講座144 性教育はいつからか?
学校で性教育をするのはいつなのか知っていますか?
①3年生
②4年生
③5年生
④6年生
⑤中1
⑥中2
⑦中3
⑧高校
答えは①~⑧の中に1つだけあります。
今回はこのことについて深~く解説していきます。
2.「性」のことは何年生で勉強するか
3.その内容は?
4.実際はどうなの?
5.まとめ
専門的な内容ですので、面倒な方は「2」と「5」だけ読んでください。
1.学校の勉強を決めている法律
学校の授業って日本中どこに行っても同じになるように法律で決めているんです。
何ていう法律かというと「学校教育法」とか「学校教育法施行規則」とかです。
で、これに基づいて「学習指導要領」という基準を決めています。
これ、「基準」なんですけど「従わなければならないもの」というややこしいものです。
目的は 、
「全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため 」
という納得できるもので、
あとはそれぞれの学校で工夫して計画してください
ということになっています。
その計画を「教育課程(カリキュラム)」と言います。
2.「性」のことは何年生で勉強するか
で、何年生で性教育をするかは、その学習指導要領に書いてあります。
ですから全国共通と考えていいでしょう。
●小学校学習指導要領 体育編
「保健領域」の内容
ア 健康な生活
イ 体の発育・発達 ★
ウ 心の健康
エ けがの防止
オ 病気の予防
いわゆる「性教育」は「体の発育・発達」で扱います。
学年も決まっています。
●小学校学習指導要領 体育編
「保健領域」の内容
ア 健康な生活※第3学年
イ 体の発育・発達※第4学年
ウ 心の健康※第5学年
エ けがの防止※第5学年
オ 病気の予防※第6学年
4年生なんですね。
「思春期」という言葉もここで習います。
答えは②の「4年生」です。
3.その内容は?
では、小学校4年生でどんな性教育を受けるのでしょう?
ア 知識
(イ) 体は,思春期になると次第に大人の体に近づき,体つきが変わったり,初経,精通などが起こったりすること。また,異性への関心が芽生えること。
初経、精通、変声、発毛などの知識を教わります。
じゃあ「性交」はどうなの?
って気になりますよね。
これがですね。性交は扱っちゃダメなことになっているのです。
どうしてかというと、小学校の学習指導要領には出て来ませんが、
中学校の学習指導要領で次のように出ているからです。
アの(イ)については,妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から,受精・妊娠を取り扱うものとし,妊娠の経過は取り扱わないものとする。また,身体の機能の成熟とともに,性衝動が生じたり,異性への関心が高まったりすることなどから,異性の尊重,情報への適切な対処や行動の選択が必要となることについて取り扱うものとする。
一般にこれを「歯止め規定」と言います。
これが中学校の学習指導要領にあるということは、当然、小学校ではもっとダメということです。
ただし、この「歯止め規定」には賛否両論があります。
「それでいい!」という立場と、「それ変じゃない?」という立場です。
私は「それ変じゃない?」という立場です。
だって、受精と妊娠は扱うのに妊娠の経過(性交)は扱わないって不自然ですよね。
考える力を育てるんだったら「どうやって受精するの?」ってなりますよね。
でも世の中には「寝た子を起こすな」と言って、性交には触れさせない方がよいと考えている大人がいるようです。
ですから、小学校でも中学校でも「性交」を教わることはありません。
それが「基準」です。
ただですね。
学習指導要領には「基準」の意味について次の説明が付いているのです。
同時に、児童生徒の学習状況などその実態等に応じて、学習指導要領に示していない内容を加えて指導することも可能である。
あくまでも基準ですからね。
学習指導要領に出ていない内容を加えることも可能なんです。
ということは、性交を教えることも可能なのか?
どう思いますか?
4.実際はどうなの?
これがですね。
ウヤムヤなのです。
A:妊娠の経過は取り扱わないものとする。
B: 学習指導要領に示していない内容を加えて指導することも可能である。
矛盾していますよね。
現段階では解釈の問題なんです。
この矛盾をどう解釈するか。
各学校の責任者は校長ですから、校長先生がAを大事にすればAですし、
Bを大事にすればBでしょう。
では、私が校長だったらどちらを尊重するか?
私はですね。
性教育には積極的なのですが、法律を守ることにもウルサイのです。
私が校長だとしたら、学習指導要領の次の部分を持ち出すと思います。
なお,指導に当たっては,発達の段階を踏まえること,学校全体で共通理解を図ること,保護者の理解を得ることなどに配慮することが大切である。小/中学校学習指導要領 体育編解説
ハードルが2つあります。
・学校全体で共通理解を図ること
・保護者の理解を得ること
保健の授業で「思春期の体の変化」を授業するときには、学習指導要領に載っている内容であってさえ、職員の理解と保護者の理解を得ることに配慮せよと書いてあるわけです。
小学校で性交を扱うなら、なおのこと配慮しなければなりません。
具体的に言えば、
・全職員の合意を得ること
・全保護者の合意を得ること
ここまでやったなら実施可能でしょうけど、
そうじゃなければ校長の責任問題です。
ですから私が校長だったら、
教えてあげたいけど、実際は無理。
となりますね。
だって、反対する人はきっといるでしょう。
そして、反対する人が一人でもいたら「やらない方がいい」という世の中ですからね。
これが現実なんです。
5.まとめ
ただ、本音を言えば「性交」についても教えてあげたいです。
小学校4年生であっても、です。
小学校4年生だからこそ、です。
4年生って「プレ思春期」です。
思春期と言っても始まったばかりで、まだ素直なんです。
生物学的なことや道徳的なことを素直に吸収できます。
そんな時期であって、これから本格的な思春期を迎える。
自分の体にも変化が訪れる。
その学習内容は「自分事」としても受け入れると思います。
私の中では性交について基礎的な事実を教える最適期だと思います。
でも、法的な縛りがあって現実的にそれはかなり厳しい。
これが今回のまとめです。
次回は、じゃあ中学校、高校ではどうなの?というテーマで解説します。
学校での性教育の内容に驚きました!私は娘に、3歳くらいの時から、お風呂で自分で局部を洗うよう促し、大事な場所で、なぜ大事なのか話していて、性交についても伝えています。
もう、それは素直に聞いてくれて、早く大人になって、お母さんになりたい!と言っています。
世の中には間違ったと言うか、大人向けのファンタジーな性情報が溢れていていて、正しい情報を知る前に間違った情報に触れるのはどうかな?と思います。
グッドです!共感します!
AV情報も修正してあげないと、と考えています。