講座394 「ChatGPT」のトリセツ
ChatGPTについては、講座358「子育ての仕方をAIに聞いてみた」で解説しました。
今回はそれに加えて、新しい情報が入ったのでお知らせします。
2.個人情報に注意
3.虚偽が含まれている可能性
4.まとめ
1.対話型ではありません
2023年5月1日に日本ディープラーニング協会が「生成AIの利用ガイドライン」を発表しました。
「生成AI」というのは、ユーザーがテキストを入力すると、その命令に応答してテキストや画像を生成することができる人工知能のことです。
「生成系のAI」とも呼びます。
代表的なのがChatGPTです。
テレビのニュースなどでは「対話型AI」と呼ばれていますが、あれは間違いです。
対話できるAIは未だ開発されていません。
ChatGPTは文章などを作るAIです。
ですから作文やレポートは大得意です。
でも人間とコミュニケーションできるわけではありません。
ChatGPTに「おはよう」と入力すれば、多分「おはよう」と返してくれるでしょう。
でもこれは会話ではありません。
「おはよう」と入力された時には「おはよう」という言葉を出力するのが正解なのだろうと確率的自動的に判断しているだけです。
もっと正確にいいますと、「正解なのだろう」とか、「判断」とかはしていません。
持っている大量のデータの中から「おはよう」という言葉を検索して、その言葉に返す言葉を瞬間的に出力しただけです。
ですから、対話とか会話ではありません。
それらしい言葉を生成しただけです。
これがもし、「おはよう」と入力して、「おはこんばんはなのだ!」と返して来たらスゴイですね。
でも、ChatGPTは常識的に答えるAIですから、無理なんじゃないでしょうか。
これがギャグやジョークに特化したAIなら可能でしょうけど!
2.個人情報に注意
ChatGPTの使い方は簡単です。
ChatGPTのページにアクセスしてメールアドレスと電話番号を登録するだけです。
①メールアドレス
②電話番号
つまり、個人情報です。
子どもが自分一人でやる時は注意が必要です。
また、使い始めてからも、家族や友達の名前など、何を入力するかわかりませんよね。
そういった個人情報の入力に関して、日本ディープラーニング協会のガイドラインには次のように書かれています。
AIは学習してどんどん賢くなっていきますから、データ利用が前提です。
ChatGPTは、ユーザーとの会話データを学習対象として取り込むことがある。
このことを子どもたちに知らせておく必要があります。
すでに、ヨーロッパ諸国や中国などはChatGPTに対する規制を強化していますが、日本は「積極活用」を方針としています。
私も積極的に利用すべきだと考えていますが、利用するからには仕組みを学習して、上手に使うべきです。
日本の子どもたちがAIをどう使いこなすのか。
子どもたちへの教育を世界が注目しています。
日本が追いつくチャンスです。
3.虚偽が含まれている可能性
子どもたちに教えておくべきことの中でも次の点は落とせません。
最初にも書きましたが、ChatGPTは確率でデータを出力しているだけです。
「吾輩」と入力したら、次に来る言葉は「は猫である」という確率が高いといったことを知っているのです。
でも、世界中の人が「吾輩は犬である」という言葉を多用して、AIにもそのデータが反映されたとしたら、AIは「吾輩は犬である」を第一に出力するでしょう。
そんな時に、本当の知識を持っている人だけが「AIは間違っている!」と判断することができるわけです。
この例の中における、《世界中の人が使っている言葉をもとにデータを集める仕組み》を自然言語処理と言い、それを大規模にやっているのが「大規模言語モデル」ということです。
4.まとめ
ChatGPTの特徴を簡単にまとめて終わります。
(1)ChatGPTは生成系のAIです。(意識はないので対話はできません)
(2)ChatGPTは常識的に答えるのが得意です。(偏屈ではありません)
(3)ChatGPTは会話データを学習対象として取り込むことがあります。
(4)常識が正しいとは限りません。
(5)日本の子どもたちがどう使いこなすかを世界が注目しています。
吾輩は犬であるの例、とても分かりやすいです。解説をありがとうございます。
常識が正しいとは限らない。
気が付けていないけれど、様々なことに当てはまるのだろうと思います。
「吾輩」の例示がうまくいって良かった!