講座374 「母子登校」が増えている?
2.母子登校は増えているのか?
3.母子登校の特徴
4.母子登校の原因
1.母子登校とは何か
「母子登校」というのは、お母さんと一緒じゃないと学校に行けない子の状態を指します。
①朝、自分で起きられない。お腹が痛くなる。
②お母さんと一緒だとなんとか学校まで行ける。
③でも校門の前で泣いてしまう。
④仕方がないので教室の前までお母さんが一緒に行く。
⑤それでも中に入られないので先生と相談して教室の後ろで見守る。
⑥結局、毎日お母さんは教室の後ろに座って授業中に付き添うことになる。
様々なケースがありますが、
一般例で説明すると①~⑥のような状況に陥るのが「母子登校」です。
「不登校」と何が違うのでしょう。
お母さんが付いて行かなければ学校に行けないわけですから不登校になるでしょう。
でもお母さんが一緒だと学校には行くことができるので「母子登校」ですね。
その日によっては「不登校」になることもあるでしょう。
また、文部科学省の定義では「年間30日以上」が不登校の基準ですから、
母子登校が不登校に該当する場合もあるでしょう。
しかし、お母さんと一緒であっても登校すれば「出席」ですから数値化が難しいです。
2.母子登校は増えているのか?
増えているかどうかはわかりません。
調査結果も見たことがありません。
何しろ数値化・表面化しにくい問題ですので、
社会的に捉えられるのはかなり目立った段階でのことになるでしょう。
しかし、その兆候はあります。
ネットニュースなどでは「母子登校」という言葉が使われ始めています。
本も出ています。
私の周辺でも数年前から見聞きするようになりました。
3.母子登校の特徴
特徴は何と言っても低学年に多いということでしょう。
特に一年生です。
時期は入学初期です。
「学校」という生活への不安が大きな転機になるようです。
『リエゾン』の第8巻はご覧になりましたか?
最近、発売されたところですが、「母子登校」が取り上げられていました。
斗真君という小学校一年生が入学直後に「母子登校」に陥ります。
お母さんは教室で一緒に授業を受けるわけです。
働いているお母さんですから仕事は休まなければなりません。
担任の先生はこう言います。
「他の子たちと一緒に授業を受けるのはまだ不安なんだと思います」
この言葉には、母子登校に対する学校側の受け止め方が端的に表現されています。
・「他の子たちと」(集団生活に慣れれていないのだろう)
・「授業」(授業という生活に慣れていないのだろう)
・「まだ」(そのうち慣れて来るのではないか)
・「思います」(確かなことは言えませんが…)
ひとことで言えば「様子を見ましょう」ということです。
読者は気づきます。
これでは何の解決にもならないことを。
4.母子登校の原因
原因を特定するのは難しいでしょう。
しかし、想定することは可能です。
あくまでも私の知見ですが、次の4つがキーワードとして挙げられると思います。
(1)愛着形成不全
(2)母子分離不安
(3)過干渉
(4)過心配
(1)~(4)を見て何か気づかれましたか?
でも、(1)~(4)はすべて家庭内での問題です。
もし、それが原因だとしたら、先生がいくら待っても改善する可能性は少ないでしょう。
「様子をみましょう」は放置と言っても過言ではありません。
専門機関へつなぐ
程度にもよりますが、学校や保護者が取るべき基本スタンスは専門機関につなげることです。
児童館や児童デイサービスや発達支援センターやスクールカウンセラーなど、
この問題とつながっている専門機関は必ずあります。
そこからの支援を受けるのが基本スタンスだと思います。
保護者は悩んでいます。
親が孤立しないこと、保護者を孤立させないことが重要です。
まずは、誰かとつなぎ、つながれ、不安を取り除きましょう。
4歳の娘は、登園時になかなか母と離れられないことがまだあります。
先生にかまってほしい、恥ずかしい、母と離れるのが不安など、色々な要因があるのかなと思っていましたが…。
母子分離がきちんとできるよう、一緒にいる時間に愛情で満たしてあげることが必要ですね。
今日から母は仕事復帰で、子どもと関わる時間が短くなりますが、密度濃くたっぷり愛情を注いでいきたいです。
愛情を注ぐのが基本ですよね。
それだけは確か!
昨年度、私と組んでいた職員さんは、職場に着くとお子さんの小学校から電話が来て、すぐ退勤され小学校に向かう日々が続いておられました。
その職員さんは結局仕事を辞職されました。
明日は我が身です。選択肢は決まっていますが、苦渋の決断になると思います。
辞職。
切実ですね。
なんとかしたいです。