講座175 イヤイヤ期をハックする

 目 次
1.うつ伏せギャン泣き事件
2.イヤイヤ期をハックする
3.復習①:人間脳と動物脳
4.復習②:爆発頻度
5.安心かつ安全に
6.未来予想図

1. うつ伏せギャン泣き事件

M君(もうすぐ2歳)のお母さんからの報告です。

電車に乗って少し遠い神社までお散歩に行きました。

七五三をやっていたので早めに切り上げたのがまずかった。

ご祈祷してるご家族もいらっしゃるし、並んでる方も大勢いたので

抱っこで社殿の階段を降りたら大爆発:バーン:

お賽銭なげて二拝ニ拍手一拝をもっとやりたかったらしく、

鳥居抜けても「あっちいきたい!」「パンパンしたい!!」と大暴れ!

ご祈祷が終わるまでできる限り離れた道端でうつ伏せギャン泣きタイムを仏の心で過ごしました:天使の笑顔:

道ゆく参拝客の方々の優しい気遣いが身にしみました:大泣き:
(何回「ありがとうございます!大丈夫です!!」と言ったことか)(大丈夫には見えない)

しばらく経ってもう一度境内へ。

参拝したらスーッと落ち着きました。

本当にもう一回お参りしたかったのね…ごめんねあんなに賑わってるとは思わなかったのよ……

やむを得ず切り上げなければならない場面に遭遇したらどうしたら良いのだろう…と考えるきっかけになりました。

2.イヤイヤ期をハックする

今回はこの「うつ伏せギャン泣き事件」を分析してみましょう。

抱っこで社殿の階段を降りたら大爆発:バーン:

もっとお参りをしたかったらしく、

「あっちいきたい!」「パンパンしたい!!」と大暴れ!

まさしくイヤイヤ期の「イヤイヤあるある」ですね。

でも、チョット待って下さい。

「イヤイヤ」には2種類あるのをご存知ですか?

A:言葉にできるイヤイヤ

B:言葉にできないイヤイヤ

この場合はどっちでしょう?

「あっちいきたい!」「パンパンしたい!!」

と、イヤイヤの理由を言葉にしているようですね。

このことから次のことが言えます。

人間脳(前頭前野)は順調に発達している。

イヤイヤ期は人間脳と動物脳のアンバランスによって起きます。

少し復習しましょう。

3.復習①:人間脳と動物脳

人間脳はおでこの裏にある前頭前野です。

ここは感情をコントロールする場所です。

その感情は頭の中心付近にある動物脳(脳幹や偏桃体など)の役割です。

両方とも人間の成長に欠かせないものですが、

幼少期には動物脳の方が先に発達します。

【注目】「見て!見て!」「ほめて!」
【要求】「~したい!」「~して!」
【拒否】「ヤダ!」「しない!」

「注目」「要求」「拒否」などを合わせて「自我」と言います。

自我とは「自分が出て来る」ということです。

悪く言えば「我がまま」ですが、良く言えば「自立心」や「意欲」や「主体性」です。

イヤイヤが強い子ほど、元気で意欲的で積極的な大人になるとも言われています。

しかし、それらをコントロールする人間脳は後から発達するわけですから、今はまだ、

「あっちいきたい!」「パンパンしたい!!」 という気持ちをコントロールできないわけですね。

そして、ここが重要なのですが、

「考える」「コントロールする」というのは言葉を使って行う機能です。

言葉が発達しなければ「考える」「コントロールする」が出来ません。

ですから、人間脳の発達は言葉の発達と密接に関係します。

4.復習②:爆発頻度

ピークは1歳8ヵ月くらいと言われますが個人差があります。

男女差もあって、男の子の方が長く続きます。

これは多分、言葉の発達と関係があるのだと思います。

男の子の方が言葉の発達が遅いですよね。

言葉を使って自由に思考できるようになるにつれてイヤイヤ期は収束していくのだと思います。

5.安心かつ安全に

M君の話に戻します。

M君は「あっちいきたい!」「パンパンしたい!!」 と、気持ちを言葉にできていました。

これは感情を抑制する素地が出来上がっているという証拠です。

すでに人間脳は順調に発達しているわけです。

そして、今は、感情をむき出しにする時期が来ているわけですから、

ここでのポイントは、

安心・安全の中で感情を発出させる

ということです。(参考:『子どもの「いや」に困ったときに読む本』大河原美以)

イヤイヤを叱ると、次のどちらかになります。

①更に激しくなるだけ
②叱られたことによっておとなしくなるだけ

①では「ギャン泣き」「大爆発」がくり返されます。

問題は②です。

叱られた恐怖によっておとなしくなるのは Frieze(フリーズ)です。

Frieze(フリーズ)は成長してから次のような子どもになります。

②-a 親の前では「よい子」でも園や学校などで癇癪を起こしたり意地悪をしたりする子
②-b 人間脳と感情脳との間での葛藤が生じないことによってコントロール力が育たない子

ですから、イヤイヤ期では「安心」の中で感情を発出させることが重要です。

泣いたり、爆発したりするのは大切なことなのです。

もうひとつは「安全」ですね。

イヤイヤ期には大暴れして怪我などに結びつく心配がありますから、

ギャン泣きさせる時は周囲の環境に気を配ることも大切です。

安全な環境でギャン泣きさせてください。

6.未来予想図

「あっちいきたい!」「パンパンしたい!!」と大暴れ!

この部分を理解するためだけでも、以上のような基礎知識が必要になります。

子育てにはたくさんの知識が必要なんです。

ぜひ、学校教育に「子育て」を導入して欲しいですね。

というわけで、M君の大暴れは「期待の持てる大暴れ」です。

私の未来予想はこうです。

パターンA:意外に早くイヤイヤ期を卒業する
パターンB:長引いた場合はそれだけ生きる意欲の強いお子さんだということ

どちらに転んでも嬉しいじゃないですか。

こんな風に未来も予測できるわけです。

次回は「イヤイヤ期における正しい対応」についてまとめてみたいと思います。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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1件の返信

  1. 2021年11月14日

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