講座136 理想の子供部屋
今回は「理想の子供部屋」に関する情報です。
この手の本は実にたくさん出ています。
タイトルはだいたい似たようなもので、
・勉強ができる子になる間取り
・優しい心が育つ間取り
・賢い子に育つ間取り
そんな感じです。
で、これらに共通することは何かというのが今回の大事なところです。
私の子育て講座では毎回取り上げる話題ですので、
すでにご存じの方もいらっしゃると思います。
では、進めて行きましょう!
2.小学校4~6年生の勉強場所
3.中高生の勉強場所
4.まとめ
1.小学校1~3年生の勉強場所
結論。
子供部屋は要らない。
あくまでも私の主張です。
10歳になるまでは要らないというのが私の主張です。
昔は小学校1年生になったら学習机を買うという習慣がありましたよね。
今でもあるのかも知れませんが、ぶっちゃけ使わないと思います。
お祝いで買うなら「10歳になったら」がいいです。
学習机って勉強するために買うんですよね。
小学校1年生が学習机で勉強するのでしょうか?
私にはイメージできません。
私のイメージはこれです。
茶の間の座卓ですね。
理由は2つあります。
帰宅したらランドセルをおろしますよね。
学習机の上にランドセルをおろすと、教科書やノートを広げづらいんです。
一年生はまだそこまで器用じゃありません。
ばあーっと広げたいんです。
そうすると、茶の間の床とかリビングのソファーの上に広げるのが手っ取り早いんです。
そして、その中から宿題を取り出す。
多くの子は目的のものを取り出すのが精一杯で、整理整頓しつつ勉強する子は少数です。
そうすると、床に近い低いテーブルの方が便利なんです。
その代表が「座卓」です。
理由の2つ目は「人のそば」です。
茶の間だと、お母さんとかおばあちゃんとか誰かいるじゃないですか。
低学年は「人のそば」「見てもらう」のが必要な年齢です。
帰宅して誰もいない部屋で宿題をするのはかわいそうですね。
そういう子は児童館などの「放課後の居場所」が勉強する場所として欲しいですね。
勉強時間は10分でいいんです。
やったと思ったら「はい、終わり」というのが低学年の勉強です。
でも「机に向かう」という習慣は大切。
「人のそば」&「広げやすい環境」ということで、「子供部屋は要らない」というのが私の主張です。
2.小学校4~6年生の勉強場所
10歳を超えても「誰かと一緒」が理想的です。
お母さんと一緒になる時間が少ないのなら、時間を合わせるという手もあります。
習い事や遊びやスポーツ活動を終えた夕方にキッチンのお母さんの前で勉強するとか、
そういう工夫をしてでも「誰かと一緒」が理想的です。
冒頭で紹介した本の中から一冊紹介しましょう。
『頭のよい子が育つ家』の中に出て来る子どもたちの勉強場所です。
【筑波大付属中に合格したK君の勉強場所】台所の中のテーブル
【筑波大付属駒場中に合格したF君の勉強場所 】リビングのテーブル(机の向かいでお父さんは新聞)
【慶応義塾中等部に合格したC君の勉強場所 】茶の間の座卓(お父さんが新聞、弟がゲームをするそば)
【開成中に合格したB君の勉強場所 】茶の間の中に姉と学習机を並べる(母はテレビ)
こんな感じです。
最近ではネット上で、こういう学習環境の良さを取り上げた記事が目につくようになってます。
だいぶ増えているんじゃないでしょうか。
受験勉強だけが勉強ではありませんが、共通しているのが「誰かと一緒」という点に注目して下さい。
そこは低学年と同じです。
ただ、もうランドセルを広げる必要はありませんし、
勉強時間も長くなるので「座卓」ではなく「テーブル」になります。
学習机を買った場合は、置き場所が「リビング」です。
3.中高生の勉強場所
中高生になったら「自分の部屋」を与えたいですね。
もう体は大人ですからね。
自分だけのプライベイトな空間が欲しくなります。
ただし、ポイントがあります。
引き戸の部屋
ミサワホーム創業者の三澤千代治さんの言葉が有名です。
個室は「子失」
子どもに個室を与えると「子どもを失う」(関係が途切れる)という警告です。
ハウスメーカーの社長さんがそんなことを言うところが凄いですよね。
ここでいう「個室」とは「ドア」のついている部屋を言います。
ドアだと自動的に閉まっちゃいますからね。
「引き戸」のいいところは「開けっ放し」にできる点です。
閉めたい時だけ閉めればいいわけです。
これはMさんの家の間取りです。
年頃の娘たちの部屋は高校生でも「引き戸」でした。
しかも99%開けっ放しでしたね。
赤い所には背の高い家具を置いていたので、寝姿は見えません。
学習机も居間と続いている空間(もともと狭い)なので台所から普通に会話できます。
はい。これは私の住宅の間取りでした!
