1歳半~6歳(幼児期) 正しい叱り方

講座127 イライラ沼・イライラ妖怪

投稿日:2021年6月15日 更新日:

Bさんからの報告。

歯医者にて…。

隣の女の子。ずーっと泣いていて治療ができないでいる。

お母さん:「約束してたよね?ゲームなしだよ。おやつもなし」

お母さん:「もう今日治療するしかないんだよ」

お母さん:「もう大きな病院に行くしかないよ、行くのね」

看護師さんは、お母さんに、

「待合室の隣に部屋がありますから、そこでしばらく休んで、落ち着いてからまた来てもらえたら」

と言った。

でも、なんだかんだ話していて、結局難しいみたい。

お母さん:「そっちの病院にも聞いてみます」

看護師:「できなくて残念だけど、はがゆくてくやしくて泣いてるのもあるよね」

女の子はさらに泣く。しゃくりあげている。

結局治療ができなかった。

待合室にて。

お母さんが女の子を抱っこしていた。

かなり身体が大きい!小学校高学年くらい?!

女の子はずーっと泣いてる。

「やだ、やりたい」と言っている。

お母さん:「この前もできなかったでしょ」

そう言いつつ、お母さんは窓口に呼ばれて次の予約をとる。

「仕事があるので…」と言って予約の日を決めかねていた。

仕事に育児に、お母さんも大変なんだなと思った。

 目 次
1.間違った対応の連続
2.時間のない母親こそ正しい方向に

1.間違った対応の連続

この事例からわかる通り、働いているお母さんには「時間の制限」があります。

そうすると、子育てのことでイライラしてしまう危険性が高まります。

イライラしないためには「子育てスキル」を有効に使わねばなりません。

「約束してたよね?ゲームなしだよ。おやつもなし」
「もう今日治療するしかないんだよ」
「もう大きな病院に行くしかないよ、行くのね」

これが逆効果だというのは、みなさんもうわかりますよね。

これは「脅し」です。

子どもの不安を強めているだけです。

それに対して、看護師さんは、

「待合室の隣に部屋がありますから、そこでしばらく休んで、落ち着いてからまた来てもらえたら」

と言っています。

これは「クールダウン」というスキルですね。

看護師さんの対応の方が正しいと思います。

しかし、母親は何だかんだと頑張ります。

看護師さんは女の子に言葉をかけます。

「できなくて残念だけど、はがゆくてくやしくて泣いてるのもあるよね」

女の子の気持ちを代弁してあげているのです。

これは「ほっとダウン」というスキルです(詳しくは第2章で)。

ここも看護師さんの対応が正しい方向です。

事実、このあと女の子は「やだ、やりたい」と自分から訴えています。

それなのに母親は「この前もできなかったでしょ」で否定します。

せっかく頑張って「やりたい」と言ったのに受け止めてもらえなかったのです。

ここは受けとめるべきところでした。

実際にこの日は出来なくとも、その気持ち受けとめれば次に強くなれます。

「この前もできなかったでしょ」は逆効果です。

このように、このお母さんは間違った対応を連続させているわけです。

それは多分「時間の制限」があってイライラしているからでしょう。

2.時間のない母親こそ正しい方向に

子育ての仕方に100%正しい答えはありません。

子どもは100人いれば100人みんな違います。

一人として同じ人間はいません。

しかし、大まかに言って「こうすればいい」「こうしちゃいけない」という意味での「正しい方法」「間違った方法」というのはあります。

子どもには一人一人に個性がありますし、生活環境や生活経験も様々です。

それに加えて、今その時の状況というのも様々です。

ひとつとして「同じ状況」というのはこの世にありません。

子育てをする親にとっては毎日が手探りです。

森の中をさまよっているような感じでしょう。

出口が見えません。

しかし、正しい方向に歩いていれば、いつかは出口が見つかります。

逆に、間違った方向に行くと、なかなか出口が見つかりません。

時間はかかりますが、方法・方向さえ間違えていなければ、その歩みは無駄ではありません。

この看護師さんは時間がかかってもいいから、遠回りでもいいから、正しい道に進ませようとしました。

それに対して、お母さんは急いでいるのに間違った道に行かせようとしています。

あせる気持ちはわかりますが、時間を無駄にしたくないのなら、正しい方法を選ぶべきです。

「理不尽な叱り方」は間違った方法です。

「間違った叱り方」です。

子どもに成長を期待したいならば「間違った叱り方」をすべきではありません。不幸になります。

本来は、叱らないで育てるのが一番です。

叱る必要があるというの場面は一年に一回あるかないかでしょう。

そう考えると、日常のほとんどは「間違った叱り方」です。

前進ではなく後退します。

時間のない方々こそ「間違った叱り方」をすべきではありません。

日常のイライラはその間違った方向へと足をとる沼です。妖怪です。

足を取られないように気をつけてください。

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-1歳半~6歳(幼児期), 正しい叱り方

執筆者:


  1. 畠山文 より:

    どうか、このお母さんが、誰かに、あなたは頑張っているよ、と労って貰えることを願います。

    そして、お母さんの心に余裕のある時に、お母さんが娘さんを励ましたり、頑張りを伝える時間があることを願います。

    イライラ沼、イライラ妖怪は手強いですね。そんな時、上記のような看護師さん、本当に助かります。子供は皆で育てるの意識で、私も何かできそうな場面があれば、協力したいなと思いました(^.^)

    まあ、今は、助けられる事の方が多いですが。

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