽な叱責は「幼児らしさを使い切らせる」とは正反対の子育て方法です。

この続きはまたいつか発信したいと思います。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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2件のフィードバック

  1. 畠山 文 より:

    人の発達には、臨界期とか不可逆的とかそういうものもあると思いますが、もし、何かうまく行かない時、大きくなっても大人になっても、土台を作り直す、幼児らしさを使い切る、ということを意識していれば、修正はできるのかな?そんな事を思いました。

    人はネオテニー化が他の生き物に比べて顕著だと、本で見た事があるので、いつでもやり直せるかなと思いました。

    • 水野 正司 より:

      「後から修正できる」という考え方はポジティブですね。
      必要なことだと思います。
      でも、できることなら順序良く育てた方が子どもにとっても親にとっても負担が少なく済むと思います。
      ネオテニーについてはよく分かりません。
      日本人は人類の中でも得にネオテニー(幼いまま大人になること)が進んでいる人種だと言われています。
      でも、昔の日本人は逆でした。
      子どもでも立派でしたし、14歳で大人でした。
      今は法律では18歳が大人ですが、中身はまだまだですよね。
      脳は24歳で成熟すると言われているので実質はそのくらいで大人なのかも知れません。
      複雑です!
      (サポートありがとうございます!)

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