講座214 知ってますか?「昭和の母子手帳」
1.問題1
今回からは連続で「日本人が知らない日本の子育て」という講座を行います。
毎回、問題を1つずつ出題する予定です。
今回は問題1です。
「昭和の母子手帳」と「現在の母子手帳」では正反対の子育てが書かれています。
どんな内容が正反対なのでしょうか?
「昭和は~で、現在は~」という形でお答えください!
2.中身が正反対?
表紙だけお見せしましょう。
こんな感じです。
昭和の母子手帳は私の妻の本物です。
現在の方は私の娘の母子手帳なのですが、年号が「平成」でした。
ま、令和の今もだいたい同じですからこれを「現在」ということで許してください。
ところで、
中身が正反対ってどういうこと?
これはですね。
子育てに関心の強い方の間では有名な話です。
知ってる方は多いと思いますよ。
「子育ての仕方」が正反対なんです。
赤ちゃんの扱い方が「昭和」と「現在」では正反対なんです。
そんなことあっていいの?
赤ちゃんにとって、どちらが正しいの?
よく考えたらこれは大問題です。
日本中のお母さんたちが、この母子手帳を信じて、子育てをしているわけですから。
3.まさに正反対!
では、そろそろ中身を見てみましょう。
現在の母子手帳ではこのように書かれています。
・見て話しましょう
・抱っこしてあげましょう
・一緒に遊びましょう
・甘えさせましょう
どれもいいことですよね。
多分、多くの自治体で大差はないと思います。
ところが昭和の母子手帳にはこんなことが書かれていました。
・別々に寝ましょう
・抱かないようにしましょう
・一人で遊ばせましょう
・甘えさせてはいけません
信じられないけど本当です。
今なら虐待になりかねませんね。
この写真に写っている男の子は私です。
私が育った頃の母子手帳はまさにこの内容でした。
どうりで「ひとりぼっち感」が漂ってますね。
4.伝統の解体
・別々に寝ましょう
・抱かないようにしましょう
・一人で遊ばせましょう
・甘えさせてはいけません
どうしてこんな内容を母子手帳に書いていたかというと理由があります。
簡単に言うと「戦争に負けたから」です。
アメリカに占領されたわけです。
GHQってわかりますか?アメリカの占領機関です。
写真に写っている人が最高司令官のマッカーサー元帥です。
悪い人じゃないんですけど、日本の古い制度を変えるためにやって来たわけです。
日本の「家族制度」って欧米とは違うじゃないですか。
目上の人を大事にしたり、
お父さんが偉かったり、
親子みんなで寝ていたり、
子ども可愛がり過ぎだったり。
「そんなんじゃ子どもが自立できない!」
「男女平等ではない!」
ということで、解体させられました。
そのために「昭和(戦後)」の母子手帳は欧米化された内容で配付されたのです。
ということで、問題1の答えはこのような対比になります。
5.『スポック博士の育児書』
この本をご存知ですか?
『スポック博士の育児書』です。
『広辞苑』か『家庭の医学』か思えるほどのぶ厚い本です。
書いたのはアメリカの小児科医ベンジャミン・スポック氏です。
1946年に刊行されました。まさに戦後ですね。
世界中で大流行して「聖書の次に売れた本」とも言われています。
日本も例外ではなく、当時、赤ちゃんが生まれた家への「お祝い」として、
この本を贈るのが流行したと言われています。
まさに「家に1冊」とった感じですね。
その中身を見てみましょう。
赤い文字は私の心の声です。
(3ヵ月頃までには)自分の寝床で、ひとりでねるクセをつけるようにします。
(えっ!早くね!)
夜泣きの直し方はいたって簡単です。
寝る時間がきたら、赤ちゃんをベッドに入れて、
はっきりした態度で「おやすみ」と言って部屋を出ます。
(えっ!それだけ?)
出たらぜったいにもどってはいけません。
(マジか!)
クセのついた赤ちゃんだと、はじめは20分でも、30分でも大声で泣くでしょう。
(クセじゃねーだろ!)
でも誰もきてくれないとわかると、急におとなしくなり、
泣き疲れて眠ってしまうものです。
(あきらめたんだよ!挫折体験でしょ!)
次の日は泣く時間も10分くらいなるでしょう。
(いや、最低!)
3日目になるとだまって眠ってしまいます。
(親を信頼できねえーからだよ!)
興味のある方は買ってみてください。
Amazonでまだ売ってますよ。
ただし、何度も改訂されて、今はまともな内容に変更されています。涙
昭和の母子手帳の内容にびっくりでした。背景を知るとなるほどと思いました。いつの時代も情報は鵜呑みにしないで自分で調べることも大切ですね。
母子手帳まで安心できないなんて大変な時代だったのですね。
この育児書の罪は大きいと感じました。戦争直後に生まれた団塊世代から、私達団塊ジュニアまで、とても悪影響を受けたと感じます。
団塊世代の元アメリカ大統領のクリントンさんが、自分はアダルトチルドレンだと公表しているように、団塊世代が社会で活躍する時代に、アダルトチルドレンという言葉が広まり、団塊ジュニアが大人になった今は、毒親や毒母なんて言葉が広まっているので。
そのような中、先生の活動は、とても大切だと思います!
文さん、勉強されてますね!びっくりしました!