要するに「引き戸」の何がいいかと言いますと、これです。
気配が感じられる
丸見えではないけれど、個室でもない。
別な表現をすればこうなります。
空気でつながっている。
思春期ですからね。プライベイト空間は必要です。
でも、完全遮断ではない。
気配というか、音というか、会話というか。
そういうものを共有できること。
そういった工夫が思春期だからこそ必要になると思います。
4.まとめ
アニャンゴさんを知っていますか?
高校時代から歌手を目指し、青山学院大学を卒業後にアメリカやケニアで音楽修業し、東アフリカの伝統楽器 「ニャティティ」の世界初の女性演奏家となった人です。
この人の何が凄いかというと「夢をつかんだ」ということです。
自身の体験を元にした『夢をつかむ法則』という本は2009年にAmazonのノンフィクション部門で1位を記録しました。
同じ年にはNewsweek誌(日本語版)による「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれています。
実は私、この方と知り合いなんです!
あるパーティーの場で私はアニャンゴさんに質問しました。
「アニャンゴさんは子どもの頃、引き戸だって聞いたんですけど本当ですか?」
どうしてこんな質問をしたかというと、この時の私は「子供部屋」の教材研究をしていたんです。
今まで誰もやったことがない「子育ての授業」をしようと思って、世界中の子供部屋の間取りや歴史を調べていました。
その時に三澤千代治さんの本を読んだり、「引き戸」のメリットに出会ったりしてたわけです。
で、アニャンゴさんも子ども時代は「引き戸」だったというプチ情報があって、ご本人に質問をして確かめました。
なんと言ってもアニャンゴさんは「自立した日本人」の象徴的存在ですから。
そしたらやっぱり「引き戸」だったんですね。
うれしかったですね。そして、確信しました。
やっぱり「引き戸」だなって。
そして、これは私の推測なのですが、
思春期に「引き戸」で育つと自立した後に親元に帰って来る
そういう法則もあるんじゃないかと勝手に思っています。
身近なところでは、自分の娘たちも「引き戸」で自立して、今は四人とも親の近くで生活しています。
アニャンゴさんもお父さんである向山洋一先生の近くに住んでいらっしゃいます。
若い時は思い切り夢を追い、納得するまで動き回ることは大切だと思います。
一度切りの「その子の人生」ですから。
でも、親としては、いつかは近くに帰って来て欲しいなという希望はありますよね。
そんなズルさも含めて私は「引き戸子育て」をオススメしています。
「引き戸」にそんな良さがあるとは!
アニャンゴさんも「引き戸」,水野先生のお宅も「引き戸」だったのですね。
「自立した後に親元に戻って来る」私の夢です。
自分が親元から遠く離れた所に住んでいて,子育て中に「自分の親が近くに住んでいたらいいのになぁ。」と何度思ったことでしょうか。
親が年老いた現在では、さらに強く思うところです。
そうですよね。
せっかく親子として出会ったのですから!(^^)/